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Gemini Enterpriseとは?企業で生成AIを使いこなすために必要なAI基盤を解説

2026.04.24
AI
Google Cloud

Gemini Enterpriseとは?企業で生成AIを使いこなすために必要なAI基盤を解説

生成AIの企業活用が、この数年で急速に広がっていると感じていませんか。この記事を読まれている方の中にも、社内で何らかの形でAIを活用している方は多いのではないでしょうか。

2025年10月、Googleは企業向けAIプラットフォームGemini Enterpriseを発表しました。このサービスは、Googleが以前から打ち出していた「企業内に分散したデータを横断検索し、AIエージェントによって業務を支援する」というGoogle Agentspaceの構想を、より高度で実用的な形へと具現化したものです。現在のGemini Enterpriseは、単なる生成AIツールに留まりません。検索、AIアシスタント、AIエージェント、そして外部システム連携を一元化し、ビジネスの基盤として機能する包括的なAIプラットフォームへと進化を遂げています。

本記事では、新たに注目を集めるGemini Enterpriseについて、中核となる機能、利用シーン、他社AIサービスとの違い、セキュリティ、料金体系などの観点から、その特徴を整理して解説します。
 

Gemini Enterpriseとは?旧Google Agentspaceの流れを汲む企業向けAI基盤

Gemini Enterpriseは、Googleが提供する企業向けのAIプラットフォームです。Google Cloudの公式情報では、検索、AIアシスタント、エージェント活用を一体化した基盤として位置づけられており、単独の対話AIというより、社内データや業務アプリと接続して価値を発揮する設計になっています。

つまり、単なるAIチャットツールではなく、企業内のデータや業務プロセスをAIでつなぐプラットフォームと捉えるのが適切です。必要な情報を探すところから整理、回答までを一連の流れで支援できる点が特徴です。

企業では多くの情報が複数のSaaSやクラウドサービスに分散しており、必要な情報を見つけるだけでも時間がかかるケースが少なくありません。Gemini Enterpriseは、こうした企業データをAIが横断的に理解し、業務に必要な情報を迅速に提示できる環境を提供します。

Gemini Enterpriseの中核となる3つの機能

Gemini Enterpriseは、複数のAI機能やコンポーネントを統合したプラットフォームとして提供されています。

本記事では、その中でも企業活用の観点で重要度の高い領域として、以下の3つに整理して解説します。

1. Google品質の横断検索 
2. AIアシスタント/AIエージェントによる業務支援 
3. NotebookLM Enterpriseによる知識整理と分析

それぞれの機能について見ていきましょう。

  

1. Google品質の横断検索

Google検索の技術を企業内データに適用し、Google Workspace(Drive、Gmail等)だけでなく、外部のSaaSやデータベースも一括で検索できます。利用者が保存先を意識せず、「何を知りたいか」から入れるようになるため、属人的だった情報探索を再現可能な業務プロセスへ近づけられます。
  

2. AIアシスタント/AIエージェントによる業務支援

従来の「質問に答える」アシスタント機能に加え、特定のタスクを自律的にこなす「エージェント」としての活用が期待されています。AIを"答えを返す箱"ではなく、「目的に沿って作業を前へ進める補助役」として扱えることがポイントです。
  

3. NotebookLM Enterpriseによる知識整理と分析

NotebookLM Enterpriseは、ドキュメントをもとに要約や質問応答、論点整理を行える機能群の一つです。さらに、利用状況を監査するためのlogging機能も用意されています。

調査レポート、提案資料、議事録、技術文書などを束ねて読み解く場面で効果を発揮しやすく、検索の次の段階、つまり「材料は集まったが、どう解釈するか」を支える役割を担います。

ただし、利用可能な機能や範囲はエディションや構成によって異なるため、導入時にはどの機能が利用対象となるかを個別に確認する必要があります。

Gemini Enterpriseの代表的な利用シーン

Gemini Enterpriseは、情報探索と知識活用のボトルネックがある部門ほど効果が出やすい製品です。全部門展開を最初から狙うより、まずは「情報が分散し、調査や確認に時間がかかる業務」から見ると判断しやすくなります。
  

営業・企画:提案準備の高速化

過去の提案書、社内規定、最新の市場調査結果を一括検索し、必要な情報を即座に抽出。 提案準備や施策立案の初動を大幅に短縮できます。

とくに金融業では、規程、商品情報、営業資料、社内照会履歴などをまたいで確認する場面が多く、情報の正確性とスピードを両立したい業務と相性が良い領域です。
  

カスタマーサポート・保守:ナレッジ共有の自動化

既存の権限管理を踏まえながら複数システムを検索対象にできるため、 「誰かに聞かないと分からない」状態を減らしやすくなります。

たとえば小売業では、店舗運営FAQ、販促資料、過去の施策記録、需給関連情報などが分散しやすく、現場と本部の間で必要な情報に素早くアクセスできる環境づくりが重要になります。
  

現場業務:情報の即時取り出し

製造や保守、品質保証、IT運用など、マニュアルや過去のトラブル対応記録が膨大にある現場でも、 現場に近い業務でも有効です。

製造業では、品質記録、作業手順書、保守情報、障害対応履歴などをまたいで確認する場面が多く、現場判断を支える情報基盤としての活用イメージを持ちやすいでしょう。

外部ツール・社内データとの高度な連携(コネクタ機能)

Gemini Enterpriseの特徴は、単体のAIツールとして完結するのではなく、既存の業務環境と接続されることで価値を発揮する点にあります。

企業では、業務の効率化や部門ごとの役割に応じて複数のシステムを使い分けているため、情報もさまざまな場所に分散しがちです。実際、営業はCRM、開発は開発ツール、日常的なやり取りや資料共有はグループウェアというように、部門ごとに使うシステムが分かれている企業は珍しくありません。その結果、必要な情報を探すだけでも複数のツールを行き来しなければならず、業務の大きな負担になりがちです。

Gemini Enterpriseは、こうした分散したデータソースと接続することで、ユーザーがツールの所在を意識せず、「知りたいこと」から直接情報にアクセスできる環境を実現します。
 

Google Workspaceとの連携:日常業務の延長でAIを活用

日常的に利用しているGoogle Drive、Gmail、スプレッドシートなどが、そのまま検索・参照の対象となります。特別な準備をせずとも、資料共有やメールのやり取りといった業務の延長線上でAIを活用できます。

重要なのは、ツールを切り替えて情報を探す必要がなくなる点です。
資料を開き、メールを遡り、関連情報をつなぎ合わせるといった作業が、ひとつの問いかけで完結するようになります。これにより、情報収集に費やしていた時間が短縮され、思考や判断に集中できる状態が生まれます。
  

外部SaaSとの連携

企業の業務は、ひとつのツールだけで完結するものではありません。顧客管理はSalesforce、社内ドキュメントはMicrosoft 365やSharePoint、開発やナレッジ管理はJiraやConfluence、IT運用はServiceNowというように、用途ごとに異なるSaaSが併用されているのが一般的です。

Gemini Enterpriseは、各種コネクタを通じてこうした外部サービスとの連携が可能です。部門ごとに分断されていた情報を横断的に扱えるようになることで、営業部門が顧客の状況を把握する場面でも、CRM上の情報だけでなく、関連する社内ドキュメントや開発側の記録まで含めて参照できるようになります。

その結果、個別のツールを行き来しながら情報を拾い集める必要が減り、業務理解は部分最適ではなく全体像ベースへと変わっていきます。

ただし、実際の連携範囲や接続対象はコネクタや設定内容に依存するため、どこまで統合できるかは導入時に整理しておく必要があります。
  

既存アクセス権を維持するセキュアな検索

一方で、こうした横断的なデータ活用においては、セキュリティと統制が重要になります。誰がどの情報にアクセスできるのかという前提が崩れると、企業利用は現実的ではありません。

Gemini Enterpriseでは、既存のアクセス権限をそのまま引き継ぐ仕組みが採用されています。ユーザーごとに許可された範囲のデータのみが参照対象となるため、意図しない情報の露出が発生することはありません。

新たな管理ルールを追加するのではなく、現在の権限体系を維持したまま利便性を高められる点が、この仕組みの重要なポイントです。

結果として、情報を安全に扱いながらも、検索や整理といった前工程の負担が軽減され、業務そのものに集中できる環境が実現されます。

Gemini Enterpriseと主要な企業向け生成AIの違い

企業向け生成AIを検討する際、ChatGPT Enterprise、Microsoft 365 Copilot、Gemini Enterpriseを比較対象として見るケースは少なくありません。ただし、これらは単純に機能数だけで横並びに比較できる製品ではなく、それぞれ設計思想や得意とする領域が異なります。

比較するときに避けたいのは、「知名度が高いから」「何でもできそうだから」といった印象だけで判断してしまうことです。実際には、どの業務環境で使うのか、どのデータを活用したいのか、現場の業務にどう組み込みたいのかによって、選ぶべき製品は変わってきます。

たとえば、ChatGPT Enterpriseは、文章作成や要約、アイデア整理などをはじめ、幅広い業務で使いやすい汎用AIとして検討しやすい製品です。Microsoft 365 Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsといった日常業務に深く入り込み、既存のMicrosoft 365環境の中で使いやすい点に強みがあります。一方、Gemini Enterpriseは、検索、AIアシスタント、エージェント活用を一体で扱いながら、複数のシステムに分散した情報を横断して活用しやすい点に特徴があります。
 

表1 主要な企業向け生成AIの比較

項目 ChatGPT Enterprise Microsoft 365 Copilot Gemini Enterprise
主な位置づけ 幅広い業務で活用しやすい汎用AI Microsoft 365業務に組み込みやすいAI 企業データ活用を前提としたAI基盤
主な活用イメージ アイデア出し、文章作成、要約、壁打ち Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams上での業務支援 社内データ検索、情報整理、業務支援全般
業務とのなじみ方 プロンプトを起点に幅広く利用しやすい 既存のMicrosoft 365アプリの流れの中で使いやすい 検索・支援・活用を横断的に設計しやすい
データ活用の方向性 利用者の指示を起点とした活用が中心 Microsoft 365内のデータ活用と親和性が高い 複数システムに分散した情報を横断的に扱いやすい
向いているケース まずは生成AI活用を広く始めたい Microsoft 365中心の業務環境で効率化したい 分散した情報を横断しながら業務に活かしたい

  

ここでの比較は、どの製品が優れているかを決めるためのものではなく、自社に合った活用の方向性を整理するためのものです。
たとえば、Microsoft 365を業務の中心に据えている企業であれば、Copilotのほうが現場に馴染みやすい場面もあるでしょう。まずは特定部門に限らず、幅広い生成AI活用を全社で進めていきたい場合には、ChatGPT Enterpriseが候補になりやすいはずです。その一方で、Google Workspaceを含め、複数のシステムに分散した情報を横断しながら活用したい企業にとっては、Gemini Enterpriseの特性がより活きやすくなります。
重要なのは、「何ができるか」だけを見ることではありません。自社の業務環境の中で、どの製品が無理なく定着し、継続的な活用につながるかという視点で判断することが、企業導入では欠かせません。

Gemini Enterpriseのセキュリティとガバナンス

企業利用で最も気になるのは、便利かどうかより、安心して使い続けられるかです。Gemini EnterpriseはGoogle Cloud上で提供され、Cloud Audit Logsやusage audit loggingなど、監査や観測に関わる仕組みが案内されています。
  

データ保護【情報の線引きと管理】

企業が持つ社外秘情報や顧客データを守るため、Gemini Enterpriseは「どの情報をAIに触れさせるか」を管理できる設計になっています。

 ・非学習の保証: 入力データがAIの学習に利用されることはありません。

 ・対象範囲の明確化: 導入時にデータの線引きを行うことで、安全な活用をスタートできます。

  

権限管理【既存統制の継承】

最大の利点は、既存のアクセス権限をそのまま引き継げる点です。

 •新しいルール作りが不要。

 •本来見えない情報がAI経由で露出するリスクを排除。

 •情シスの導入負荷を大幅に軽減します。
  

監査・運用管理【導入後の可視化】

本番導入後に問われるのは、「誰が、何を、どこまで使ったか」を追えるかどうかです。

使い始めた後の統制こそが、全社展開の成否を分けます。

 ・Cloud Audit Logs: 操作ログの取得

 ・Usage Audit Logging: 利用状況の可視化

これらにより、監視・レビューが可能な運用基盤を迅速に構築できます。

Gemini Enterpriseのエディションと料金体系

Gemini Enterpriseの料金体系は、エディションや契約形態、提供地域、販売経路によって異なります。

一般的には、Business/Standard/Plus/Frontlineといった複数のエディションが用意されており、利用規模や用途に応じて選択できる構成になっています。

たとえば、特定の部門でスモールスタートするケースと、全社展開を前提とするケースでは、選択すべきエディションや設計方針が大きく異なります。重要なのは価格そのものではなく、「どのユーザー層に配布するのか」「どのデータまで接続するのか」「どのレベルのガバナンスを求めるのか」といった全体設計です。

なお、具体的な価格や提供条件は随時更新されるため、最新情報は公式ドキュメントまたは販売パートナーを通じて確認する必要があります。

表2 Gemini Enterpriseの主なエディション

エディション 主な位置づけ 価格の目安
Gemini Enterprise Business 小規模導入・部門導入向け 月額 21 ドル前後/ユーザー
Gemini Enterprise Standard 本格導入の中心 月額 30 ドル台~/ユーザー
Gemini Enterprise Plus 上位機能・大規模活用向け 個別条件・上位価格帯
Gemini Enterprise Frontline 現場スタッフ向け展開 個別条件

※本表の価格は執筆時点の参考情報であり、エディション、契約条件、提供地域などにより変更される可能性があります。最新の情報は公式ドキュメントまたは販売パートナーをご確認ください。

Gemini Enterpriseの料金は「いくらか」だけでなく、「どう広げるか」とセットで考える必要があります。ここを誤ると、PoCには成功しても全社定着でつまずきます。

特に、対象ユーザー数や適用範囲が広がるほどコスト構造は大きく変わるため、初期段階からスケールを見据えた設計が重要です。

逆に言えば、最初から対象業務・対象部門・運用体制をセットで設計できれば、生成AIを単発導入で終わらせず、業務基盤として育てていきやすくなります。

Gemini Enterprise導入時によくある質問

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 入力した社外秘データが学習に使われることはないのか
A1.

企業向け生成AIを選ぶ際、最もよく聞かれる論点の一つです。Gemini Enterpriseは企業向けの安全な利用環境として案内されており、管理・監査を含めた運用が前提です。ただし、重要なのは製品説明を鵜呑みにすることではなく、自社の契約条件、対象データ、接続範囲、監査要件に照らして確認することです。特に大企業では、法務・情報セキュリティ部門も交えたレビューが不可欠です。

Q2. Google以外の外部データとも連携できるのか
A2.

可能です。各種コネクタを通じて、Google製品以外のデータも横断検索の対象に含めることができます。ただし、どこまでつなげるか、どの範囲で使うかは、構成・契約・時期によって変わるため、個別要件で確認する必要があります。

Q3. Gemini EnterpriseとGoogle WorkspaceのGeminiは何が違うのか
A3.

Google WorkspaceのGeminiは、GmailやGoogleドキュメントなどの業務アプリ内で使うAI機能で、日常業務の効率化を目的としています。一方で、Gemini EnterpriseはGoogle Cloud上の企業向けAI基盤で、社内データや各種SaaSを横断して活用できる点が特徴です。つまり、アプリ内の支援ツールか、企業全体のデータ活用基盤かという役割の違いがあります。

Q4. ハルシネーションは防げるのか
A4.

完全には防げません。これはGemini Enterpriseに限らず、生成AI全般に共通する前提です。だからこそ、社内データへ接続して文脈を与えること、重要な意思決定では人の確認を残すこと、運用ルールを定めることが必要です。Gemini Enterpriseは、検索、コネクタ、監査、ガバナンスを含めて設計されている分、"防ぎきれない前提でどう実務へ組み込むか"を考えやすい製品だと言えます。

Q5. いきなり全社導入しなくてもよいか
A5.

むしろ、段階導入の方が現実的です。情シス/DX推進/利用部門の三者で対象業務を絞り、効果が見えやすい領域から始める方が、権限設計、ログ確認、社内教育、運用ルール整備までを無理なく進められます。Gemini Enterpriseはエディションの選択肢もあるため、深く使う部門と広く使う部門を分けて設計しやすく、スモールスタートから本格展開へつなげやすい構成です。

まとめ

Gemini Enterpriseは、単なる企業向けチャットAIではなく、企業内に分散した情報を仕事で使える形へ変えていくためのAI基盤です。特に、情シスやDX推進の立場から見ると、重要なのはモデル性能の高さだけではなく、既存の業務環境へどう接続できるか、権限や監査をどう維持できるか、運用まで含めて管理できるかにあります。

また、Gemini EnterpriseはGoogle Workspace中心の企業だけの選択肢ではありません。Microsoft 365や各種業務システムを併用する大企業にとっても、散在する情報を横断し、AIを業務へ組み込むための基盤として有力です。生成AIの導入で本当に問われるのは、「どのAIが賢いか」よりも、「自社の情報とAIをどう繋ぎ、業務プロセスを自動化するか」です。

SCSKでは、Google Cloud活用支援を通じて、生成AI導入の企画段階から設計、検証、実装、運用までを支援しています。Gemini Enterpriseを自社でどう位置づけるべきか、どの部門から始めるべきかを整理したい場合は、まずは小さく始められるユースケースの洗い出しから進めてみましょう。

ぜひ一度 SCSK にご相談ください!

  

サイ ウショウ

この記事の執筆者

サイ ウショウ

Sai Ushou

SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ クラウド事業本部 クラウド営業部

AWS/Google Cloud/Microsoft領域でデジタルマーケティングを担当。
イベント企画、リードナーチャリング、サイト改善まで幅広く対応しています。

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