オンプレミスとは

オンプレミスとは、情報システムの使用者である組織や企業が、自らの所有または管理する物理的な施設・設備内（データセンターやサーバルームなど）にITインフラ（サーバ、ネットワーク機器、データベース、アプリケーションなど）を設置し、管理・運用する形態を指します。

オンプレミスは、従来はごく一般的なIT環境の構築・運用形態でした。企業は物理的な機器を自社で保有し、管理運用まで行うことが通常であり、それ以外の選択肢がほぼ無かったためです。しかし2000年代以降、インターネットの普及によりクラウドサービス（組織外部のリソースをオンデマンド方式で利用できるもの）など「自社で全てを保有する必要のない」新たな形態が広まりました。この「クラウドサービス」との対比として、従来型のIT環境構築・運用形態に対して「オンプレミス」という用語が認知されるようになりました。

以下は、一般的なオンプレミスとクラウドの違いをまとめたものです。ただし、オンプレミスにもクラウドとのハイブリッドもあれば、クラウドでもカスタマイズの自由度がかなり高いものもあり、製品によって異なります。

（参考）クラウドとの比較｜HPE GreenLake｜SCSK株式会社

オンプレミスのメリットは、自社専用システムのため、クラウドと比較して自由度が高く、必要に応じてカスタマイズやリソースの拡張ができる点です。

またオンプレミスは、常時インターネットで外部環境とつながっているクラウドと比較すると、セキュリティインシデント発生のリスクが低く、堅牢なセキュリティ環境が作れるとされます。組織の基幹システムなど高度なセキュリティ環境を必要とするものを運用する場合はオンプレミスが適しているとする意見があります。

一方、クラウドと比較してデメリットもあります。自社内で新規にIT環境を導入する場合、準備期間が長くかかり、サーバの調達、設置場所の確保やその他物理的なハードウェアの導入などに、多大な初期投資費用と手間が必要になります。またリソースを拡張する場合も自社システム全体との調整が必要なため、時間とコストがかかります。さらに、運用開始からの保守点検なども自社で行う必要があり、メンテナンス費用のほか専門の部門の準備や保守要員の確保として人件費などもかかります。

クラウドサービスを利用する場合、特にコスト面でオンプレミスよりもメリットがあるとされます。オンプレミスで必要なインフラ環境構築がクラウド利用では不要なため、初期投資費用がかかりません。自社で必要な機能の分だけ料金を支払う仕組みのため、コストの削減が可能です。ただし課金方法によってはかえって費用がかかるケースもあり、事前に確認が必要です。

クラウドのデメリットとされるカスタマイズ性については、近年提供されるサービスの中にはかなり自由度の高いものもあります。セキュリティ性能においてもサービスによって異なり、高いレベルのセキュリティ体制を提供できるものもあるなど多様化が進んでいます。

クラウドのデメリットとしては、事業者の都合でサービス内容やセキュリティ体制が変更されることが懸念されます。

以上から、単純にオンプレミスとクラウド、どちらが良い・悪いと比較することはできないといえます。各企業がオンプレミスとクラウドどちらを選ぶかについては、その企業の特性や求めるセキュリティレベル、予算、自社の事業形態、組織体制によって左右されます。自社が求める要件を明確にし、費用対効果なども勘案したうえで、最適なソリューションはオンプレミスなのかクラウドなのか、あるいは双方のハイブリッド形態なのか、併用するのかなど、多角的に判断して選択する必要があります。