コラム/技術的な情報

この5年で2倍に増加するコンテンツ配信ネットワークのQoS、QoEを考えてみる

執筆者:吉政創成株式会社 代表取締役 吉政忠志

 昨年に「お!」と思うニュースがありました。コンテンツ配信ネットワークに興味がある人は記憶にある人も多いと思います。そのニュースは、2020年から2025年にかけて市場規模が2倍に成長するという調査会社の報告書でした。日本語訳も出ているので興味がある方は「コンテンツ配信ネットワーク 市場規模 2025年」で検索すると出てきますので、見てみるとよいと思います。

 あえて説明するまでもない話なのですが、市場規模が2倍になるというのは一斉にメーカーが値上げをするわけではないです。どの市場でも技術や製品やサービスなどが普及を始めると単価はむしろ下がっていくので、単価が緩やかに下がる中、利用数が大きく増えたというのが現実的な見方になります。この市場データでの注目点は長らく堅調成長だったコンテンツ配信ネットワーク市場が、これからの5年で2倍に伸びるということです。その要因に挙げられるのは以下の3つだと考えています。

  • 高速データネットワーク上のライブ配信ニーズの高まり
  • QoE(Quality of Experience)とQoS(Quality of Service)の強化需要の高まり
  • Web上の動画やリッチコンテンツの増加

 ちなみにQoSは多くの方がご存じだと思いますが、QoEはご存じのない方もいるかもしれないので、簡単に解説いたします。

QoEとは
 QoSがパケットロス(損失率)やスループット等で通信品質を技術的に測定した指標であることに対して、QoEはユーザーが体感する通信品質の指標である。あくまでユーザーが体感する評価の測定なので、実際には品質評価実験などを行った客観的な評価を行う必要がある。個人的にはQoEがQoSに置き換わる物ではなく、QoEを高めるための原因分析の指標としてQoSが必要なのだと思う。結局、QoSのような技術的な品質指標の上に成り立っているのがQoEだからである。

 さて、本題に戻りますがライブ配信や動画・リッチメディアの増加に伴い、通信コストの抑制や競合との差別化のために通信品質を高めることが求められるようになっていくと思われます(今もすでに求められていると思います)。通信コストをむやみに下げて、通信品質が悪くなればいいコンテンツを配信しても、顧客満足度が下がり、お客様は他社に流れていきますよね。一方で通信品質を高めるためにやみくもに、高品質な通信サービスを契約すれば、コストがひっ迫していくはずです。利益が減れば投資が減るため、そのサービスは先細っていく可能性が高いです。

 つまり、なるべくコストを抑えた高品質な通信サービスインフラを確保するのが大切なのですが、そのためには帯域を制御して通信サービスインフラを有効活用する必要があるということになります。それゆえにQoSとQoEが大切ということになります。

 ちなみにQoSや帯域制御の必要性に興味がある方は以下のコンテンツを参考にされるとよいと思います。
https://www.scsk.jp/sp/pureflow/column/column1.html

 また、どうやってQoSを高めるかという話についてはお客様のご要望と環境によって変わってくる話ですので、まずは情報交換レベルでもよいので、以下よりお問い合わせをしてみてはどうでしょうか。
お問い合わせはこちらから:https://itps.scsk.jp/pureflow/inquiry

 それでは今回はこの辺で。

執筆者
吉政忠志
吉政創成株式会社の代表取締役。大手企業を中心としたマーケティングアウトソーシングを展開中。Python、PHP、Ruby on Rails、ヤマハルーターのRTX検定を主宰。

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