導入事例

製造

WinActorユーザ企業2社による意見交換会を開催
RPAによる業務効率化の実態を特別公開!

ヤマハ発動機株式会社 生産本部 生産戦略統括部 生産管理部 企画グループ          村松 克二 氏
ヤマハ発動機株式会社 生産本部 生産戦略統括部 生産管理部 業務グループ          柴山 智子 氏
株式会社ミクニ ITマネージメントセンター                        俵木 岳文 氏
株式会社ミクニ ITマネージメントセンター ITシステムグループ               杉山 芳徳 氏
株式会社ミクニ ITマネージメントセンター ITシステムグループ               松浦 豪 氏
株式会社ミクニ ITマネージメントセンター ITシステムグループ               守屋 順啓 氏


株式会社ミクニ(以下、ミクニ)は、四輪車/二輪車向けの燃料噴射システムを中心とした自動車関連品や、ガス制御機器類などの生活機器関連品、運転補助装置などの福祉介護機器の製造と国内外への販売を展開しているグローバル企業です。
また、ヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ)も、世界30か国・地域のグループ140社を通じて180 を超える国・地域のお客様に海・陸・空・レジャー・産業・暮らしのシーンに個性的かつ多様な製品を提供するグローバル企業です。
今回は、共にRPA導入による業務改善を目指し、SCSKからWinActorをご採用いただいた2社のキーマンにお集まりいただいて、課題解決につながるヒントを探る意見交換会を開催しました。未来に向けたイノベーションを提案する2社がどのような形でRPA化を進めてきたのか、その一端をご紹介します。

※ 前半は、ミクニにおけるWinActorの活用状況をご紹介します。ミクニの詳しい導入事例についてはこちらをご参照ください。

ミクニのRPA導入活動

ミクニ 杉山 ミクニのRPA導入プロジェクトは2017年に開始し、IT部門によるツールの選定作業を経て、業務に最も適したWinActorを選びました。2018年からはシステム監視を中心にWinActorの導入を進め、その後ユーザ部門も参加してRPAの導入活動を本格化。間接部門の効率化・自動化、及び働き方改革などのテーマを選定し、RPA化が可能なアイテムから順次適用させています。2019年にはシナリオ開発もユーザ部門で行えるようにするため、共通部品の構築や、規程類・設計資料・テスト資料などを整備。2020年からはユーザ部門での開発も本格的に進み、現在に至っています。

ミクニ 杉山 WinActorの教育については、まずIT部門で開発できるスキルを習得し、その後にIT部門からユーザ部門への指導を行っています。その際の、使う教材や教育内容についてはSCSKにもサポートに加わってもらい、指導やバックアップを受けました。

ミクニ 杉山 弊社のRPA導入プロジェクトにおいては、1)アイデア出し、2)概要設計、3)開発前チェック、4)開発、5)検証、6)本番移行、7)運用というフローを基本としています。特に、業務の属人化と野良ロボット(管理者が不在となって放置されたRPA)発生の防止策として、アイデア出しや概要設計、検証においては慎重に進めています。


図 ミクニのRPA導入フロー

ミクニ 杉山 また、WinActorの業務への適用に当たっては基本的なルールを2つ決めました。1つは、小さく始めて大きく育てること。簡単なシナリオから取り組み、プロジェクト全体のレベルを合わせながら順次拡大するとともに、複数年度で継続的に取組むことを目指しました。もう1つは、業務の整理・標準化と属人性の排除です。RPA化を機会に業務の現状把握と整理整頓を進めています。

開発までのプロセス

ミクニ 杉山 業務の属人化と野良ロボットの防止対策として、次の3つを実践しています。1つ目は、改善要望をユーザ部門と事務局(IT部門)が定期的に打合せを行うこと。2つ目は、効果が見込めるシナリオを台帳に登録し、実施判定も含めて関係者と共有化を図り、その内容を見て開発の可否を判断すること。3つ目は、業務の目的と業務プロセスをドキュメントに残し、ユーザ部門とIT部門で内容を共有化すること。ユーザ部門に業務をフローチャートで記述してもらい、その中のどの部分をRPA化するのかを、目的と内容を確認し、ドキュメントに残し、その資料をIT部門まで含めて確認・承認を行っていくプロセスを実施しています。4つ目は、開発したシナリオを必ずテストしたエビデンスを残し、それを本番実施に活用すること。こちらもユーザ部門でテストを実施してもらい、その内容をIT部門も含めた関係部署で承認しています。

WinActor導入による改善効果

ミクニ 松浦 弊社では2019年4月からRPAのシナリオ開発を開始し、2021年12月時点でのシナリオ数は101 本(2019年4月~2021年12月の累計)となりました。それによる業務削減効果を、1秒=1円の効果で換算すると、501 時間/月(約180万円)を実現している計算です。その改善効果から、労務費(開発、保守時間)と経費(RPA利用料)を差し引くと、12月時点での利益は約117万円と評価することができました。

開発機と実行機の振り分け

ミクニ 松浦 現在、ミクニでは2台のWinActorを開発機として運用し、8時~17時の9時間稼働させています。Excelで作成した予約表では使用実績も管理することで、開発機の必要台数を把握しています。2021年4月~12月の開発工数と効果金額を実績より検証したところ、1秒=1円で換算すると、開発時間は約284時間(約100万円)、稼働時間は182時間(66万円)となりました。また、9台のWinActorを実行機として活用し、メンテナンスの1時間を除く23時間稼働させることを前提に、部署ごとに使用するWinActorを振り分けています。ただし、実稼働率は10%前後と伸び悩んでいるため、その改善が課題となっています。弊社の場合はまだまだRPA化できる範囲は広いと認識しています。

※ 後半では、ミクニが課題と感じるテーマを中心に、ヤマハのRPA導入プロジェクトキーマンと意見交換していただきました。ヤマハの詳しい導入事例についてはこちらをご参照ください。

両社のWinActor導入状況

ミクニ 俵木 ミクニでは基幹システムを利用する販売、購買、生産、会計、人事、総務の各部門でWinActorを利用しています。また、一部の国内グループ会社でも利用していますが、海外グループ会社への展開はこれからの状況です。WinActorを長年ご活用しているヤマハ様では、WinActorを生産本部以外の部署への展開は進んでいるのでしょうか。また、海外グループ会社への展開状況も教えてください。

ヤマハ 村松 ヤマハでは、WinActor導入を推進するための全社タスクを生産本部で立ち上げ、マリン事業本部と協働で2年程導入推進活動を展開してきました。このタスク活動では、工場部門だけではなく、事業プロセス全体を活動の検討範囲とし、営業、購買、事業企画などのスタッフ部門にもRPA導入を図っています。基本的には各部署でWinActorを開発できるスキルを身につけてもらい、独立した形で開発が行われているのが実状です。

ヤマハ 村松 製造子会社など国内の関連会社にもWinActorの導入を図っていますが、ヤマハの場合はIT部門が全社統括管理の機能を果たす形ではなく、基本的にはRPA導入計画・管理・開発は各グループ会社の裁量に任せて展開が図られています。また、海外グループ会社も同様で、業務効率を図っている海外グループ会社の拠点長や製造部門トップの方々の裁量で個々にRPA導入を進めている状況です。

開発プロセスや導入効果の洗い出し

ミクニ 俵木 各部門の裁量に任せるという点ではミクニでも同様ですが、実際に開発して、いざ運用を開始してみると思うように動かない時もあり、その原因調査にも工数がかかってしまいます。開発プロセスや導入効果の洗い出しはどのようにされているのでしょうか。

ヤマハ 村松 まず、PCを使っているルーチン業務を各部署で洗い出し、業務ごとに実際にかかっている時間を把握した上で、導入効果が高そうなところから優先してWinActorによるRPA化に着手するようにしています。

ヤマハ 柴山 各部署にはWinActorの開発スキルを持った人材が配置されていますが、規模の大きなシナリオや難解なシナリオを作る必要がある場合は、私たちがサポートやフォローをする形で開発・導入を進めています。例えばホストデータからダウンロードする作業が多い部署では、WinActor導入前は6人で作業していた業務を、WinActor導入後は大幅に業務効率化されて半数の3名に削減でき、残りの3名は他の部門に配置転換することができました。

ヤマハ 村松 当初からRPA導入活動の効果については、PL(損益計算書)に反映させることで生産本部の損益改善を図ることをトリガーにしていたため、人件費を削減することで、1つの部門で数千万円単位の効果は挙げているケースもあります。

ヤマハ 村松 ヤマハには、間接業務や生産活動などの業務を「理論値生産活動」の思想で業務改善する企業文化があります。理論値生産活動とは、生産に関わるすべての作業を「価値」と「準価値」「無価値」に分け、限りなく価値作業の比率を高めることによって生産・業務効率を高めていく取り組みのことです。そのため、各部署の業務を価値/準価値/無価値に分け、なるべく無価値を削減することで、生産・業務全体の効率を図ります。そのためのツールのひとつとしてRPAを活用してきたプロセスがありました。WinActorの導入によってしっかりとPLに効果を出し、生産本部の損益を改善することで、コスト削減面で事業に貢献し、実績を残しているというのがこれまでの経緯です。

進捗管理について

ミクニ 俵木 弊社の場合、PLに反映できるまで効果を結び付けられていないことも課題なので、ヤマハ様のWinActor活用例は大変参考になります。

ヤマハ 村松 進捗や効果の報告に関しても、実際に人件費を削減できたのか、あるいはマネジメントの改善によって生産性が向上したのかを明確にする必要があります。例えば、人を削減せずに業務効率化した場合は、その削減した業務を担当していた人材を他の付加価値のある業務に担当させていることを明確にすることが、上層部へ進捗を報告する上での重要なポイントになります。弊社の場合は理論値生産活動のカテゴリの中に、理論値間接(間接スタッフの生産性向上を理論値思考で取り組む手法)という考え方もあり、間接スタッフ部門の業務効率向上を図り、人件費を下げるのか、生産性を向上させるのか、という視点で成果を出すことが求められます。WinActorは業務改善した場合は実績を確認できるほか、生産性向上の場合は付加価値のある仕事をどれだけ増やせたのかという2つの視点で計画を立て、実績報告をするのに大いに役立っています。

ミクニ 俵木 弊社でも理論値生産活動には取り組んでいますが、理論値間接はヤマハさんのレベルに達していません。

ヤマハ 村松 理論値間接は変動費だけではなく固定費の領域も削減対象としています。その施策のひとつとしてRPA導入に取り組んできた背景もあるので、PLに反映できる効果を出してきました。

RPA新規開発継続の手法

ミクニ 俵木 また、弊社ではRPAの新規開発が停滞気味なのも悩みのひとつです。ヤマハ様において開発活動を活発化する取り組みがあれば教えてください。

ヤマハ 村松 2つあります。1つは、弊社のイントラのメニューに「RPA広場」というサイトがあり、そこにIT部門が把握している事例を紹介しています。それを使って啓蒙を図っています。もう1つは、生産本部では新規開発を理論値生産活動における施策として織込みされていることです。理論値間接では、各部門が月1回のペースで業務のRPA化における計画・実績の進捗状況を報告する機会があるので、そこで報告・確認・共有がなされ、継続的な展開に結びついていると考えています。

ミクニ 俵木 ヤマハ様は日常の改善業務にも自然にWinActorを活用している印象を受けます。

ヤマハ 村松 初めはWinActorを業務効率向上や経費削減の目的で使い始めましたが、管理レベルの向上という観点でも活用の幅が広がりました。例えば、海外の生産状況をチェックするアラーム機能をWinActorに設けることで、海外生産拠点の計画に対して実績が乖離した場合には、アラームが管理職に飛ぶ仕組みにしています。また、勤務実績の把握や、日報の把握など、管理すべき業務の効率化や異常を早期にキャッチすることで、対策に結び付けるような機能をWinActorで実現しています。

ミクニ 俵木 ヤマハ様がどのような想いでRPAを活用しているのか、大変よく理解できました。弊社はRPAを導入することが目的化している面もあり、今回の意見交換会によって、WinActorを業務改善ツールのひとつとして育てていく必要性を改めて認識できました。ありがとうございました。

株式会社ミクニ

〒101-0021 東京都千代田区外神田6-13-11

ヤマハ発動機株式会社
ヤマハ発動機株式会社

〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500

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