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コスト見積りソフトウェアを最適化し、利益を向上させるiRobot社の4つのベストプラクティス

重要なポイント

  • ・コスト見積プロセスを成長させるiRobot社のアプローチをステップごとに紹介します。
  • ・適用を拡大するため、技術、プロセス、トレーニング/教育にわたるベストプラクティスを発見

消費者向けロボット企業のiRobotは、自立走行型掃除機ルンバをはじめとする製品で、何百万人もの家庭の生活を快適にしている。競争の激化により市場は弱体化しており、ルンバはコモディティ化する可能性がある。iRobotは収益性(コスト削減)とイノベーションに再注力することで対応しています。aPrioriのコスト見積ソフトウェアはより良い結果を達成するのに役立つ強力な手段です。

サプライヤーの「ブラックボックス」見積は正確ですか?

iRobotは当初、新製品導入(NPI)のためのコストモデリングと見積を提供するためにaPrioriを選択しました。iRobotの初期のaPriori活用は、「製品コスト見積」が「サプライヤー見積」と一致しなかったため”不安定”でした。そのため、iRobot社のコストエンジニアは「不正確なのは、当社とサプライヤーのどちらの結果なのか?」と問うようになりました。最終的に、彼らはaPrioriが十分に活用されていないリソースであることに気が付きました。

iRobot社は、結果を出す前に、問題と目標を正確に特定する必要がありました。iRobot社のシニアコストエンジニアアドバイザーで、aPrioriのシステムオーナーであるAjay Verma 氏は次の様に述べています。「多くの人は、プリオリを手に入れたら電卓を手に入れ、1+1=2だと考える。そうではなく、1を定義し、1を足して2にする必要があるのです」。iRobotチームが適切な前提条件とコストデータを特定すると、サプライヤー見積と比較するための適切なShould cost(あるべきコスト)計算を決定できるようになりました。

まず、iRobot社はどのように社内でShould cost(あるべきコスト)データを取得し、それをサプライヤーの見積詳細にたいしてと同一条件で比較する方法を再検討する必要がありました。その後、iRobotは特定のユースケースをサポートするために、必要なデータをaPrioriに提供する必要がありました。見積プロセスには、製造プロセス、製造地域、その他データなど、サプライヤーからの追加の製造情報が必要でした。

当初、iRobotはaPrioriに製造やその他の仕様を追加するのに必要な時間が労力に見合うかどうか、彼らの言葉を借りれば "果汁は絞る価値があるのか?"確信が持てなかった。より詳細なサプライヤーと製造情報を含む彼らの取り組み(スクイーズ)を再集中させることで、より正確な結果(ジュース)を得ることができました。

原価見積ソフトウェアを活用して精度を高め、利益を向上
事例:iRobot社がaPrioriコストモデリングを使ってサプライヤー交渉を最大化する方法

1. コスト見積ソフトウェアのベストプラクティス aPrioriをお客様固有の要件と課題に合わせてカスタマイズ

設計仕様をより明確に定義するために、初期段階のイノベーションにaPrioriを活用したいですか?それとも、サプライヤーとの交渉のため、Should cost(あるべきコスト)の精度を向上するためにaPrioriを適用しますか?あるべきコスト計算のために、サプライヤーの「ブラックボックス」を解明して、サプライヤーのコストモデルや、より請求される可能性のあるその他の領域を理解する必要があります。例えば、個々部品に対して利益を請求されるかもしれないし、さらにアセンブリーレベルで再度請求されるかもしれない。

その結果、もしサプライヤーの価格構造を理解していないのなら、サプライヤーから二重の利益を請求される可能性があります。次に、様々なサプライヤーに特化したデジタルファクトリーを使って、主要サプライヤーの製造能力を(必要であれば機械レベルまで)反映するようにaPrioriを構成します。そして、全社的なトレーニングとソフトウェア/計算/データベースの理解度を高めます。事実ベースのコストモデルを活用し、追加の原価計算および運用情報を取得することで、サプライヤーの見積をより深く理解できます。

2.ボトムアップ・アプローチによるコスト要因の比較

背景を見ずに(トップダウン)で総コストを見る代わりに、ボトムアップのアプローチ(全ての材料/サービスと関連するコストのリスト)を取り入れます。そして、aPrioriが分析とくていしたコストドライバー(コストの異常値)検証します。使用されている機械のタイプや年数 vs 新しい機械で計算されたものなど、コストの差異を理解します。この情報を使って、サプライヤーと会話を始める(例えば、「X工程にどのような機械を使用していますか?」)aPrioriはこのアプローチでコストモデルを構築し、材料選択、製造工程、バッチサイズ、年間生産量、目標生産コスト(直接・間接費)など、約90地域にわたる詳細な要素を含んでいます。

ユーザーはこの情報をaPrioriのデジタルファクトリーに追加し、様々なシナリオ(設計や材料変更に基づくコスト変化)をモデル化することができます。iRobot社は、サプライヤーの能力をより深く理解するにつれ、aPrioriのデジタルファクトリーを使用して、Should cost(あるべきコスト)の精度を高めることができました。そして、彼らは交渉戦略をトータルコスト比較からコストドライバー比較に変更しました。

3.データを活用してサプライヤーとの議論と交渉を最大化

iRobot社は、自社価格とaPrioriのコストモデルのインサイトとの間に大きなギャップがあることに気づきました。Verna氏は、その発見を特定することなく、aPrioriの事実ベースのインサイトを使って、サプライヤーと話し合い、顕著な価格ギャップについて話し合いました。

彼は、サプライヤーがどのようにマシンレートとサイクルタイムを計算するかを学び、自分の過程が正しいことを検証したそして、自分のコストモデルをサプライヤーに提示し、コストが正しいかどうか、iRobotのコスト見積の範囲内かどうかを判断しました。 話し合いの結果、iRobot社は最初の交渉で10%近くを節約することができた。Verna氏はaPrioriにコストモデルを入力するたびに、コストの精度がさらに高まったと指摘します。iRobotはまた、コストモデリングとその後の交渉のおかげで、製品開発の最適化(iRobotのR&Dを含む認識への挑戦)とサイクルタイムの短縮を実現しました。

例えば、射出成形に必要なクランプ力を決定するために、サプライヤーが時代遅れのアプローチを取ることがあり、コスト高につながる可能性があります。このようなコストは機械選択における非効率さの結果です。しかし、aPrioriはこのようなクランプ力の推定誤差を考慮します。その結果、材料の射出圧力や公称肉厚の様な要因に基づいて、より正確な機械選定を行うことができます。同様に、aPrioriの向上した冷却時間の推定精度は、部品の肉厚のばらつきを考慮します。合計サイクルタイムと関連するコストがより正確に計算されます。成形プロセスをより深く理解することで、サプライヤーとの議論がより事実ベースになり、生産工程が最適化され、コスト削減が達成されます。

事例:iRobot社がaPrioriコストモデリングを使ってサプライヤー交渉を最大化する方法

4.製品開発の最適化

iRobot社は、研究開発と製品開発部門がどのように連携し、前提条件を議論および再検討し、次期製品のDesign to Cost (DtC:製造可能性) と Design to Value (DtV) を最適化するかを決定する必要がありました。これらを正しく行うことで、品質や価値を損なうことなくコスト削減することができます。aPrioriはこのプロセスを加速し、正しい設計、調達、コストの議論をするためのガイダンスを提供します。そうして、DtCとDtVのプロジェクト計画が最適化されるのです。

コストモデリングのインサイトによる効果
aPrioriを最大限に活用することで、iRobot社はコスト見積を加速させることができただけでなく、次のようなメリットも得ることができました

  • ・正確で、正当化できるコストモデル
  • ・サプライヤーとの交渉で活用できる、特定可能なコスト異常値
  • ・合理化され、標準化され、再現可能なコスト見積プロセス
  • ・主要サプライヤーとのコラボレーションとコミュニケーションの強化

iRobotは、コスト見積ソフトウェアツールが、100%すぐに使えるソリューションとして期待すべきではない理由の1つの例である。Costa氏が述べたように、「それは、あなたが育てようとしている植物のようなものです。一緒に成長したいものです。時間と労力はかかりますが、あなたの会社にとって本当に有益なことなのです。」

aPriori

組織を横断したコスト領域のDX

aPrioriは、3Dモデルから製造原価算出を可能にするデジタルファクトリーの構築を提供し、組織を横断したコスト領域のDXに貢献します。

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