気候変動に対応するデータセンターの取り組み
社会のデジタル化(デジタルトランスフォーメーション)への動きが加速する今日、ITインフラを支える基盤としてのデータセンターの役割がますます大きくなるなか、データセンター運営において気候変動への対応は重要な取り組みです。
企業には気候変動への対応として、CO2などの温室効果ガス排出量削減により地球温暖化の進行を抑制する「緩和」策と、気候変動に伴う自然災害などに備える「適応」策の二つが求められています。
SCSKグループのデータセンターは、気候変動への対応を高効率で自然災害に強い堅牢なファシリティと、省エネルギー運用によりサポートいたします。
環境負荷低減への貢献 -グリーンITの推進-
データセンターにおける主な温室効果ガスの排出要因は、IT機器やサーバー冷却用空調機器による電力消費です。
これらに対応するため、エネルギー効率の高いIT機器や高効率フリークーリングチラーの導入、冬期・中間期における外気冷却の採用、きめ細やかな空調制御などのさまざまな対策で、電力消費量の削減を推進しています。
各データセンターでは、データセンター省電力化を推進する米国業界団体「グリーン・グリッド(The Green Grid)」が発表した「PUE(Power Usage Effectiveness)」という指標を用いて、電力使用効率を定量的に管理しています。
また、サーバーの仮想化、クラウドサービス、実績豊富なエンジニアによる高品質な運用サービスの提供などを通じて、お客様のIT利用段階における環境負荷低減にも貢献しています。
これらの取り組みのほか、IT機器の利用・廃棄・リサイクルなども重要な観点であり、お客様のサーバー調達における機器選定や、機器の廃棄の際にも、環境に配慮した対応を実施しています。
データセンターにおける効率的な水使用についてはこちらをご覧ください。
自然災害に対するレジリエントな社会づくりへの貢献
近年、異常気象による事業への影響が、次第に顕在化してきています。SCSKグループのデータセンターは、高い事業継続性で、お客様のレジリエンス(※1)強化に貢献しています。
関東・関西それぞれに展開した大規模フラッグシップデータセンターは、日本データセンター協会(JDCC)が策定する「ファシリティスタンダード」の最高レベル、「Tier4」認証を取得しています。
地震、台風、竜巻、豪雨、洪水といった自然災害に強い堅牢なファシリティと、最先端技術を活用した万全のセキュリティを備えているSCSKグループのデータセンターは、多くのお客様にご利用いただいています。
また、災害時には、キッティングルームや会議室をディザスタリカバリルームとしてお客様に一部ご利用いただけるよう備えています。
- (※1)レジリエンス:災害などの状況下においても、機能を速やかに回復できる復元力、耐久力のこと
データセンターに関する詳細はこちらをご覧ください。

netXDC三田第2センター

netXDC千葉第2センター
資源・廃棄物削減への取り組み
資源・廃棄物削減の基本的な考え方
資源・廃棄物の削減は、グローバルな環境保全の課題であると同時に、企業としてのコスト削減にもつながる取り組みです。
SCSKで発生する廃棄物は、主に、オフィスで発生する紙ごみなどの一般廃棄物と、オフィスやデータセンターの活動から出る廃プラスチックや金属くずで構成されます。
これらの認識に立ち、SCSKでは、環境保全およびコスト削減の双方の観点から従業員に対する意識啓発を行いながら、廃棄物の削減とリサイクルを中心とした取り組みを進めています。
ペーパーレスの取り組み
SCSKでは全社的に「ペーパーレス会議」を推進しており、取り組み部署での購入枚数を4割以上削減(※1)するなど実績を挙げています。
通常のミーティングだけでなく、取締役会などもペーパーレスで実施しています。
(※1)2015年度を基準年とした場合の2023年度の削減実績
日常業務における一般廃棄物の削減
SCSKでは、日常業務における持続可能な資源の使用により、一般廃棄物の削減を進めています。例えば、ソフトウェアを保管する場合にはCDなどのディスク形式ではなく電子化(ダウンロード)することを従業員やパートナー企業に推奨したり、お客様にソフトウェアを提供する際の梱包材はできるだけ紙などのリサイクルしやすい素材を用いたりすることで、ステークホルダーと協働した取り組みに努めています。
廃棄物排出量の実績
SCSKでは、一般廃棄物について、全社の削減目標を設定し、定期的に実績を把握し、情報開示を行っています。
(廃棄物排出量の目標と実績は、環境目標を御参照下さい。)
なお、SCSKでは、事業を通じた有害廃棄物の排出はありません。
電子機器廃棄物の削減
SCSKでは、使用済みのIT機器を中心とした電子機器を、データの消去に関する社内ルールに基づき契約業者に引き渡し、リサイクルを行っています。
廃棄物削減に向けては、PCや携帯端末の在庫の管理と効率的な運用を徹底することで、それらの使用台数自体を適正な水準に抑えることも重要です。SCSKでは、各事業グループで使用している業務用の端末の在庫と運用状況を、専門部署で一元的に管理することにより、使用台数の適正化にも努めています。
水使用削減への取り組み
水リスク、水使用削減への基本的な考え方
世界的な水資源の不足を背景に、水の使用量を管理・削減することが社会から企業に期待されています。特に、原材料の生産などを含めたバリューチェーン全体を見た場合に水使用量が多い企業や、水不足が懸念される地域で操業している企業などにとっては、水の問題は事業継続性にも影響する重要なリスク要因となっています。
SCSKは、主にデータセンターおよびオフィスで水を使用しており、比較的使用量が多いのがデータセンターにおける空調・冷却用の使用です。ICTセクターであるSCSKの水利用は決して多いものとはいえませんが、水問題に対する社会的要請やリスクの高まりをふまえ、データセンターを中心とした水リスクへの対策、水使用の削減が大切であると認識して、取り組みを行っています。
水資源の効率的利用、削減に向けた取り組み
データセンターでは、サーバーなどのIT機器の安定的なパフォーマンスを確保するため、一部水を利用した空調・冷却設備を運用しています。SCSKグループでは、データセンター内の各エリア、各ラックの温度や湿度をリアルタイムでモニタリングし、きめ細かな最適化を実施することにより、空調・冷却におけるムダ・ロスを最小化しています。また、省エネルギー化による環境配慮型のデータセンター(netXDC千葉第3センター)では、IT機器の冷却に周囲の空気に熱を放出する空冷フリークーリングチラーを採用することで常に水の蒸発によって熱を放出する水冷ターボ冷凍機に比べ、年間約30万トンの水資源節約に貢献しています。
社員への啓発活動
環境教育
SCSKでは企業を取り巻く環境課題や機会の変化に対応し、ISO14001規格に基づく環境マネジメントを正しく運用していくため、 全役職員を対象に毎年e-ラーニングによる環境教育を実施しています。
環境貢献活動
SCSKグループでは、社会貢献活動としてさまざまな環境活動や地域活動を実施しています。
SCSKの社会貢献活動については、こちらをご参照ください。
温室効果ガス排出量削減に向けた主な取り組み
Scope1+2(自社排出分)の削減に向けた取り組み
データセンターにおけるエネルギー効率化
SCSKグループの温室効果ガス排出量の約8割を占めるデータセンターでは、設備機器の運転の適正化や照明のLED化など消費電力の低減に向けた取り組みにより、年間約477t-CO2を削減しました。
再生可能エネルギー/非化石証書の活用
SCSKグループでは再生可能エネルギーや非化石証書の活用により、温室効果ガス排出量の削減を進めています。
2023年度は、これらの活用により温室効果ガス排出量を約33,654t-CO2削減しました。その結果、同年度における再生可能エネルギー比率は47.3%となりました。
また、2023年度には、I-REC(※1)の発行を伴うPPA(※2)を国内で初めて締結しました。
SCSKグループのScope1、2の主な排出源は、電力の使用によるものです。排出量削減に向けて、排出状況の分析を進めるとともに、削減施策の継続的な検討と着実な実行を進めてまいります。

(※1)I-REC (International Renewable Energy Certificate)(読み:アイレック):国際的な「エネルギー属性証明」。世界60か国以上で発行され、発行量は283TWh(2023年)に及ぶ。世界の主要な報告の枠組みであるGHGプロトコル、CDP、SBT、RE100などから信頼性のある証明として認められている
(※2)PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約):企業が発電事業者から電力を調達する契約形態
オフィスにおける省エネルギー活動
SCSKは業界に先駆けて、2013年度より働き方改革の施策「スマート・ワーク・チャレンジ」を実施し、業務の効率化や残業時間の削減を実現するともに、SCSK事業におけるエネルギー消費の環境負荷低減に取り組んでいます。
さらに2015年度より、在宅勤務やリモート会議など、社員の移動を伴わない環境に配慮した働き方を推進しています。
オフィス内の節電取り組みも日々実施しており、服装も夏期の「クール・ビズ」冬期の「ウォーム・ビズ」に限らず、通年カジュアルスタイルを導入しています。
Scope3(サプライチェーン排出分)の削減に向けた取り組み
パートナー企業様との取り組み
SCSKグループのScope3の主な排出源はカテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ11(販売した製品の使用)によるものです。カテゴリ1については、物品販売に伴う仕入とパートナー企業への業務委託が主な排出源となっています。
温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを推進するにあたり、Scope3全体の25.94%を占める業務委託を対象に委託先企業の温室効果ガス排出量の実態把握が可能となる算定方法への切り替えに着手しています。委託先企業の温室効果ガス排出量の実態把握を通じて、排出量削減に向けたより効果的な施策の立案/実行を進めてまいります。
中核的な委託先であるCoreパートナー(※3)各社に対しては、SCSKグループの温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みについて説明や意見交換を行うとともに、温室効果ガス排出量のデータ提供をお願いするなど、ご理解をいただきながら具体的な取り組みを進めています。 このような取り組みを通じて、パートナー企業とともにScope3排出量の削減を加速させていきます。
(※3)Coreパートナー:より高い品質・生産性と継続的かつ安定的な取引を実現できる中核的なパートナー企業のこと

脱炭素社会の実現に資する製品・サービスの開発
SCSKグループでは、企業の脱炭素化・再生可能エネルギーの普及を促進するサービスにより、脱炭素社会の実現に貢献しています。
詳細は、統合報告書2023をご覧ください。
【企業の脱炭素化に貢献:GX.CONNECT/GX.CONCIERGE】


【再生可能エネルギーの普及促進に貢献: EneTrack】
