ADVENTURECluster ユーザ会 2025 アフターレポート
2025年11月5日(水)
SCSK株式会社と株式会社アライドエンジニアリング共催による「ADVENTURECluster ユーザー会 2025」を開催しました。 今回は会場対面でのセミナー形式による開催となりました。
17回目のユーザー会となる今回は、九州大学名誉教授 橋口 公一様の基調講演をはじめ、住友重機械工業株式会社様、いすゞ自動車株式会社様、スズキ株式会社様、株式会社ジェイテクト様、橋本鉄工株式会社様、マツダ株式会社様より先進的な活用事例をご発表いただきました(会社名ご発表順)。 また、SCSK株式会社からは業務効率化、データ利活用、技術支援など各種サービスの紹介、開発元である株式会社アライドエンジニアリングから最新バージョンの発表など、充実した内容を取りそろえてご紹介しました。
| 主催 | 主催:SCSK株式会社 共催:株式会社アライドエンジニアリング |
|---|---|
| 開催日時 |
2025年11月5日(水)
1. ユーザー会 10:30~17:00 (受付開始時間 10:00~) 2. 情報交換会(懇親会) 17:00~18:40 |
| 会場 | 浜松町コンベンションホール 〒105-0013 東京都港区浜松町二丁目3番1号 日本生命浜松町クレアタワー 5F ●大門駅 B5出口 直結 ●浜松町駅 北口 徒歩2分 |
| 対象 | ADVENTUREClusterユーザー様・ご検討中のお客様 |
| 参加費 | 無料 |
基調講演 「下負荷面モデルによって画期的発展への転換点を迎えた固体変形・摩擦現象解析法」
固体の弾塑性変形現象や摩擦現象に関する従来のモデルでは、降伏面内部を弾性域としています。そのため、降伏応力未満の応力が作用しても塑性ひずみや塑性すべりの集積を表現出来ず、繰返し負荷を受ける機器の危険設計がもたらされることが考えられます。一方、講演者様が提案された下負荷面モデルを用いると、降伏応力未満の応力繰り返しによる塑性ひずみや塑性すべりの集積が的確に表現されます。本講演では、下負荷面モデルの基本概念、具体的定式化の要点についてのご説明および解析事例についてご紹介いただきました。
・九州大学名誉教授 橋口 公一 様
ユーザー様活用事例発表① 「鋼材の弾塑性応答に基づく疲労性評価」
機械・構造物の損傷理由の約8割は疲労に起因していると言われる中、新規構造物の疲労性能に対する品質要求が高まっており、合理的かつ高精度な疲労寿命評価手法の確立が求められています。本事例では、ADVENTUREClusterを活用した弾塑性繰返し応答に基づく疲労性能評価手法の開発事例をご紹介いただきました。
・住友重機械工業株式会社 柴田 誉 様
ユーザー様活用事例発表② 「ADVENTUREClusterによる締結緩み理論の再現」
理論式による締結部の設計では経験的な安全率を基にしており、変更規模が大きくなる際に実機評価NGによる開発手戻りリスクがございます。CAEによる締結部の設計手法確立を目指し、ねじり外力と軸直角外力による緩み理論を再現した内容をご報告いただきました。
・いすゞ自動車株式会社 杉安 孝幸 様
ユーザー様活用事例発表③ 「モーター生産時のコア積層厚予測技術の開発」
モーター生産時の組み立て工程において、電磁鋼板の積層体からなるステータコアはコイル成形過程で、全長が変化してしまう特性を持っています。設計要求範囲内のASSY状態寸法に収めるためには、試作を繰り返し、積層枚数を決定することになりますが、歩留まりが低いという問題がございます。そこで、非線形構造解析ソルバーADVENTUREClusterを用いて、コイル成形過程におけるステータコア積層厚変化をあらかじめ予測することで、試作数削減に取り組んだ事例をご紹介いただきました。
・スズキ株式会社 福間 起 様
ユーザー様活用事例発表④ 「ドライブシャフト強度机上予測精度向上」
ドライブシャフトは自動車の駆動力を伝達する部品であり、構成部品に熱処理を施すことによって必要となる強度を確保しています。熱処理による硬度、ひずみ、残留応力の分布を熱処理解析から継承することで、解析と実測のひずみ量を比較し、構築した手法が従来手法よりも実測に近付き、予測精度が向上したことを確認されました。それらをまとめた強度解析予測精度の向上手法をご紹介いただきました。
・株式会社ジェイテクト 舟橋 和諒 様
ユーザー様活用事例発表⑤ 「表面から内部に至る全空間を対象とした実製品の残留応力評価」
運用環境下で想定される実部品の損傷発生リスクを低減するため、製造工程における残留応力の生成・緩和を正しく把握して、適切に管理することが求められています。そのため、実部品に対して表面から内部に至る全空間の残留応力を包括的に評価できる計測技術群を構築した内容をご紹介いただきました。
・橋本鉄工株式会社 橋本 匡史 様
ユーザー様活用事例発表⑥ 「能動学習を用いた機械学習と最適化空間を組み合わせた構造体解析の時間効率化」
自動車用エンジンの構造体強度解析は、高計算負荷の詳細な3D FEMを複数回実施することにより信頼性性能を満足する仕様を決定しますが、しばしば開発プロセスにおけるボトルネック工程になる課題がございます。ここでは、排気管の高温部を対象に、大規模構造解析ソルバーADVENTUREClusterを用いて得られた振動応力解析結果と熱応力解析結果を学習データとされました。能動学習を用いた最適化計算に取り組まれたことで、従来検討期間よりも短縮化され、最適解出力の成功事例についてご報告いただきました。
・マツダ株式会社 川口 幹祐 様
SCSK株式会社講演
「労働人口の減少」「技術ノウハウの伝承」「開発期間の短縮」など様々な課題に直面されるお客様に向け、業務効率化、データ利活用、技術支援などの各種サービスについてご紹介させていただきました。
株式会社アライドエンジニアリング講演
解析業務の現場課題に応えるため、ADVENTUREClusterは進化を続けます。本セッションでは、最新バージョン2025に盛り込まれる注目の新機能や開発計画、そして今後の将来構想についてご説明させていただきました。
懇親会
ご参加者様同士/開発元と交流いただける懇親会を開催いたしました。
