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3D CAD 運用が上手くいかないあなたのための快適&安心! 3D CAD データ管理の新常識

製造業の世界でもようやく3D CAD の導入・運用が本格化し始めた。大手企業はもちろん多くの中小企業もInventor などの3D CAD を導入し、3 次元設計への挑戦を開始している。だが、他方で3D CAD を導入したものの「上手く運用できない」、「逆に作業効率が 下がった」といった声を聞くことも多い。詳細を訊ねていくと、そこにある共通点が見えてくる……。ここでは、3D CAD 運用に避け ては通れない、にも関わらず見過ごされがちな、3D CAD におけるデータ管理の問題と、これを解決するためのデータ管理システム 「Autodesk Vault」について紹介していく。

3D CAD 化で作業効率がダウン?

あなたの会社の設計部門は、3D CAD を導入して いるだろうか。もし導入済みならその設計現場へ、 あるいはあなた自身が3D CAD ユーザーなら自分自 身にあらためて問いかけてみてほしい。「その新しい 3D CAD 環境はスムーズに運用できていますか?」。

なぜなら、3D CAD 導入に成功したとされる企 業の現場で、しばしば以下のような訴えを耳にする からだ。「どうしても期待したほど効率が上がらない」、 あるいは「日々のCAD 作業で無駄が多い」。その 多くは3D CAD 導入から半年~ 1 年以上も経って、 操作にもそろそろ慣れてきた3D CAD ユーザーからの 声なのである。

詳細を訊いていくと、その多くはたとえばこんなトラ ブルが原因となっている。新しい案件で簡単な3D ア センブリモデルを作るため、ユーザーはInventor を 立上げ、とりあえずデスクトップに適当な名前を 付けてファイルを作成する。作業が一段落したところ でファイルを決められた場所へ移し、新たにフォルダ を作って整理。ファイル名もルールに従って変更する。

Windows エクスプローラでデータを整理するこのやり方は、2D CAD 時代からのあなたのルーティンだろう。 しかし翌日、続きの作業を進めようとクリックしてもファイルは開かない。見ると、すでにファイル自体が 破壊されてしまっているのだ……。

3D CAD データを壊すWindows データ管理

トラブルの規模が小さいので顕在化しにくいが、 こうした経緯でデータを作り直したりファイルを探し回ったりして、毎回時間をロスしている3D CAD ユ-ザーは少なくない。実はこの問題の原因は3D CAD 用のデータ管理を行っていないことにある、 とご存知だろうか。

ひと言でいえば、このトラブルは、ユーザーが2D CAD 時代に行っていたデータ管理手 法が3D CAD データに合わず、結果としてデータを破壊したり、行方不明になっているのである。 2D CAD と3D CAD のデータ構造は根本的に違う。2D CAD データはWord やExcel のファイルと同じ く1 ファイルで一つの成果物であり、この1 ファイルのみを管理すればいい。ところがInventor や SOLIDWORKS など一般的な3D CAD のデータは、どれも1 ファイルではデータが完結しないのである。

前記の例でいえば、アセンブリモデルには複数のパー ツが使われるが、その個々のパーツ単位でファイルが複数存在する。つまり、3D CAD データはそれら 複数のファイルの組合せで構成されているのだ。当然、3D CAD で図面を生成するには、図面ファイル はもちろん、元となる3D モデルなど関連する全ファイルが必要となる。

しかも、これらファイルは相互にリンクし合い、互いに連動しながら一つの設計モ デルを構成している。だから、Office ファイルの要領で名前を変えたり場所を移動してしまうと、本来 ある場所にファイルを見つけられなくなってリンクが断たれ、データは容易に破壊されてしまうのである。

2D CAD と3D CAD のデータ構造は根本的に異なっている

チーム設計を阻む3D CAD の特性

3D CAD データにおけるデータ管理の問題は、それだ けではない。たとえばWindows サーバ上の共有フォルダに保存した3D CAD データに対して、「あなたで ない別の誰か」がある部品ファイルを設計変更してしまったらどうなるだろうか。影響は、たちまちその 部品を使うチームと過去の全ての図面へ波及するから、影響範囲を把握しないまま変更することは、チー ム設計およびデータ管理上、致命的な問題になる。

Windows エクスプローラによるデータ管理では他の ユーザーが行った更新を認識する手段がなく、また、リンク関係も把握できない。いつの間にか誰かに思 いもよらぬ形で変更されかねないような環境下では、誰もチーム設計など行う気にはなれないだろう。

このように、2D CAD に慣れたユーザーが行いがち なファイル名変更やファイル移動など「リンク関係を失わせる」行為に対して、Windows エクスプロー ラによるデータ管理は徹底的に無力なのだ。そのため、一つの設計モデルに複数人がアクセス、編集で きるという3D CAD の特徴を活かしたチーム設計の運用も、このデータ管理方法のままでは絵に描い た餅と言わざるを得ない。まさに、この二つの問題 が、3D CAD だけでデータを管理しようとすることの 間違いを示している。では、この二点をクリアできる、あなたが使うべき「3D CAD に対応したデータ管理」 は在るのだろうか?

2D CAD と3D CAD のデータ構造は根本的に異なっている

「Vault」─ 3D CAD データ管理のために生まれたツール

Vaultは、Inventorに同梱されているオートデスクのデー タ管理システムである。2D および3D CAD のデータはもちろん、Office の各種ドキュメントやPDF、画像デー タなど、データならなんでも放り込んで管理できる。その意味ではWindows エクスプローラと同じように 使えるわけだが、実は根本的に異なっている。Vaultは3D CAD 環境に統合され、前記の3D CAD データ 管理に関わる二つの問題にも対応しているのである。

もちろんファイル名変更や移動にも対応している。 ユーザーがファイル名を変えると、Vault はデータ全体のリンク関係を追跡し、必要な関連ファイルへ の変更を自動的に行う。移動も親ファイル/ 子ファイルのリンク関係を維持しながら問題なく行われる。 しかも、いつ・どの図面にその部品が使われたか常時辿れる仕組みとなっているのである。

また、Excel のように「1 人がファイルを開いて作 業中、他メンバーは当該ファイルを編集できず、見るだけに制限」する機能を備えているため、チー ム設計における同時アクセスによる意図しない上書きなどのトラブルは未然に防がれる。いつ・ど こで・誰が編集中か明らかなのでチームの進捗もリアルタイムで共有できるし、過去情報も詳しく 辿れるから緊急時の対応も心配無用なのである。

Vault のある3D CAD 環境を

Vault を使うだけで、ユーザーはことさら意識し なくても、2D CAD やOffice と同じ感覚で3D CADデータを自由に操作できるし、チーム設計にも安 心して取組むことができる。3D CAD ユーザーなら、そして、2D CAD 時代と同じようにそれを快適に効率 よく安心して運用したいなら、選ぶべきはVault だ。まして、Inventor に同梱という形で提供されているの だから、もはや使わない理由はない。

実際、一度でもVault を使ったことがある3D CAD ユーザーは口を揃えていう。「もうVault なしの環境 には戻れない」と。

Autodesk Vault

Autodesk Vault は、生産性を高める PDM(製品データ管理)ソフトウェアです。 プロジェクトの関係者全員が、一元管理されたデータにアクセスして作業できます。 エンジニアリングや製造部門など、幅広いチーム全体にわたるコラボレーションを推進し、 ワークフローを合理化することができます。

記事監修&資料提供

太田 明 氏 (デジプロ研代表 CAD/CAE エキスパート)
今出俊和 (SCSK 株式会社PLMソリューション部 第二課シニアエンジニア)

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