事業戦略と人材ポートフォリオ
事業戦略と人材戦略の動的な連動
事業戦略と動的に連動する中期の人材ポートフォリオ計画を、各事業をマネジメントする組織単位で策定し、その計画に基づきOJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成やリスキリングを実行することで、事業戦略に合致したスキルや高度な専門性を有する社員を育成しています。また、多様な社員がそれぞれの能力や意欲を最大限に発揮できるよう、事業の構造改革、適材適所の人材配置、職場環境の整備などを同時に進めることで、人材価値最大化を目指しています。
これまでの取り組みにより、事業計画の達成に必要なスキル・人員構成を示す人材ポートフォリオと現状とのギャップを認識し、そのギャップを解消するための人材育成、安定的な人材確保、最適配置を計画し、実行するプロセスが浸透しつつあります。市場環境の変化に柔軟に対応しながら、この動きを一層加速させ、SCSKグループの人材価値最大化と企業価値向上を目指して取り組みを進めていきます。
人材価値最大化を実現するキャリア開発基盤
事業の成長と社員一人ひとりの成長を通じて人材価値を最大化するためには、事業戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動が求められます。そのため、自律的・戦略的・統合的なキャリア開発基盤として「iCDP(IntegratedCareer Development Plan)」を策定し、人事制度・施策とのつながりを重視した人材価値最大化の基本サイクルとして運用しています。
また、「iCDP」を効果的に運用するために、人材情報を可視化・分析するための人的資本管理システム「LAP-HCM」を導入しています。これにより、全社の人材戦略をはじめ、組織のマネジメントや育成計画の策定、社員一人ひとりのスキルアップと自律的なキャリア開発に活用し、ラーニングカルチャーの醸成にもつなげています。
学びと実践を積み重ね究めていく。それが喜びにつながる。
※HCM=Human Capital Management(人的資本管理)

統合的人材育成体系(SCSK i-University)
「SCSK i-University」は、継続的な学びと成長の機会を提供するための仕組みであり、教育体系のほか、仕組み・インフラを含む広義の人材育成体系です。全社教育では、人事制度の等級や専門性認定制度の専門性レベルに応じてマインド(人間力)・スキル(仕事力)両面の強化を目指し、「キャリア開発」「リーダーシップ開発」「グローバル能力開発」「専門能力開発」「Re-Skilling」の5つのカテゴリーによる200コース以上の研修を提供しており、2024年3月期のi-University全社教育参加者は26,900名(延べ参加者数)です。
i-Universityには社外派遣による越境学習も含まれており、異業種の方々との学び合いを通じた新たな視点の獲得や、社会との共創に向けたマインド醸成につなげています。

部門教育
- 全社共通教育の補完
- 事業グループ独自スキルの教育
仕組み・インフラ
- オンライン受講(集合研修、eラーニング)
- SCSKラーニングパーク(研修施設)
- MA-N@vi(受講管理システム)
- ProActive(人材管理システム)
事業戦略をリードする高度デジタル人材の育成
中期経営計画においては、先進技術者の育成に加え、コンサルティング機能の拡充や新規事業開発強化を担うコンサル・ビジネスデザイン人材、質の高いプロジェクト遂行とマネジメントができる高度プロジェクト・マネージャ人材の採用や育成強化について具体的な目標を設定し、高度デジタル人材の育成強化を図っています。
コンサル・ビジネスデザイン人材
市場をリードする事業推進、次世代デジタル事業創出に向けて、デザイン志向・リーンスタートアップの考え方に基づくプロセスに合わせ、実践ワークショップ型の育成プログラムを実施しています。新規事業開発や技術創出に必要な知識・スキルを習得する育成機会を増やし、2026年3月期までに500名以上のコンサル・ビジネスデザイン人材の育成を強化・拡充していきます。(2024年3月期実績319名)
デジタル先進技術者
デジタル技術の急速な発展やお客様のデジタル変革に対応できる先進技術者の育成が重要となります。デジタルスキル標準のロールやスキル項目に対応し、より実践力を高められる研修プログラムを拡充することで、クラウドやデジタル技術に関する専門的な能力を高め、2026年3月期までに3,000名以上のデジタル先進技術者の育成を強化していきます。(2024年3月期実績1,745名)
高度プロジェクト・マネージャ人材
案件規模が著しく拡大し、内容も複雑化している傾向を受け、難易度の高いプロジェクトにおいても高い品質を維持できるよう、事例研究やケースメソッドによる判断・行動力の強化、大規模プロジェクトを主導するマネジメントの要諦における研修を実施しています。PM専門部会のコミュニティ活動では、社内事例共有や人脈形成による組織的なプロジェクトマネジメント力の向上を図り、2026年3月期までに250名以上の高度プロジェクト・マネージャ人材の確保と育成を強化していきます。(2024年3月期実績183名)
デジタルスキル人材
新たなビジネスモデルやサービスの創出を促進するため、グループ会社を含む全社員を対象にデジタルスキル標準教育を実施しています。DXの概念や実現するための技術習得に加え、最新技術トレンドや市場動向について学ぶ意義と重要性を浸透させ、2026年3月期までに10,000名のデジタルスキル人材の育成を目指します。(2024年3月期実績3,772名)
自律的なキャリア開発支援
職業人生が長期化・多様化し、ビジネス環境の変化が極めて激しい中、自身のキャリアを積極的・継続的に開発していくことが求められます。社員一人ひとりが自身のキャリアに主体性を持って取り組む意識と行動力を高める「キャリアオーナーシップ」と、自律的に学び続ける文化「ラーニングカルチャー」の醸成を目指しています。
CDP制度(Career Development Plan)
社員一人ひとりが自律的なキャリア開発に取り組むことに加え、組織においては事業戦略に沿った人材ポートフォリオを意識し、事業戦略の達成を目指すことが重要です。自律的なキャリア開発基盤「iCDP」の中心に位置付けているCDP制度では、自身の強みと課題を振り返り、今後のキャリアについて社員一人ひとりが考え、上司に表明します。組織の期待を踏まえた1~2年後の業務アサインを考えるとともに、専門能力の向上に向けた育成計画を本人と上司ですり合わせ、能力発揮と成長意欲を高める重要な対話の機会としています。
専門性認定制度
社員の専門能力を「SCSKキャリアフレームワーク」に基づいて7段階のレベルで評価・認定することで、技術職・営業職の専門性とそのキャリアステップを可視化し、社員の成長を促しています。専門性認定審査のプロセスを通じて目指すレベルとのギャップを把握し、社員と上司で具体的な育成計画を作成・実行し、効果的に専門能力を向上させる取り組みを行っています。職種ごとの有識者で構成された専門部会を設け、認定審査の審議のほか、職種ごとのコミュニティ形成や事例共有等の育成活動に取り組んでいます。
また、2022年12月に経済産業省・IPAよりリリースされた「デジタルスキル標準」を活用し、デジタル人材の可視化を進めています。ビジネスイノベーション人材やマルチスキルを備えたエンジニア、セキュリティ/AI/データサイエンス人材など、時代のニーズに応じた専門性の強化を進めていきます。
人材公募制度(ジョブ・チャレンジ制度)
人材を求めるグループ各社の部署が人材募集を行い、各部署へ異動を希望する社員が応募することができます。募集部署による審査に合格すれば異動が実現する制度で、社員の成長と適材適所の実現を支援しています。(2024年3月期実績56名)
社内FA制度(キャリア・チャレンジ制度)
社員が自らの経歴やスキル、志望業務を希望する部署にアピールすることができます。希望部署からオファーを受けた社員は、交渉を経て希望部署と合意すれば異動が実現する制度で、社員の自律的なキャリア開発を支援しています。(2024年3月期実績10名)
自己研鑽の推進・支援(コツ活)
「コツコツと自己研鑽を重ねることが、勝つ・克つためのコツ」という考えの下、社員の自己研鑽を応援する施策として「コツ活」を実施しています。「学び手当」「資格取得報奨金」「学びインセンティブ」などの支給により自己研鑽を奨励し、多様な技術・知識の習得と経験を促進しています。また、さまざまな「コツ活」を社内で共有し、成長につながる継続的な学びを支援することで、社員同士で学び続ける意識を高め合うラーニングカルチャーの醸成を図っています。