フォーアールエナジー株式会社 様

4R ENERGY 半年後に迫った工場開所に間に合わせるため、
テンプレート式の生産管理システムatWill Templateでシステム構築。
リユース事業特有の原価分解の機能も搭載

課 題
  • 工場開所までの半年間でリユース業務に必要なICTシステムを構築したい
  • 使用済みリチウムイオンバッテリーパック(以下、パック)から取り出したモジュールごとに原価を分解して管理したい
  • 販売後のサポートのため、モジュールごとのトレーサビリティを強化したい
解 決
  • テンプレート式の生産管理システムで短期間に導入
  • 原価分解の機能をカスタマイズして構築
  • 仕入前の利用状況、利用地域まで追いかけられるトレーサビリティ機能を追加
フォーアールエナジー株式会社 様

日産自動車株式会社と住友商事株式会社によって2010年9月に設立。4R事業と銘打ち、電気自動車に使用されたリチウムイオンバッテリーの「再利用(Reuse)、再販売(Resell)、再製品化(Refabricate)、リサイクル(Recycle)」を手掛ける。

所在地
〒220-6220
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-5 クイーンズタワーC20階
資本金
766百万円
URL
https://www.4r-energy.com/
大江 俊 氏
フォーアールエナジー株式会社
ビジネスソリューション部
大江 俊 氏

 我々の社会にとって電気は欠かせないインフラである。しかし電気は保存ができない。それを補うのが電気を貯める蓄電池だ。蓄電池があるから、電気の効率的な利用が可能になり、場所を選ばずに利用できる。蓄電池はモバイルデバイスで使われるだけではなく、オール電化住宅、電気自動車(以下EV)のほか、太陽光や風力が生み出す再生可能エネルギーの蓄電にも利用されている。

 しかし蓄電池には劣化という課題がある。例えば電気を使って走るEVには、大容量のパックが内蔵されているが、充電と放電を繰り返すことにより、数年後には性能が低下し、交換が必要になる。

 いずれ到来するエネルギー時代に向け、パックの問題解決に貢献すべく設立されたのが、フォーアールエナジーだ。同社は、パックを「再利用(Reuse)、再販売(Resell)、再製品化(Refabricate)、リサイクル(Recycle)」する目的で、2010年に日産自動車と住友商事によって設立された。ビジネスソリューション部大江 俊氏は「当社のミッションは、EVであるリーフのパックを再利用する道を考え、ビジネスとして実現することです」と語る。

使用済み蓄電池の有効利用をビジネスとして実現

使用済み蓄電池の有効利用をビジネスとして実現

 2010年に登場した初代リーフが世に出て既に8年。日産自動車ではパックを新品に替えるサービスを提供しているため、交換された使用済みパックも蓄積されてきた。リーフのパックは、48個のモジュールから構成されるが、個々のモジュールの劣化状況は異なる。1つでも劣化の大きいものが混じっていれば、パック全体の性能が下がってしまう。そのため再利用する際には、個々のモジュールに分解した後、それぞれの性能をテストし、同じレベルのモジュール同士を組み合わせて再利用パックとして製造する必要がある。

 「私たちの強みは、モジュールの状態を短時間で測定できる技術。その測定結果を利用して、モジュールの最適な組み合わせを見つけて再利用パックを製造します。またパックはセンシティブで取り扱いが難しいのですが、日産自動車から開示されているリーフのパックに関する情報を活用し、事業を推進しています」(大江氏)

短期間での開所に貢献した
テンプレート式の生産管理システム「atWill Template」

フォーアールエナジー株式会社

 EVの使用済みパックの回収量が急増したことを受けて、フォーアールエナジーは2016年10月、EVの使用済みパックの再利用および再製品化に特化した工場の設立を決定した。そして一年後の2017年10月に福島県双葉郡浪江町と協定を結び、約半年後の2018年3月に浪江事業所を開所する計画を立てた。

 しかし工場設立には、時間的なゆとりがないだけでなく、さまざまな課題があった。その一つが、パックを管理する業務システムである。仕入れた使用済みパックを分解し、テストし、最適な組み合わせで構成しなおして製造し、再利用パックとして出荷するという工程を、モジュール単位で管理する業務システムが必要だったのである。

 この事業に適した既存パッケージ製品がないか、大江氏は探してみたが、見つけることはできなかった。無理に既存のパッケージ製品をベースにカスタマイズするとコストが高くなる。フルスクラッチで一からプログラムすると工場設立までに開発が間に合わない。

 そんなおり、親会社である住友商事から紹介されたのが、SCSKの生産管理システム「atWill Template」だった。atWill Templateは、生産計画、在庫管理、品質管理、原価計算などの各機能がテンプレートとして提供されるのが特徴だ。ひな型であるテンプレートに対して必要な機能を追加することで、パッケージよりも柔軟、かつ短期間で業務システムを構築できる。また複数のテンプレートを組み合わせられるので、徐々にテンプレートを追加してシステムを拡張できる利点もある。

 「工場の開所までに間に合わせ、コストも抑えるには、atWill Templateは適していると思えました。また将来の拡張性を考慮しても、必要な機能・業務領域を後から柔軟に追加できるatWill Templateの選定は理にかなっていると思われました」(大江氏)

分解したモジュール単位で原価を計算し、
品質に見合った価格を算出

 同社では、工場で稼働する業務システムを、atWill Templateの在庫管理テンプレートを中心に作り込んだ。仕入れ、分解、測定結果、製造というフローを在庫管理のテンプレートで管理し、生産管理、受発注管理のテンプレートも組み合わせている。

 「atWill Templateに、在庫情報から48個のモジュールの組み合わせを提案するロジックを搭載しました。製品を作るたびに、人間が48個のモジュールの組み合わせを考えていたら手間がかかりますが、atWill Templateでロジックを組み込んだことで、効率的に生産指示を作成できます」(大江氏)

 システム構築で特に難しかったのは原価の分解という処理だった。通常の生産物は、仕入れた材料を原価として扱うが、パックの場合は「使用済みパック」が仕入れ値となり、それを分解した「モジュール」に対して、測定結果に応じてそれぞれに原価を付ける。つまり、48個のモジュールの合計が仕入れ値になるように、それぞれのモジュールの原価を割り当てなくてはいけない。

 「原価の分解」は、当事業ならではの処理であり、一般的な製品ではありえない。この機能は、同社の依頼を受けて新たにSCSKが開発した。

 「システムの仕様を作れずに悩んでいるときに、SCSKはフローやロジックに対するアドバイスをしてくれました。そして、トランプをモジュールに見立てた工場の模型を作って、フローやロジックについて一緒に検討を重ねてくれました」(大江氏)

 モジュールを個別に管理することで、トレーサビリティも担保された。再利用パックの場合、購入者の手に渡った後に、性能に対するクレームが来る可能性もある。そこでatWill Templateでは、出荷した再利用パックの各モジュールが、「どの地域でどのように利用されていたEVから取り出したものなのか」までを遡って調査できるようにしている。

工場のすべての工程を
atWill Templateで見える化

 atWill Templateの導入効果は工場の製造ラインだけに限らない。営業部門にとっても「売りやすくなった」という。再利用パックは顧客ごとにニーズが異なる。価格優先で検討している顧客もいれば、あまり劣化が進んでいない品質を求める顧客もいる。それぞれのニーズに応えるには、「性能ごとの在庫量」を把握する必要がある。それが分からないと「注文を受けたものの適した商品がない」という事態もありうるからだ。だがatWill Templateは営業部門も在庫や個々の製品の品質が分かるため、最新の在庫状況を理解したうえで商談が進められる。

 「atWill Templateは浪江事業所の業務すべてで活用しています。製造部門は当然ですが、本社にいる調達部門、営業部門でもこのシステムを利用して業務を効率化することができます。このシステムはもはや当社のビジネスそのもの。このシステムで情報を管理しているからこそ、ビジネスプランを立てて業務を遂行できるのです。

 日本でのパック再利用のビジネスはまだ黎明期に入ったばかり。日産自動車も、蓄電池のビジネスはこれからの社会に不可欠なものとして、サポートしてくれます。これからのエネルギー社会を実現する上でも、このビジネスの意義は大きいと感じています」と大江氏は抱負を語った。

atWill Templateの代表的な導入事例
KIRIU

株式会社キリウ 様

一気生産の強化に向け、atWill Templateをベースに生産管理システムを構築。
生産に関する全社のデータを一元的に見える化に成功。
柔軟なカスタマイズで、現場の声もスピーディーに反映

【事例1】 通信機械器具製造業

業務状況と経営情報の見える化、原価改善により競争力強化を実現した事例です。

【事例2】 金属製品製造業

適正量発注による在庫削減、経営情報の見える化によりスピード経営とコスト削減を実現した事例です。

【事例3】 化学工業品製造業

属人的に行われている業務をシステム化により標準化・一元化することで、業務改善とコスト削減に成功した事例です。

【事例4】 清涼飲料製造業

業務の再構築と計数情報の見える化により、業務改善とコスト削減に成功した事例です。