SCSKは、経営の透明性を確保し、適正なガバナンス体制と監視体制の強化、継続的なリスク管理で経営の健全性の維持・向上に努めています。
基本的な考え方
SCSKグループは、企業としての社会的責任を念頭に、株主をはじめとするさまざまなステークホルダーを視野に入れたサステナビリティ経営を実践していきます。
この観点から、経営の効率性の向上と経営の健全性の維持、およびこれらを達成するための経営の透明性の確保が、SCSKグループのコーポレート・ガバナンスの基本であり、経営の最重要課題の一つであると認識した上で、SCSKに最もふさわしい経営体制の整備・構築を目指しています。
なお、SCSKは東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」に定められている各原則のすべてを実施しており、コーポレート・ガバナンス報告書において各原則に基づく開示事項の詳細を記載しています。
コーポレート・ガバナンス体制

2023年6月22日時点
取締役会および各委員会の構成
◎:議長、委員長 〇:委員 ( ):出席状況※1
役職名 | 氏名 | 取締役会 | 監査等 委員会 |
ガバナンス委員会 | |
---|---|---|---|---|---|
利益相反取引管理等 諮問部会※4 |
指名・報酬等 諮問部会 |
||||
代表取締役 執行役員 会長 | 山埜 英樹 | (11回/11回) | − | − | 〇 |
代表取締役 執行役員 社長 | 當麻 隆昭 | (11回/11回) | − | − | 〇 |
取締役 執行役員 副社長 | 福永 哲弥 | (13回/13回) | − | − | − |
取締役 執行役員 専務 | 尾﨑 務※3 | (−) | − | − | − |
取締役 | 中島 正樹※3 | (−) | − | − | − |
取締役※2 | 久保 哲也 | ◎ (13回/13回) |
− | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員) | 實野 容道※3 | (−) | ◎ (−) |
− | − |
取締役(監査等委員)※2 | 白石 和子 | (13回/13回) | (13回/13回) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 三木 泰雄 | (11回/11回) | (11回/11回) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 平田 貞代 | (11回/11回) | (11回/11回) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 松石 秀隆※3 | (−) | (−) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 早稲田 祐美子※3 | (−) | (−) | ◎ | ◎ |
※1 出席回数は2022年4月~2023年3月の実績
※2 社外取締役
※3 新任(2023年6月より)
※4 利益相反取引管理等諮問部会においては、このほか独立した社外の有識者(弁護士)1名を委員として選任
少数株主の保護に関する方策
親会社からの独立性確保における少数株主保護の方策
SCSKは、少数株主保護の観点から、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員である社外取締役6名を含む12名の取締役で取締役会を構成し、独自に経営上の重要事項の意思決定および業務執行の監督を行っています。また、SCSKと株主共同の利益に適切な配慮がなされ、公正性と透明性を確保していくため、取締役会などの諮問機関として独立社外取締役および独立した社外の有識者にて構成されるガバナンス委員会 利益相反取引管理等諮問部会を設置しています。
親会社から1名がSCSKの取締役に就任しており、事業基盤の強化・拡充を図っています。なお、事業展開における業務執行上の重要事項は、取締役会で合意の上決定されており、上場会社としてのSCSKの経営判断については、自主性・独立性が確保されています。
親会社との取引における少数株主保護の方策
SCSKは、親会社である住友商事株式会社との取引に関して、少数株主に不利益を与えることのないよう対応しています。
2021年度における親会社に対する売上比率は5.2%であり、事業活動における親会社からの制約はなく、また、取引条件も、資本関係のない取引先と通常取引をする場合と同一としており、一定の独立性が確保されていると認識しています。
該当取引のうち重要な取引については、ガバナンス委員会利益相反取引管理等諮問部会に事前に諮問し、答申を得た上で、取締役会において取引の可否を判断しています。
さらに、親会社との取引の状況については、ガバナンス委員会 利益相反取引管理等諮問部会に定期的に報告することにより、その公正性を担保しています。
取締役の選解任と手続
取締役(監査等委員である取締役を除く)の選解任については、ガバナンス委員会 指名・報酬等諮問部会に諮問し、監査等委員会の意見を踏まえて、取締役会にて決議の上、株主総会に選解任を諮っています。また、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会において同意を得ることとし、同様のプロセスにて選解任を行っています。
また、取締役会メンバーの構成・規模については、SCSKの取締役会全体として備えるべきスキルを踏まえ、各取締役が保有するスキルのバランスと多様性に配慮しながら決定しています。
なお、取締役による職務執行の監督機能の維持・向上のため、一般株主との利益相反のおそれのない独立社外取締役を継続して選任しています。広範な事業活動を通じた経営判断力を有する社外取締役は、取締役会に出席し、企業価値最大化に向けた提言を行っています。
社外取締役 | 選定理由 | |
---|---|---|
久保 哲也 (取締役会議長) |
独立役員 | 長年にわたり大手金融機関において要職を歴任し、豊富な経営経験とグローバルビジネスに関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、社外取締役に選任しています。 |
白石 和子 | 監査等委員 独立役員 |
外交官として要職を歴任し、豊富なグローバル経験と環境・社会・人権に関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
三木 泰雄 | 監査等委員 独立役員 |
IT企業での豊富な経営経験とテクノロジに関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
平田 貞代 | 監査等委員 独立役員 |
エンジニアとしての豊富な経験とIT及び技術経営に関する学術的な見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
松石 秀隆 | 監査等委員 独立役員 |
長年にわたり大手電気機器企業にて要職を歴任し、豊富な経営経験とマーケティングに関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
早稲田 祐美子 (ガバナンス委員会委員長) |
監査等委員 独立役員 |
弁護士としての専門的な知識・経験と環境・社会・人権に関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
取締役会全体として備えるべきスキル
SCSKグループの成長戦略を推進していくために取締役会の全体として備えるべき重要な知識や経験、能力などを次のとおりスキルとして一覧化し、保有スキルのバランスと多様性に配慮しながら取締役会メンバーの構成・規模を決定しています。
スキル | 略称 | 選定理由 |
---|---|---|
企業経営経験 | 企業経営 | 多岐にわたるビジネスにおける機会とリスクを評価し、適切な投資を通じて持続的成長を担保するため。成長戦略としてのサステナビリティ経営を推進する上で、さまざまな社会課題の解決を収益機会としてとらえ、その解決に積極的に取り組むにあたり、経営資源への投資を含めた最適な経営判断を行うため。 |
財務・会計に関する専門性・経験 | 財務・会計 | 事業の成長性と収益性を評価し、高い資本効率を実現するため。適時適切な開示と透明性の高いガバナンスを実践するため。 |
テクノロジ全般に関する専門性・先見性・経験 | テクノロジ | テクノロジを利用して企業・社会の課題を解決するため、幅広い分野の先端技術の導入に向けた適切な経営判断を行うため。 |
組織および人材マネジメントに関する専門性・経験 | 組織・人材 | 多様なスキル・経験をもつプロフェッショナルが、価値観を共有し、多様性と専門性を活かしながら、活躍・成長し続けられる機会と組織づくりを実現するため。 |
市場、経済環境・動向に関する専門性・経験 | マーケティング | 社会、経済環境の変化から生ずる課題を見極め、そのソリューションの開発、提供を適切に行うため。 |
環境・社会・人権に関する専門性・経験 | 環境・社会・人権 | 地球温暖化や人権問題、地域間格差など社会課題を的確に認識し、SCSKが貢献できる分野を見極めるとともに、健全なバリューチェーンの確立など企業としての社会的責任を果たすため。 |
法務・リスク管理に関する専門性・経験 | 法務・リスク管理 | コンプライアンスを遵守し、経営に対する実効性の高い監督を行うと共に、リスク管理などに関する適切な管理体制を構築・実践するため。 |
グローバルビジネスに関する専門性・経験 | グローバル | グローバルベースのデジタル化の動きをSCSKの成長機会として取り入れるため。 |
各取締役が有するスキル(スキル・マトリックス)
氏名 | SCSKにおける地位 | 企業 経営 |
財務・会計 | テクノロジ | 組織・人材 | マーケティング | 環境・社会・人権 | 法務・リスク管理 | グローバル |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山埜 英樹 | 代表取締役 執行役員 会長 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
當麻 隆昭 | 代表取締役 執行役員 社長 | ● | ● | ● | ● | ||||
福永 哲弥 | 取締役 執行役員 副社長 | ● | ● | ● | |||||
尾﨑 務 | 取締役 執行役員 専務 | ● | ● | ||||||
中島 正樹 | 取締役 | ● | ● | ||||||
久保 哲也 | 取締役 (社外取締役) |
● | ● | ● | |||||
實野 容道 | 取締役(監査等委員) | ● | |||||||
白石 和子 | 取締役 (監査等委員 社外取締役) |
● | ● | ||||||
三木 泰雄 | 取締役 (監査等委員 社外取締役) |
● | ● | ||||||
平田 貞代 | 取締役 (監査等委員 社外取締役) |
● | ● | ||||||
松石 秀隆 | 取締役 (監査等委員 社外取締役) |
● | ● | ● | ● | ||||
早稲田 祐美子 | 取締役 (監査等委員 社外取締役) |
● | ● |
取締役会における審議の活性化

法務部を中心とした取締役会事務局にて、取締役会資料を充実させるとともに、社外取締役への事前説明を行い、取締役会当日の議論が活発で実質的なものとなるよう努めています。
また、取締役会の年間スケジュールや審議事項について、可能な限り事前に決定しておくことや、継続的に取締役会付議基準の見直しを行い、取締役会決議を要する事項を厳選し、真に重要な事項について十分に時間をかけた審議が行えるよう対応しています。
2022年度取締役会の実効性評価
取締役会実効性向上への取り組み
SCSKでは、取締役会の機能を向上させ、ひいては企業価値を高めることを目的として、2017年3月期より取締役会の実効性について、自己評価・分析を毎年実施しています。
SCSKの取締役会では実効性評価の結果も踏まえ、抽出された課題について十分な検討を行った上で迅速に対応し、取締役会の機能を高める取り組みを継続的に進めていきます。
評価方法
2022年度の自己評価・分析については、外部機関の助言を得ながら、2023年2月に取締役会の構成員であるすべての取締役を対象にアンケートを実施しました。
なお、回答方法は外部機関に直接回答することで匿名性を確保し、外部機関からの集計結果の報告を踏まえた上で、2023年5月の取締役会において、分析・議論・評価を行いました。
役員報酬
役員報酬の基本方針・報酬決定の手順
SCSKでは、取締役の報酬などの上限額を定時株主総会で定めており、業績連動報酬などを含めた年間の役員報酬はその上限額の範囲内で支給することとしています。
取締役(社外取締役および非常勤取締役ならびに監査等委員である取締役を除く)の報酬に関する方針や手続き、算定基準、報酬水準については、独立社外取締役が委員の過半数を占めるガバナンス委員会 指名・報酬等諮問部会に諮問し、取締役会にて決議し、監査等委員会にて、報酬などの算出の公平性および業績が考慮され役割と職責に応じた水準であることの妥当性を判断しています。
また、監査等委員である取締役の報酬については、会社法第361条第3項の規定に基づき、監査等委員である取締役の協議によって定めています。

役員報酬の種類、概要および構成

業績連動報酬の方針および指標
①短期業績連動報酬(金銭報酬)

短期業績連動報酬は、役位別に定める標準額に対し、当該年度の会社業績および個人業績に応じて変動し、事業年度終了後に支給しています。
なお、会社業績および個人業績の構成割合は、執行役員 会長および執行役員 社長は会社業績 100%、執行役員 副社長および執行役員 専務は会社業績 60%、個人業績 40%としています。
会社業績

※1 年平均成長率(CAGR)および当年度計画に対する達成率は、それぞれ売上高を30%、営業利益を70%の割合で算出
会社の持続的成長と業績計画の達成を促すため、中期経営計画期間中の売上高および営業利益の年平均成長率(CAGR)※1、当年度の売上高および営業利益の計画に対する達成率※1、それぞれに応じた係数を標準額に乗じて算出します。会社業績による変動幅は、標準額に対し-75%~+80%の範囲としています。
個人業績

- ※2 個人評価の項目
- 成長力ある事業領域への選択と集中
- 共感経営の推進(社員との理念、ビジョンの共有)
- 環境・社会・ガバナンスへの取り組み 等
中期経営計画の基本戦略・経営基盤強化策の実効性を高めるため、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを含む個人評価※2に応じた係数を標準額に乗じて算出します。個人業績による変動幅は、標準額に対し-100%~+50%の範囲としています。
②中長期業績連動報酬(株式報酬)
「グランドデザイン 2030」で描く持続的な企業価値向上を具現化するインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的に取締役(社外取締役および非常勤取締役ならびに監査等委員である取締役を除く)に対して、毎年、定時株主総会後に当社普通株式を譲渡制限付株式として交付します。
譲渡制限期間は、株主価値の共有を中長期にわたって実現するために、原則として譲渡制限付株式の交付日から役員を退任する日までの期間としています。なお、執行役員および業務役員に対しても、同様に譲渡制限付株式報酬を支給しています。
内部統制
SCSKでは、取締役の職務の執行が法令および定款に適合し、その他の業務ならびにSCSKおよび子会社からなる企業集団の業務が適正となるよう「内部統制システムの整備の基本方針」を制定しています。
この基本方針に従い、内部統制システムの有効性を継続的に確認するとともに、変化する経営環境に合わせて見直すことで、その時々の要請に合致した内部統制システムの構築を図っています。SCSKグループの事業において「業務の有効性および効率性」「財務報告の信頼性」「事業活動にかかわる法令などの遵守」「資産の保全」という四つの目的が達成されることを合理的に保証するため、ガバナンスの向上に取り組んでいます。