SCSK

事例 | 株式会社森田鉄工所年間1万枚超の図面をいかに速く精確に描くか
図面作成のプロが選んだプロのためのツール

導入の背景・効果

現在の当社の設計業務は AutoCAD Mechanical と図面管理システムを核と する設計体制により、大きな業務効率化 を実現しました。しかし、業界の将来を 考えていくとやはり 3次元設計という新し い課題も見えてきています。近年はお客 様から 3D データを提供してほしい、と いう要望も出てきています。ですから、情 報収集と研究は進めておかなければなり ません。SCSK からすでに提案いただい ている Inventor 等も視野に入れて、じっ くり検討し準備を進めておきたいですね。

塚田 展由氏

株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 課長

ソフトウェア

AutoCAD Mechanical

SCSK の緻密な支援のもと初の CAD 乗り換えに成功
AutoCAD Mechanical を核とする新たな設計体制を構築

いかに速く無駄なく、大量の図面を作成する

埼玉県幸手市に本社を置く森田鉄工所は、今年創 業 100 年を迎えた老舗の水道バルブ専業メーカー である。水道用バルブには多くの種類があるが、同 社は大型バルブまで設計製造できる日本では数少 ない一社としてこの分野で不動の地位を築き上げ、 いまやその製品は全国の上下水道事業体から農 水、治水、産業用に至る幅広い分野で使われている。

「当社のバルブ製品は、バタフライ弁、逆止弁、仕 切弁、オート弁を四本柱としていますが、同じバタ フライ弁でも配管の口径サイズ等で細かく分かれて おり、その数は 200 〜 300 にもなりますし、圧 力によっても設計が変わってきます。」そう語るのは、 同社で開発と設計を担っている技術部設計課の塚 田 展由氏である。塚田氏によれば、同社製品のエ ンドユーザーは大半が公共関係で、「どんなバルブ が求められるか」はその年の各公共機関の方針次 第。各製品の仕様もエンドユーザーごとに細かく異 なっているのだという。結果、ほとんどが受注設計 となり、その都度設計していく形なのだという。

AutoCAD Mechanical による作業状況(設計課)
AutoCAD Mechanical による作業状況(設計課)

「むろん多くは流用設計で進めますが、各案件ご とにお客様に提出する承諾図面と工場に出す製作 図面、そして部品図まで書かなければなりません。 1 製品で3 〜4枚から多いもので10 〜20 枚 の図面を起こします。」現在 20 名の設計者がいる 設計課全体で年間1万枚以上の図面を製作している。しかも、前述の通り最終顧客は公共機関がほ とんどを占めるため、仕事はどうしても年度後半に 集中する。例年10月から翌年3月にかけては、 かなりの過密スケジュールになってしまうのである。

「このように仕事の平準化が課題なのはもちろんで すが、同時に設計課員が図面をいかに速く、無駄 なく描くかが非常に重要となります。そして、そこで 欠かせないのが 5 年ほど前に導入した AutoCAD Mechanical と、その活用でした。」 AutoCAD Mechanical は製造業向けの機械設計 CAD ソフト。AutoCAD の全機能はもちろん、わ が国の工業規格に準拠した豊富な部品ライブラリ や作図支援機能を搭載し、機械設計の効率を大き く向上させることができる。まさに塚田氏らのニー ズに応えるCADソフトだった。

  • 株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 課長 塚田 展由 氏
  • 株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 課長代理 川俣 光正 氏
  • 株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 係長 田村 淳 氏
  • 株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 係長 毛利 斉亮 氏
  • 株式会社森田鉄工所 技術部 設計課 係長 山本 裕介 氏

「実はそれまでずっと別の CAD を使っていたので す。ところが5〜6年前、その開発が終了するとい われ、否応なく新しいCADを導入することにな りました。」そこで塚田氏らが相談を持ちかけたの が SCSK だった。それは長年慣れ親しんだメイ ンツールの乗換えであり、設計課にとっても重要な ターニングポイントとなる。業務に最適な製品選 定はもちろん、導入や操作教育にも万全のサポー トを SCSK に求めた。そして、提案されたのが AutoCAD Mechanical だったのである。

AutoCAD Mechanical と図面管理システムを核に
設計業務全般の効率化とコストダウンが大きく進展

初めてのCAD乗換えプロジェクト

「もちろん最終的に AutoCAD Mechanical に決定 するまでには、SCSK の提案をもとに管理職クラス が集まって約半年かけて各社のCAD製品の比較検 討を行いました。」(塚田氏) その時のCAD選定の一番のポイントとなった のは、幅広いデータの連携・共有を可能とする、 AutoCAD ならではのずば抜けたグローバリティに あった。というのは、この業界においてはユーザーが 図面データをやりとりする機会が多く、そのほとんど で DXF データが用いられていたからだ。

ところが実 は当時、他社製CADを使っていた森田鉄工所では、 受け渡しする DXF データをその都度変換していたの である。結果、バグが発生してトラブルとなり、時間 をロスしてしまうことも多々あったのだという。 「その点、AutoCAD Mechanical ならまったく心配 ありません。ナンバーワンシェアの AutoCAD なら ではの安心感でしょう。」

そしてもう一つ大きなポイントとなったのが、当時か ら同社が運用していた統合情報管理システムとの親 和性の高さである。図面作成の効率化が重要な業 務課題となっている森田鉄工所では、設計業務の大 半を占めている流用設計に素早く対応していくため、 過去の図面データの活用を追求してきた。

2800 mm 副弁内蔵バタフライ弁
2800mm 副弁内蔵バタフライ弁

「そこで当時から統合情報管理システムによる図面 のデータベース化を進めていました。AutoCAD Mechanical ならこの情報管理システムとの連携も容 易だったのです。」と語るのは設計課の川俣氏である。 「AutoCAD Mechanical ならあらかじめ図面デー タに様々な属性を持たせておくことができ、情報管理 システムにも自動で取込めます。しかも図面の検索も 非常にスムーズになったため、スピードアップできた のです。」事実、流用設計で作業を進める場合、同 社の設計担当は仕様書に基づいてこのシステムから 仕様に合った類似の設計データを探しだし、これを ベースに AutoCAD Mechanical を操作していく。

検索のしやすさとスピード、そして CAD との相性の 良さが効率化の大きなポイントとなったのである。一方、導入決定後の操作教育については、SCSK の緻密なサポートが大きな力を発揮したと言う。設 計課の毛利氏は語る。 「基本操作については導入前から研修等をやっていた だきましたし、導入後もみっちりサポートしてもらい ました。特に稼働してしばらくは皆から質問が頻出しましたが、担当がこれをまとめて SCSK が確認し、 フィードバックしてもらう形で解決していったのです。 これはとても効果的でしたね。」毛利氏の言葉に塚 田氏・川俣氏も大きくうなずく。塚田氏は語る。 「私も入社以来初の CAD 乗換えでしたし、前の CAD 操作のクセも付いていたので、正直いって不安 もあったのですが、思ったよりずっとスムーズに移行 できたと思います。SCSK のサポートのもと、メンバー もしっかり勉強してくれましたね。」

新製品の仕組み示す図解を Fusion 360 で制作
2000mmスイング式逆止弁

さらなる効率化の推進と、その先の3次元化

導入後5年を経て、AutoCAD Mechanical は、 図面管理システムと密接に連携しながら、いまや すっかり同社の設計ツールとして定着した。設計課 の山本氏・田村氏は語る。 「入社以来 12 年間も別の CAD を使っていたので、 乗換えになった時は正直抵抗がありました。でも、 1 年もすると自然と使えるようになりましたし、今で はネジ寸法や溶接機能など専用機能がとても使いや すく感じます。」(山本氏) 「前の CAD で不便だった点の多くが AutoCAD Mechanical で解消された実感です。陰線処理につ いては、他所からもらうデータ不備が原因でまだ活 用しきれてないのですが、これを上手く使えればさら に効率が上がるでしょう。」(田村氏)

オート弁(MRF-100 型減圧弁)
オート弁(MRF-100 型減圧弁)

このように AutoCAD Mechanical の定着と共に、 同社の設計業務の効率は確実に向上した。加えて昨 年はサーバーを統合して生産管理システムも導入し、 図面管理システムとの連携も図っている。 「トータルに見て、設計業務全般の効率化とコスト ダウンはかなり進めることができたと思います。事 実、今年の繁忙期は混乱もなく回せました。さま ざまなパートで二度手間が減り、ミスが無くなって 作業スピードも向上しています。」しかし、解決すべ き課題はまだまだあると塚田氏は言う。AutoCAD Mechanical にも試してない機能が多々あり本格的 活用はまだまだこれからなのだ。

AutoCAD Mechanical の操作画面
AutoCAD Mechanical の操作画面

「今後はまず AutoCAD Mechanical の活用を深 めていくことが第一の目標です。そして、その先には 3D化等の新しい課題も見えています。当社も構造 解析のため 3D の活用に着手していますが、今後は Inventor 等による 3 次元設計への挑戦も避けては 通れません。3次元の世界になると、私たちにも分ら ないことが多いので、SCSK にはぜひそうした情報 提供や提案を期待したいですね。」

株式会社森田鉄工所 本社(埼玉県幸手市)
株式会社森田鉄工所 本社(埼玉県幸手市)

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