プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは、クラウドサービスの提供形態、または利用形態の一つ。“Private”(私用の)の意味どおり、インターネット上で構築されるクラウド環境のうち、企業や組織などが占有して利用できるものを指す。パブリッククラウドより拡張性や自由度、セキュリティ性能が高く、オンプレミスのような多大なコストがかからないことがメリットである。クラウド事業者の提供するクラウド環境の一部を専有する「ホスティング型」と、自社で構築したクラウド環境を利用する「オンプレミス型」がある。

プライベートクラウドとは|概要

プライベートクラウドとは、インターネット上で構築されるクラウド環境のうち、企業などが占有して利用できるものを指します。IPAでは以下のようにプライベートクラウドを定義しています。

【プライベートクラウド(Private cloud)の定義】
「クラウドのインフラストラクチャは、複数の利用者(例:事業組織)から成る単一の組織の専用使用のために提供される。その所有、管理、および運用は、その組織、第三者、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはその組織の施設内または外部となる。」

(出典)独立行政法人 情報処理推進機構:NIST によるクラウドコンピューティングの定義 米国国立標準技術研究所による推奨, p3

一般的に使われるパブリッククラウドでは、クラウドサービス事業者が構築・提供するリソース(インターネットを通じてアクセス可能な環境およびサーバ・ストレージ・アプリケーションなど)を、複数の利用者で共有することになります。一方、プライベートクラウドは特定の一利用者だけが使えるクラウド環境を「占有(専有)する」仕組みになっています。

プライベートクラウドのメリットとして、オンプレミスのように現物のサーバーやシステムを配備する必要がなくコストが比較的かからないこと、パブリッククラウドのように不特定多数と共有しないためセキュリティ性が高いこと、専用クラウドのため独自のシステム構築やカスタマイズがしやすく、将来的な拡張性も高いこと、などが挙げられます。

プライベートクラウド導入にあたっての比較対象としては、企業や組織が自社内に構築する体制、「オンプレミス」があります。オンプレミスはセキュリティ性や拡張性が高く、プライベートクラウドと似たメリットがありますが、機器の準備に時間がかかり、設置のための初期投資および継続的な保守運用にコストがかかることがデメリットとなっています。プライベートクラウドはあくまでもクラウド環境の利用のため、必要に応じて使う分のみ使用料を支払うこと、設備などの初期投資費用がかからないことから、オンプレミスよりもメリットが大きいといえます。

一方で専有環境を構築することから、パブリッククラウドと比較すると導入コストと時間がかかります。プライベートクラウド・オンプレミス・パブリッククラウド、何を選ぶかは利用者の特性、予算、目的に合わせて検討する必要があります。

【図】パブリッククラウド・プライベートクラウド・ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの関係

【図】パブリッククラウド・プライベートクラウド・ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの関係

プライベートクラウドには、パブリッククラウドの一部を占有する「ホスティング(ホステッド)型プライベートクラウド」と、企業内のサーバー上に構築されたクラウド環境を利用する「オンプレミス型プライベートクラウド」があります。同じプライベートクラウドでも、第三者である事業者のクラウド環境を使うより自社環境の上に構築する場合のほうが、セキュリティや自由度、拡張性は最も信頼性が高くなります。

またプライベートクラウドとパブリッククラウドを併用する使い方やサービスは「マルチクラウド」と呼ばれます。

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