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ランサムウェア時代に備える:
3-2-1ルールを"どうアップデート"すべきか

クラウド
2026.01.28

企業のIT担当者として、日々の業務に追われる中で「自社のバックアップ体制は、本当に大丈夫だろうか」という不安を感じたことはありませんか。

近年、ランサムウェアなどの脅威はますます巧妙かつ悪質になり、バックアップデータ自体が標的となるケースも増えています。

こうした背景から、データ保護の基本として知られる「3-2-1ルール」が改めて注目されていますが、現代の脅威を前にすると、もはや「3-2-1」だけでは十分とは言えません。

本記事では、「3-2-1ルール」の基本から、なぜそれだけでは不十分なのか、そしてランサムウェア時代に合わせてどうルールを"アップデート"すべきかを具体的に解説します。

なぜ今あらためて "3-2-1ルール" が注目されるのか

「3-2-1ルール」は、以前からデータ保護の基本原則として知られてきました。しかし近年、その重要性が再び強く意識されるようになっています。その背景には、企業を取り巻くIT環境の大きな変化と、データ消失リスクの多様化・深刻化があります。

今なぜ「3-2-1ルール」が見直されているのか、4つの観点から整理します。

1.ランサムウェア被害の深刻化

近年、企業規模を問わずランサムウェアによる被害が急増しています。業務停止や多額の身代金要求など、経営への影響も深刻で、「自分たちは大丈夫」とは言い切れない時代になりました。

2. バックアップまで狙う巧妙化

攻撃者は単に業務データを暗号化するだけでなく、復旧の要となるバックアップデータ自体を破壊・暗号化する手口を多用しています。これにより、「バックアップがあれば安心」という従来の常識が通用しなくなっています。

3. クラウド利用の増加で "データの置き場" が複雑化

クラウドサービスやSaaSの普及により、データの保存場所が社内外に分散。便利になった反面、「どこに何があるか分かりづらい」「設定ミスで消えてしまった」など、管理の難しさも増しています。

4. 内部不正・人為的ミス

外部からの攻撃だけでなく、社内の悪意ある操作や誤操作によるデータ消失リスクも依然として高いままです。権限を持つ担当者による誤削除や、意図的な改ざん・消去など、バックアップ運用体制そのものが問われる場面もあります。

このような多様なリスクが重なり合う今こそ、基本に立ち返り、現代の脅威に合わせて原則をアップデートする必要があるのです。

バックアップの基本原則「3-2-1ルール」とは

「3-2-1ルール」はデータ損失のリスクを最小限に抑えるためのバックアップ戦略の基本原則です。
特定の製品や技術に依存しない普遍的な考え方であり、企業規模や業種を問わず、堅牢なバックアップ体制の基礎となります。

このルールの名前は、3つの数字が示す以下の要素に由来します。

"3" 『3つのデータコピーを保持する』
オリジナルデータに加え、2つのバックアップを用意することで、障害や消失、ランサムウェア被害など、万が一の際もデータを守る冗長性を確保します。
例:本番サーバーのデータ+外付けHDD+クラウドストレージ

"2" 『2種類の異なるメディアに保存する』
異なる種類の媒体に分散して保存することで、特定のメディア固有の障害やトラブルによるデータ損失リスクを低減します。
例:内蔵HDDとクラウドストレージ、または外付けHDDとテープ

"1" 『1つはオフサイト(遠隔地)に保管する』
地理的に離れた場所に保管することで、火災や水害、ランサムウェアの巻き添えなど、同じ場所で起きるトラブルからデータを守ります。
例:社内サーバーとクラウド、または別拠点のデータセンター

このルールに従うことで、単一障害点(SPOF)を排除し、物理災害やサイバー攻撃による"全損"リスクも大きく減らせます。

なぜ"従来の3-2-1"だけでは不十分になってきたのか

「3-2-1ルール」は、長年にわたりデータ保護の基本原則として多くの企業で採用されてきました。
しかし、IT環境や脅威の変化により、このルールを守っているだけでは、もはや"万全"とは言えなくなっています。
では、なぜそう言えるのでしょうか?現場で実際に起きている新たなリスクや課題を具体的に見ていきます。

● ランサムウェアがバックアップも暗号化

前述の通り、最近のランサムウェアは、バックアップ領域まで標的にするケースが増えています。バックアップデータそのものが暗号化・削除されてしまい、いざという時に復旧できない事例も少なくありません。さらに、近年のランサムウェアはシステム内に長期間潜伏し、管理者が気付かないうちにバックアップデータにも感染を広げることがあります。
このような場合、管理者は通常通り定期的にバックアップを取得し、不要になった古いバックアップデータを削除する運用を続けてしまいます。
その結果、攻撃が発覚した時点では、保持していたバックアップデータがすべて感染済みとなり、復旧に利用できるバックアップが一つも残っていない――といった事態に陥ることもあります。

● クラウド利用拡大による依存リスク

クラウドサービスの普及により、データの保存や管理が便利になった一方で、特定のサービスやアカウントに依存しすぎると、障害や設定ミス、アカウントの不正利用などによって、一度に多くのデータを失うリスクも高まっています。

● SaaSデータのバックアップ抜け漏れ

クラウド型の業務ツールやサービスは、サービス側で一定の冗長化や保護がされていますが、
ユーザー自身によるバックアップや復旧手順が十分に整備されていない場合も少なくありません。
そのため、誤削除や予期せぬトラブルが発生した際に、データを取り戻せないリスクが残ります。

● 人的ミスや設定不備のリスク

バックアップの設定や運用は、自動化が進んでいるとはいえ、どうしても人の手に頼る部分が残ることが多いものです。
そのため、設定ミスや手順の抜け漏れが思わぬトラブルにつながり、「バックアップは取っていたのに使えなかった」というケースも現場ではしばしば見受けられます。

こうした現実をふまえ、「攻撃されることを前提とした設計」「運用体制の見直し」が、今や必須となっています。

最新のバックアップ指針「3-2-1-0/3-2-1-1-0」とは

従来の3-2-1ルールが抱える課題に対応するため、より強固なデータ保護を実現する発展形として「3-2-1-0」や「3-2-1-1-0」という考え方が広がっています。

新たに追加された「1」と「0」の内容や具体例をご紹介します。

"1" 『1つは「オフライン」または「イミュータブル」な状態で保管する』
管理者権限でも改ざん・削除できない状態や、物理的にネットワークから隔離することで、ランサムウェア等によるバックアップ破壊を防止します。
例:イミュータブルストレージ、WORMストレージ、テープ保管、エアギャップNAS

"0" 『0(ゼロ)エラー』
定期的な「復旧テスト」を実施し、エラーなく完了することを確認することで、いざという時に「バックアップはあったが、壊れていて使えなかった」という最悪の事態を防ぎます。
例:定期的なリストアテスト、ゼロエラーの検証記録

アメリカのCISAやNIST、日本の警察庁・警視庁などの公的機関でも、従来の3-2-1ルールを発展させた「3-2-1-1-0」などの考え方(オフライン保存やイミュータブル、復旧テストの実施など)が推奨されています。

実際にどう運用すれば安全?

バックアップの設計や運用は、理論だけでなく「現場でどう動かすか」が重要です。
日々の運用の中で無理なく続けられる仕組みを整えることが、確実なデータ保護につながります。

・バックアップの世代管理
世代管理とは、異なる時点のバックアップデータを複数世代にわたって保管することです。
例えば日次・週次・月次など、さまざまなタイミングで取得したバックアップデータを複数世代にわたって保持しておくことで、人的ミスやシステム障害が発生した際にも、問題が起こる前の状態にデータを戻すことができます。
特に、ランサムウェアが長期間システム内に潜伏する場合、気付かないうちにバックアップが汚染されてしまうリスクがあるため、「最新だけ」ではなく「複数世代」の保持により、感染前の時点で取得したバックアップから復旧できる可能性が高まり、より確実なリスク対策となります。
また、保存容量の最適化や運用負荷軽減のために、古い世代の自動削除や世代数の調整など運用負荷を減らす工夫も有効です。

・自社(オンプレ)+クラウドのハイブリッド運用

自社サーバーとクラウドの両方にバックアップを持つことで、災害や障害時にも柔軟な復旧が可能です。オンプレミスとクラウドの組み合わせは、BCP(事業継続計画)観点でも有効です。
クラウドサービスは遠隔地保管や冗長化が容易な一方、自社内のバックアップは即時復旧や運用の自由度が高いというメリットがあります。両者を組み合わせることで、リスク分散と復旧力の強化が図れます。

・ イミュータブル(不変)バックアップの活用

改ざん不可のイミュータブルストレージを利用することで、管理者権限でも消せない"最後の砦"となり、ランサムウェアによるバックアップ破壊リスクを大幅に低減できます。

・ランサム攻撃の"兆候検知"と連携
異常なデータ増加やアクセスを検知した場合、バックアップの取得を一時停止し、既存のバックアップを消去しないようにする仕組みも重要です。
最近では、AIや監視ツールを活用した異常検知と自動連携によるバックアップ保護も注目されています。

・物理メディアの管理やSaaSデータのバックアップ

外付けHDDやテープなどの物理メディアは、管理や保管場所の工夫が必要です。また、SaaSのデータバックアップも「つい忘れがち」なポイントです。
こうした見落としを防ぐためには、運用ルールやチェックリストを活用し、定期的な確認や手順の見直しを行うことが大切です。

設計段階での仕組みづくりと、監視・運用といった現場での実践が両輪となることで、バックアップ運用の安全性は大きく高まります。
自社の環境や運用体制に合わせて、無理なく続けられる仕組みとルールを整備しましょう。

よくあるつまずきポイント(導入・運用の壁)

バックアップの設計や運用を進める中で、多くの企業や担当者が直面しやすい"つまずきポイント"があります。導入・運用の現場でよく見られる課題と、その乗り越え方のヒントを紹介します。

● コスト増・運用負荷の増大

"バックアップ強化に取り組むと、ストレージ容量や運用作業が増え、コストや担当者の負担が大きくなりがちです。
【対策例】
・必要な世代数や保存期間を見直し、無理のない範囲で運用する
・自動化ツールやクラウドサービスの活用で、作業負荷を軽減する

● オンプレ/クラウド混在による管理の複雑化

オンプレミスとクラウドを組み合わせや複数のクラウド・拠点が混在すると、管理対象や運用ルールが複雑になり、ガバナンスが難しくなることがあります。
【対策例】
・命名規則や権限設計、バックアップ対象や運用ルールを明確にし、チェックリスト化する
・一元管理できるツールやサービスを活用する

● 運用ルール・チェック体制の不備による見落とし

バックアップ運用のルールやチェックリストを作成しても、日々の業務に追われて形骸化したり、定期的な見直しが行われないと、
新たに導入したSaaSやクラウドサービスがバックアップ対象から漏れてしまうことがあります。また、運用ルールが現場に浸透していないと、チェック漏れや対応遅れが発生しやすくなります。
【対策例】
・運用ルールやチェックリストを定期的に見直し、現場の実態に合わせて更新する
・新サービス導入時には必ずバックアップ運用も見直す
・第三者チェックや自動通知機能を活用し、運用ミスや見落としを防ぐ

● 復旧手順の曖昧さ・訓練不足

バックアップを取得していても、いざという時に「どうやって復旧するのか」が曖昧だったり、担当者が実際に復旧作業を経験していないケースが多く見られます。
【対策例】
・定期的な復旧テストや訓練を実施し、いざという時に慌てない体制を作る

これらの"つまずきポイント"は、どの現場でも起こりうるものです。
「完璧な運用」を目指すのではなく、自社の体制やリソースに合わせて、できるところから一歩ずつ改善していくことが大切です。

まとめ:3-2-1は"今も有効"、ただし"運用しやすいかが鍵

この記事では、データ保護の基本原則である「3-2-1ルール」から、ランサムウェア時代に対応した最新の「3-2-1-1-0ルール」、そして実践的な運用ポイントまでを解説しました。

バックアップの基本原則である「3-2-1ルール」は、現在も有効な考え方です。
原則は変わりませんが、ランサムウェアなど攻撃手口は年々進化しており、従来の方法だけでは十分に守りきれないケースも増えています。
そのため、記事内で紹介した「3-2-1-1-0」など、より強固なバックアップ運用の新しい指針も登場しています。イミュータブル(不変)ストレージや復旧テストゼロエラーなど、最新の考え方を取り入れることで、より高い安全性を目指すことができます。

ただし、こうした最新ルールを"そのまま強制"するのではなく、自社の環境や運用体制に合わせて、無理なく続けられる仕組みやルールにカスタマイズすることが何より重要です。

「完璧」を目指すのではなく、まずはできるところから一歩ずつ改善し、時代や脅威の変化に合わせて運用をアップデートしていきましょう。

SCSKのUSiZEで実現する最新バックアップとランサムウェア攻撃対策

この記事で解説したように、ランサムウェアの脅威は進化し続けており、従来の「3-2-1ルール」だけでは十分とは言えません。

SCSKでは、プライベートクラウドサービス「USiZE」(ユーサイズ)を通じて、こうした課題に対応するソリューションをご提供しています。

USiZEでは、ランサムウェアに強いイミュータブルなバックアップを取得できるバックアップサービスに加え、ランサムウェア攻撃に備えるための専用対策サービスをラインアップし、企業の事業継続を強力にサポートします。

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