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【徹底解説】RAGとは?AIが賢く回答する仕組みをわかりやすく解説

AI
2025.07.31

近年、人工知能(AI)技術、特に大規模言語モデル(LLM)の進化は目覚ましく、ビジネスにおけるその活用への期待はかつてないほど高まっています。しかし、強力なツールであるLLMをビジネスで最大限に活用するには、いくつかの課題も存在します。

例えば、AIが「知らないこと」には答えられない、あるいは「古い情報」しか知らないために、求めている回答が得られないケースがあります。そこで、これらの課題を解決し、LLMの真価を引き出す画期的な技術として注目されているのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)です。
 
本記事では、RAGとは何か? その基本的な概念から、なぜビジネスで今、これほど注目されているのか、そして具体的な活用例まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

RAGとは? LLMの「弱点」を克服する画期的な技術

RAGは、「情報の取得(Retrieval)」と「生成(Generation)」という2つのステップを組み合わせた、AIの賢い回答を生み出すための技術です。

 
一般的なLLMは、インターネット上の膨大なテキストデータを学習することで、言語を理解し、文章を生成する能力を身につけています。しかし、LLM単体では、次のような課題がありました。
 

●回答精度の限界(「ぼんやりした」回答になりがち)

LLMが学習した範囲の情報しか持たないため、質問に対する回答が漠然としていたり、企業の内部情報や特定の製品の詳細など、学習データにない「専門的な内容」については、正確な回答ができない場合があります。例えば、「当社の新サービス〇〇について教えてください」と聞いても、LLMは一般的なサービスの説明しかできない、といったケースです。

  

●最新情報や詳細情報への対応の難しさ(「古い知識」しかないことも)

LLMが学習した時点での情報しか持たないため、常に変化する最新のトレンドや、特定の専門分野における詳細な情報に対応することが難しいという弱点があります。まるで「昔の百科事典」を読んでいるような状況になることがあります。

そこでRAGの出番です

RAGは、このLLMの弱点を補うために開発されました。RAGの仕組みは、私たちが何かを調べるときとよく似ています。

  

1. 情報の「取得(Retrieval)」

まず、ユーザーからの質問が来ると、RAGは社内のデータベースやドキュメント、ウェブサイトなど、指定された「信頼できる情報源」の中から、質問に関連する情報を素早く「検索して取得」してきます。

  

2.回答の「生成(Generation)」

次に、取得してきた「正確な情報」をLLMに渡し、その情報に基づいてLLMが質問に対する「回答を生成」します。これにより、LLMは自身の学習データだけでなく、最新かつ正確な情報ソースを参照して、より具体的な回答ができるようになるのです。

※質問から回答までのイメージ図

※通常のLLMとRAGありLLMの回答の違い

RAGの効果を比較した実例:具体例でわかるその威力

RAGが実際のビジネスシーンでどのような効果をもたらすのか、その違いを具体的な例で見てみましょう。ある企業のAサービスに関する問い合わせの回答を、RAG「なし」の場合と「あり」の場合で比較してみます。

 
 
この比較からわかるように、RAGを活用することで、LLMは「一般的な回答」に留まらず、「社内文書に基づいた、具体的で精度の高い回答」が可能となります。これは、顧客満足度の向上や、社内業務の効率化に直結する大きなメリットです。
  
  

RAGがビジネスにもたらす具体的な3つのメリット

①回答精度の劇的な向上(「質問に的確に答える」AIへ)

企業の持つ独自のドキュメントや最新の社内ナレッジを参照することで、一般的なLLMでは難しかった、より専門的で正確な回答が可能になります。これにより、お客様からの問い合わせ対応や、社内での情報検索において、質の高い情報を提供できるようになり、顧客体験の向上や業務効率化に貢献します。
  

②ナレッジ活用の最適化とパーソナライズされた情報提供(「必要な情報がすぐ見つかる」)

社内に散在するドキュメントやデータベースの情報をRAGで統合的に活用することで、従業員は必要な情報に素早くアクセスできるようになります。さらに、RAGは利用者の役割や権限に応じて参照するナレッジを制御できるため、ユーザーごとに最適化された情報を提供できます。これにより、機密情報の保護や、各部門・個人に特化したサポートが可能になり、ナレッジマネジメントの最適化が図られ、業務効率が向上します。
  

③開発期間とコストの削減(「スピーディーに導入できる」)

RAG環境の構築には専門的な知識が必要ですが、テンプレートなどを活用することで、ゼロからシステムを構築するよりもはるかに短期間で、かつコストを抑えてRAG環境を導入することが可能です。これにより、まずは小さく試して効果を検証するPoC(概念実証)から、本格導入までをスムーズに進めることができます。
  

まとめ

RAGは、LLMの持つ「自然な文章生成能力」と、企業が保有する「正確で専門的なナレッジ」を組み合わせることで、ビジネスにおける情報活用を次のレベルへと引き上げる強力なソリューションです。社内ヘルプデスクの業務効率化、専門分野のナレッジ検索システムの活用、従業員への情報提供のパーソナライズなど、様々なビジネスシーンでの応用が期待されます。
  

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