Finance 金融

T.N.
金融ソリューション事業本部
金融ソリューション第二部 部長
経営学部卒業|1995年入社

入社以来、プロジェクトマネージャーとして、証券領域を中心に銀行、信託など金融向けシステムを多数開発。現在は部長として、AML(マネー・ローンダリング対策)およびSWIFT(国際銀行間通信協会)関連事業を統括する他、マネー・ローンダリングなど対策高度化推進を目的に設立したグループ会社にも携わっている。

T.A.
金融ソリューション事業本部
金融ソリューション第二部 副部長
工学部卒業|1997年入社

入社3年目からソリューション営業を担当。カードの不正検知やBPO事業推進などの経験を経て、2008年からAMLパッケージ「BankSavior®」の全国展開を推進。以来、「BankSavior®」の第一人者としてその進化と発展に寄与している。

記事内の情報は2023年度取材当時のものです

AML
(マネー・
ローンダリング対策)

AML事業の特色

金融機関のAML強化は
喫緊の課題

「マネー・ローンダリング(資金洗浄)」とは、犯罪などで得られた不法収益を、他人名義や架空口座を利用したり、複数口座を転々とさせたりすることによって出所をわからなくする行為です。マネー・ローンダリングされた不法収益は犯罪組織やテロ組織の資金源等になる可能性があるため、近年金融機関はマネー・ローンダリング対策(以下、AML)強化を進めてきました。
しかし、2021年8月、金融犯罪対策の国際基準を定める FATFは第4次対日審査報告書において、日本のAMLは一定の成果は認められるものの金融機関等に対する監督や、マネロン・テロ資金供与に係る捜査・訴追等に優先的に取り組むべき、と指摘。各金融機関のAMLの実効性向上が、喫緊の課題になっています。また、AMLを徹底することはSDGsの示す目標16「平和と公正をすべての人に」の実現にもつながります。
こうしたことから、SCSKはAMLを重点事業のひとつに掲げ、日本を代表するAML事業のリーディングカンパニーとして、金融機関の金融犯罪対策にかかる一連の業務をサポートしています。(T.N.)

SCSKのAML事業

BankSavior®
日本のAMLをリード

BankSavior®は、2005年に開発した当社オリジナルのAMLソリューションです。当時、すでにAMLの重要性は認識されており、規模の大きな金融機関は海外のAMLシステムをスクラッチで導入していました。しかし、その莫大なコスト負担から中小規模の金融機関ではまだ導入が進んでいませんでした。そのような中、偽造キャッシュカードや振り込め詐欺による被害拡大が社会問題化。私たちはその対策に、カード会社向けに提供していた不正検知システムをもとに、銀行向け不正検知システムとして製品開発を行い、BankSavior®として販売を開始しました。
私は2008年から営業推進を担当。全国の地銀を飛び回り、販売、導入に奔走しましたが、AMLは金融機関の直接的な収益につながるものではないため、どうしても投資は後回しにされがち。当初の販売実績は年間1~2件と、思うようには伸びませんでした。
AML事業に大きな変化が起きたのは2014年頃です。FATFが日本に対し、マネロン対策などの不備への迅速な対応を要請。これを受けて日本の金融機関が一斉にAMLの強化に乗り出しました。安価なパッケージソフトであるBankSavior®への引き合いが急激に増えると同時に、当局が求めるリスクベースアプローチに沿ったソリューションを求める声も多く寄せられるようになりました。そこで、BankSavior®シリーズにフィルタリングと顧客リスク評価機能を加え、クラウド基盤を活用したサービス提供型の次世代BankSavior®を開発。現在は地銀やネット銀行を中心に、資金移動事業者やクレジットカード会社など、銀行以外の金融機関も含めて80を超えるお客さまにBankSavior®を利用いただいております。(T.A.)

AML事業の今後

SCSKグループに
AML専門会社を。
日本を代表する専門家集団へ。

AML事業は、日本の中堅金融機関の金融犯罪対策を支え、お客さまと共創を続け、時代と共に進化しつづけてきました。2010年に7行13名の参加で始めたユーザー会は、今年で14年目を迎え、60行150名を超える規模まで成長。AIとクラウドを活用した次世代BankSavior®の開発や、金融庁の助成事業に認定されたAI高度化事業など、次につながる投資開発も継続的に実施しています。
また、社会的にAMLの重要性が増し、2022年には取引モニタリングやフィルタリング業務の質の確保を目的とした改正資金決済法が施行されました。為替取引分析業が許可制となったことから、SCSKグループではAMLの専門会社「SCSK RegTech Edge」を立ち上げ、SCSKの完全子会社として事業承継をしています。(T.N.)

BankSavior®は金融犯罪の未然防止に大きな力を発揮しています。ある地銀では不稼働⼝座が再稼働したことをモニタリングで検知し、口座監視を続けていたところ、異常な入金を探知して特殊詐欺被害を未然に防ぐことができました。こうした事例は多数あり、目に見える形での社会貢献を実感します。とはいえ、金融犯罪の手口は年々巧妙化し、対策の高度化に終わりはありません。今後も政府や業界団体との協力を深め、日本を代表するAML専門家集団として、安心安全な社会を支えるシステム・サービスを提供し続けていきます。(T.A.)

Message 学生へのメッセージ

AML事業では、設計から構築、テストまで一連のシステム開発を短期間で経験できます。また、金融犯罪対策という社会貢献性の高い事業に携われることも魅力です。ひとつひとつのプロジェクトは少人数制となるため、さまざまな経験ができ、スキルの向上を図れます。また、システム開発に加え、クラウド環境やAI活用など色々な分野でスキルを磨くことができ、適性を踏まえたキャリア形成が可能です。(T.A.)

AMLという専門特化した領域では、金融機関における業務目線での専門性も高めていく必要があり、尖った知識と経験を積むことができます。イベント開催などのプロモーション活動や、マーケット分析・営業戦略立案などの事業企画などもあるので、将来、コンサルティングやプランナーへの転身も視野に入れられます。ぜひ若い世代にも、当事業の未来を担ってもらいたいですね。(T.N.)