SCSKは、経営の透明性を確保し、適正なガバナンス体制と監視体制の強化、継続的なリスク管理で経営の健全性の維持・向上に努めています。
基本的な考え方
SCSKグループは、企業としての社会的責任を念頭に、株主をはじめとするさまざまなステークホルダーを視野に入れたサステナビリティ経営を実践していきます。
この観点から、経営の効率性の向上と経営の健全性の維持、およびこれらを達成するための経営の透明性の確保が、SCSKグループのコーポレート・ガバナンスの基本であり、経営の最重要課題の一つであると認識した上で、SCSKに最もふさわしい経営体制の整備・構築を目指しています。
なお、SCSKは東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」に定められている各原則のすべてを実施しており、コーポレート・ガバナンス報告書において各原則に基づく開示事項の詳細を記載しています。
コーポレート・ガバナンス体制
2024年6月20日時点
取締役会および各委員会の構成
◎:議長、委員長 〇:委員 ( ):出席状況※1
役職名 | 氏名 | 取締役会 | 監査等 委員会 |
||
---|---|---|---|---|---|
利益相反取引管理等 諮問委員会※4 |
指名・報酬等 諮問委員会 |
||||
取締役会長 | 山埜 英樹 | ◎ (12回/12回) |
− | − | 〇 |
代表取締役 執行役員 社長 | 當麻 隆昭 | (12回/12回) | − | − | 〇 |
取締役 執行役員 専務 | 尾﨑 務 | (10回/10回) | − | − | − |
取締役 | 加藤 真一※3 | (−) | − | − | − |
取締役※2 | 久保 哲也 | (12回/12回) | − | 〇 | ◎ |
取締役※2 | 平田 貞代 | (12回/12回) | (14回/14回)※6 | 〇 | 〇 |
取締役※2 | 山名 昌衛※3 | (−) | − | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員) | 實野 容道 | (10回/10回) | ◎ (11回/11回) |
− | − |
取締役(監査等委員)※2 | 三木 泰雄 | (12回/12回) | (14回/14回) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 松石 秀隆 | (10回/10回) | (11回/11回) | 〇 | 〇 |
取締役(監査等委員)※2 | 早稲田 祐美子 | (10回/10回) | (10回/11回) | ◎ | 〇 |
※1 出席回数は2023年4月~2024年3月の実績
※2 社外取締役
※3 新任(2024年6月より)
※4 利益相反取引管理等諮問委員会においては、このほか独立した社外の有識者(弁護士)1名を委員として選任
※5 役職、役割は2024年6月20日時点
※6 平田氏は2022年6月から2024年6月定時株主総会終結時まで取締役(監査等委員)であり、2024年6月の定時株主総会にて取締役(監査等委員を除く)に就任
親子上場の意義および少数株主保護に関する方策
親子上場の意義について
- ●SCSKは、親会社である住友商事(株)のIT基盤の構築・運用によるグローバルな事業遂行の下支えや高度化及びデジタルトランスフォーメーション(DX)、オープンイノベーションなどの分野におけるグローバルな事業創出に向けて同社と緊密に連携することで、新たな事業機会や事業パートナーを獲得でき、同社と事業戦略を共有しながら、各々の強みを活かすことが、互いの企業価値の向上につながると考えています。
- ●SCSKが上場会社であることは資金調達力の向上を含む堅固な財務基盤の確立に加え、企業経営の透明性および内部統制システムを含むガバナンス体制の構築・運用による信用力の向上、企業としての知名度および人材採用におけるブランド力の向上、取引先に対しての信用力や、提供するサービスへの信頼度の向上、役職員のモチベーション向上といった利点があると考えています。
少数株主保護に関する方策について
- ●SCSKは、取締役11名のうち一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員である社外取締役を6名とすることで、独立社外取締役が過半数を占める体制とし、独自に経営上の重要事項の意思決定および業務執行の監督を行うことに加え、公正性と透明性を確保していくため、取締役会などの諮問機関として独立社外取締役および独立した社外の有識者にて構成される利益相反取引管理等諮問委員会を設置しています。
- ●親会社である住友商事(株)との取引に関しては、事業活動における同社からの制約はなく、また、取引条件も、資本関係のない取引先と通常取引をする場合と同様としており、一定の独立性が確保されていると認識しています。加えて、該当取引のうち重要な取引については、利益相反取引管理等諮問委員会に事前に諮問し、答申を得た上で、取締役会において取引の可否を判断しており、さらに、同社との取引の状況については、利益相反取引管理等諮問委員会に定期的に報告することにより、その公正性を担保しています。なお、2024年3月期における同社に対する売上比率は5.9%となっております。
取締役の選解任と手続き
取締役(監査等委員である取締役を除く)の選解任については、指名・報酬等諮問委員会に諮問し、監査等委員会の意見を踏まえて、取締役会にて決議の上、株主総会に選解任をお諮りしています。また、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会の同意を得ることとし、同様のプロセスにて選解任を行っています。
取締役会メンバーの構成・規模については、SCSKの取締役会全体として備えるべきスキルを踏まえ、各取締役が保有するスキルのバランスと多様性に配慮しながら決定しています。
なお、取締役による職務執行の監督機能の維持・向上のため、一般株主との利益相反のおそれのない独立社外取締役を継続して選任しています。広範な事業活動を通じた経営判断力を有する社外取締役は、取締役会に出席し、企業価値最大化に向けた提言を行っています。
- ●SCSKの取締役として必要な知識、経験および実績を具備していること
- ●取締役会で建設的な議論ができること
- ●優れたマネジメント能力を有し、法令および企業倫理の遵守に徹する見識を有すること
- ●業務執行取締役については分掌分野に十分な知見を有すること など
- ●監査等委員である取締役として専門的な知識、経験などを有し、客観的な見地で監査できること など
- ●上記に加えて、企業経営やさまざまな分野における専門的かつ広範な知識を有していること など
社外取締役 | 選定理由 | |
---|---|---|
久保 哲也 (指名・報酬等諮問委員会委員長) |
独立役員 | 長年にわたり大手金融機関において要職を歴任し、豊富な経営経験とグローバルビジネスに関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、社外取締役に選任しています。 |
平田 貞代 | 独立役員 | エンジニアとしての豊富な経験とIT及び技術経営に関する学術的な見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、社外取締役に選任しています。 |
山名 昌衛 | 独立役員 | 長年にわたり大手精密機器企業において要職を歴任し、豊富な経営経験と環境・社会・人権に関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、社外取締役に選任しています。 |
三木 泰雄 | 監査等委員 独立役員 |
IT企業での豊富な経営経験とテクノロジに関する幅広い見識を有しております。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
松石 秀隆 | 監査等委員 独立役員 |
長年にわたり大手電気機器企業にて要職を歴任し、豊富な経営経験とマーケティングに関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
早稲田 祐美子 (利益相反取引管理等諮問委員会委員長) |
監査等委員 独立役員 |
弁護士としての専門的な知識・経験と環境・社会・人権に関する幅広い見識を有しています。同氏がこれまでの経歴で培った経験及び見識から、当社の業務執行の監督機能の維持・向上への貢献及び経営全般における助言を期待し、監査等委員である社外取締役に選任しています。 |
取締役会全体として備えるべきスキル
SCSKグループの成長戦略を推進していくために取締役会の全体として備えるべき重要な知識や経験、能力などを次のとおりスキルとして一覧化し、保有スキルのバランスと多様性に配慮しながら取締役会メンバーの構成・規模を決定しています。
スキル | 略称 | 選定理由 |
---|---|---|
企業経営経験 | 企業経営 | 多岐にわたるビジネスにおける機会とリスクを評価し、適切な投資を通じて持続的成長を担保するため。成長戦略としてのサステナビリティ経営を推進する上で、さまざまな社会課題の解決を収益機会としてとらえ、その解決に積極的に取り組むにあたり、経営資源への投資を含めた最適な経営判断を行うため。 |
財務・会計に関する専門性・経験 | 財務・会計 | 事業の成長性と収益性を評価し、高い資本効率を実現するため。適時適切な開示と透明性の高いガバナンスを実践するため。 |
テクノロジ全般に関する専門性・先見性・経験 | テクノロジ | テクノロジを利用して企業・社会の課題を解決するため、幅広い分野の先端技術の導入に向けた適切な経営判断を行うため。 |
組織および人材マネジメントに関する専門性・経験 | 組織・人材 | 多様なスキル・経験をもつプロフェッショナルが、価値観を共有し、多様性と専門性を活かしながら、活躍・成長し続けられる機会と組織づくりを実現するため。 |
市場、経済環境・動向に関する専門性・経験 | マーケティング | 社会、経済環境の変化から生ずる課題を見極め、そのソリューションの開発、提供を適切に行うため。 |
環境・社会・人権に関する専門性・経験 | 環境・社会・人権 | 地球温暖化や人権問題、地域間格差など社会課題を的確に認識し、SCSKが貢献できる分野を見極めるとともに、健全なバリューチェーンの確立など企業としての社会的責任を果たすため。 |
法務・リスク管理に関する専門性・経験 | 法務・リスク管理 | コンプライアンスを遵守し、経営に対する実効性の高い監督を行うと共に、リスク管理などに関する適切な管理体制を構築・実践するため。 |
グローバルビジネスに関する専門性・経験 | グローバル | グローバルベースのデジタル化の動きをSCSKの成長機会として取り入れるため。 |
各取締役が有するスキル(スキル・マトリックス)
氏名 | SCSKにおける地位 | 企業 経営 |
財務・会計 | テクノロジ | 組織・人材 | マーケティング | 環境・社会・人権 | 法務・リスク管理 | グローバル |
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山埜 英樹 | 取締役会長 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
當麻 隆昭 | 代表取締役 執行役員 社長 | ● | ● | ● | ● | ||||
尾﨑 務 | 取締役 執行役員 専務 | ● | ● | ||||||
加藤 真一 | 取締役 | ● | ● | ||||||
久保 哲也 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||||
平田 貞代 | 社外取締役 | ● | ● | ||||||
山名 昌衛 | 社外取締役 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
實野 容道 | 取締役(監査等委員) | ● | |||||||
三木 泰雄 | 社外取締役 (監査等委員) |
● | ● | ||||||
松石 秀隆 | 社外取締役 (監査等委員) |
● | ● | ● | ● | ||||
早稲田 祐美子 | 社外取締役 (監査等委員) |
● | ● |
取締役会における審議の活性化
取締役会資料を充実させるとともに、社外取締役への事前説明を行うことに加え、SCSKの事業に関する情報の案内や意見交換、現場視察の機会等を設けることなどにより、取締役会当日の議論が活発で実質的なものとなるよう努めています。
また、取締役会の年間スケジュールや審議事項について、可能な限り事前に決定しておくことや、継続的に取締役会付議基準の見直しを行い、取締役会決議を要する事項を厳選し、真に重要な事項について十分に時間をかけた審議が行えるよう対応しています。
2024年3月期の主な付議事項・報告事項
- ●コーポレート・ガバナンス関連
- ・統合リスク管理状況[4月]
- ・取締役会実効性評価[5月]
- ・コンプライアンスに関する報告[6月]
- ・関連当事者との取引[10月]
- ・ガバナンス委員会再編[1月、3月]
- ●サステナビリティ関連
- ・人事施策(Well-Being経営・D&I)*[7月]
- ・人的資本の状況・人材戦略*[9月]
- ・人権、環境、社会貢献活動[9月、10月]
- ・サステナビリティ経営の状況*[10月]
- ●業務執行状況
- ・技術戦略*[10月]
- ・大型・重要なプロジェクトの進捗状況*[10月、1月]
- ・中期経営計画全体の進捗状況*[11月]
- ・オープンイノベーション・投資活動[1月]
など
(注)*印は中期経営計画に関連する事項
2024年3月期取締役会の実効性評価
取締役会実効性向上への取り組み
SCSKでは、取締役会の機能を向上させ、ひいては企業価値を高めることを目的として、2017年3月期より取締役会の実効性について、自己評価・分析を毎年実施しています。
SCSKの取締役会では実効性評価の結果も踏まえ、抽出された課題について十分な検討を行った上で迅速に対応し、取締役会の機能を高める取り組みを継続的に進めていきます。
評価方法
2024年3月期の自己評価・分析については、外部機関の助言を得ながら、2024年2月に取締役会の構成員であるすべての取締役を対象にアンケートを実施しました。
なお、回答方法は外部機関に直接回答することで匿名性を確保し、外部機関からの集計結果の報告を踏まえた上で、2024年5月の取締役会において、分析・議論・評価を行いました。
役員報酬
役員報酬の基本方針・報酬決定の手順
SCSKでは、取締役の1事業年度における報酬等の上限額を定時株主総会で定めており、業績連動報酬などを含めた年間の役員報酬はその上限額の範囲内で支給することとしています。
取締役の報酬等の内容に係る決定方針や手続き、算定基準、報酬水準については、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬等諮問委員会に諮問し、取締役会にて決議しています。
また、監査等委員である取締役の報酬については、会社法第361条第3項の規定に基づき、監査等委員である取締役の協議によって定めています。
2024年3月期における取締役に対する役員報酬
役員報酬の種類、概要および構成
業績連動報酬の方針および指標
1短期業績連動報酬(金銭報酬)
短期業績連動報酬は、役位別に定める標準額に対し、当該年度の会社業績および個人業績に応じて変動し、事業年度終了後に支給しています。
なお、会社業績および個人業績の構成割合は、代表取締役 執行役員 社長は会社業績100%、取締役 執行役員 専務は会社業績60%、個人業績40%としています。
会社業績
※1 年平均成長率(CAGR)および当年度計画に対する達成率は、それぞれ売上高を30%、営業利益を70%の割合で算出
会社の持続的成長と業績計画の達成を促すため、中期経営計画期間中の売上高および営業利益の年平均成長率(CAGR)※1、当年度の売上高および営業利益の計画に対する達成率※1、それぞれに応じた係数を標準額に乗じて算出します。会社業績による変動幅は、標準額に対し-75%~+80%の範囲としています。
個人業績
- ※2 個人評価の項目
- 成長力ある事業領域への選択と集中
- 共感経営の推進(社員との理念、ビジョンの共有)
- 環境・社会・ガバナンスへの取り組み など
中期経営計画の基本戦略・経営基盤強化策の実効性を高めるため、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを含む個人評価※2に応じた係数を標準額に乗じて算出します。個人業績による変動幅は、標準額に対し-100%~+50%の範囲としています。
2中長期業績連動報酬(株式報酬)
「グランドデザイン2030」で描く持続的な企業価値向上を具現化するインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的に取締役(社外取締役および非常勤取締役ならびに監査等委員である取締役を除く)に対して、毎年、定時株主総会後に当社普通株式を譲渡制限付株式として交付します。
譲渡制限期間は、株主価値の共有を中長期にわたって実現するために、原則として譲渡制限付株式の交付日からSCSKの役員を退任する日までの期間としています。
なお、執行役員および業務役員に対しても、同様に譲渡制限付株式報酬を支給しています。
サクセッションプラン
執行役員 社長の後継者計画(サクセッションプラン)
SCSKでは、中長期的な成長と企業価値向上に資する経営者を継続的に確保することを目的として、執行役員 社長のサクセッションプランを策定し運営しています。サクセッションプランの中では、後継者候補に求められる要件、後継者候補の選定プロセスを定めています。選定プロセスについては、透明性・公正性を重視し、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬等諮問委員会が最終候補者の選定まで客観的な立場から監督しています。具体的には、後継者候補の選定の過程を検証するとともに、選定された候補者の育成や評価を含むサクセッションプランが執行において有効に運営されているかをモニタリングの上、助言しています。最終候補者の選定にあたっては、指名・報酬等諮問委員会に諮問の上、取締役会で決議します。
内部統制
SCSKでは、SCSKグループにおける「業務の有効性および効率性」「報告の信頼性」「事業活動に関わる法令などの遵守」並びに「資産の保全」の達成に向け、SCSKの取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、およびSCSKグループの業務の適正を確保するために必要な体制(以下「内部統制システム」という。)に関する基本方針ならびに体制整備に必要な事項として「内部統制システムの整備の基本方針」を決議しています。また、現状の内部統制システムを確認すると同時に、継続的な見直しによって、その時々の要請に合致した、優れた内部統制システムの構築を図っております。