AWS Summit Japan 2025イベントレポート~生成AIアプリ開発の内製化を支える最新のクラウド基盤~
- イベントレポート
- AWS
- クラウドネイティブ
- ../../../article/2025/08/aws_summit_japan.html
長年利用してきたVMwareのライセンスコストが今後大きく増えるかもしれない。BroadcomによるVMware買収後、ライセンス体系が大きく変更されました。コスト増や将来性への懸念から、いわゆる「脱VMware」を含め、VMware移行を本格的に検討する企業が急増しています。ただし、VMwareからの移行は、自社のシステム特性やコスト構造、運用体制によって、取るべき選択肢も進め方(移行手順)も大きく異なります。
そこで本記事では、移行が必要かどうかの判断基準から、主要な移行先の比較、そして失敗しないVMware移行手順までを体系的に解説します。自社にとって最適な選択肢を見極め実行するための参考にしてください。
【監修者】小林 朗 (こばやし あきら)

SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ
データ・AI基盤事業本部 USiZEサービス部 第一課 課長
【経歴】
1999年にCSK(現SCSK)に入社。
ネットワーク/周辺サーバのエンジニアを経て、クラウドサービスの企画・開発・運営を担当。
【資格等】
・ITILv3 Expert/ITIL4 マネージング・プロフェッショナル
・2025 Japan All AWS Certifications Engineers他
目次

「脱VMware」という言葉が先行しがちですが、すべての企業が今すぐVMwareから移行すべきとは限りません。そもそも、VMware移行がここまで強く意識されるようになった最大の要因は、Broadcomによる買収に伴い、ライセンス体系と価格戦略が大きく変わったことにあります。主な変更点を、買収前後で整理すると次の通りです。
| 変更前 | 変更後 | |
|---|---|---|
| ライセンス形式 | 永続ライセンス | サブスクリプション |
| 課金単位 | CPUソケット単位 | 物理コア単位 |
| 製品構成 | 個別製品を柔軟に選択可能 | 機能を集約したバンドル製品(エディション)に統合 |
| 販売戦略 | 幅広い顧客層へ販売 | 中小向けエディションの廃止など、大口顧客重視の傾向 |
つまり、これらの変更が自社のシステム特性・コスト構造・運用体制にどう影響するのかを踏まえたうえで、最適なIT戦略を立てることが重要です。この観点から、「VMware移行を本格的に検討すべきケース」と「当面はVMware継続が合理的なケース」 を解説します。
次のような条件に当てはまる場合は、VMware移行を前向きに検討する価値があります。
これらに該当する場合、VMware移行は単なる「ライセンスコスト対策」にとどまらず、IT基盤を将来に向けて整理する良いタイミングになり得ます。
一方で、VMwareを巡る状況が大きく変化しているとはいえ、条件によっては、当面VMwareを継続しながら将来に備える判断の方が現実的な場合もあります。例えば、次のようなケースです。
ただし、この場合も何もしなくてよいわけではありません。将来移行すべきタイミングが来たときに、自社にとって最もリスクの低い形でスムーズに移行するためにも、後述する移行先の選択肢と進め方を参考にしてください。
VMware移行にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください

VMwareからの移行を決断した場合、次に考えるべきは「どこへ移行するか」です。移行先は多岐にわたるため、自社の目的やシステム要件、予算に合わせて慎重に選ぶ必要があります。ここでは、主要な選択肢を「パブリッククラウド」と「他の仮想化基盤」の2つに大別し、それぞれの特徴を比較します。

パブリッククラウドへの移行は、インフラの運用負荷を軽減し、ビジネスの成長に合わせて柔軟に規模を拡大できる点が魅力です。DX推進の観点からも、多くの企業が検討する有力な選択肢と言えるでしょう。「VMware移行=すぐにVMwareを使わなくなること」と捉えられがちですが、パブリッククラウドへの移行に関しては、現実的に2つの異なるアプローチが存在します。
1つ目は、VMware環境を維持したまま、実行基盤だけをパブリッククラウド側へ移すアプローチです。オンプレミス上で稼働していたVMware環境を、構成や運用を大きく変えずにクラウドへ移行します。この方法には、以下のような特徴があります。
一方で、VMwareライセンス自体は引き続き前提となるため、厳密な意味での「脱VMware」には該当しません。そのためこのアプローチは、オンプレミスVMware環境の制約から脱却するための第一段階として選ばれるケースが多いです。データセンター更改や設備制約からは解放されたい、しかし短期間での大規模な再設計・改修は難しいといった企業にとって、現実的な落としどころとなる選択肢です。
(パブリッククラウドで提供されるVMwareの例)Amazon Elastic VMware Service(AWS)、Azure VMware Solution(Azure)、Google Cloud VMware Engine(GCP)、Oracle Cloud VMware Solution(OCI)
SCSKでは、AWS・Azure・Google Cloud・OCIの導入・運用・活用を支援するさまざまなサービスを提供しております。企業のDX戦略を加速する全体最適な解決策の詳細は、各リンクおよび、下記バナーからご覧ください。
※AWSのサービスについては、下記の記事もぜひご覧ください!
AWS Summit Japan 2025イベントレポート~生成AIアプリ開発の内製化を支える最新のクラウド基盤~
もう1つは、VMwareを前提とせず、パブリッククラウドの仮想基盤へ移行するアプローチです。この場合、仮想マシン(VM)はクラウド標準のVMとして再配置され、結果としてVMwareライセンスから段階的、または完全に離脱することが可能になります。このアプローチの特徴は次のとおりです。
一方で、ネットワーク設計の見直しや運用プロセス(監視・バックアップ・障害対応)の再設計、ワークロードごとの検証といった対応が必要になり、移行難易度は高くなります。
実際の移行プロジェクトでは、まずアプローチ1でVMwareを維持したままクラウドへ移行し環境を安定させ、余裕が出た段階でアプローチ2の脱VMwareによるクラウドネイティブ化を進めるという二段階の移行パスが選ばれることも少なくありません。
(パブリッククラウドが提供する仮想基盤の例)Amazon EC2(AWS)、Azure Virtual Machines(Azure)、Google Compute Engine(GCP)、OCI Compute(OCI)
SCSKでは、クラウドネイティブに関するテクノロジーと専門知識を結集したオファリング・サービス「NebulaShift」を提供しています。豊富な経験と実績をもつ専門家がお客様のビジョンや事業構造に合わせたアプリケーション基盤の構築や既存環境の最適化、技術者育成、アジャイル開発の導入・内製化支援を通じて、企業のクラウドネイティブ化を幅広く支援します。
企業のクラウドネイティブ化を支援するサービス「NebulaShift」
※クラウドネイティブの進め方については、下記の記事もぜひご覧ください!
クラウドネイティブ化の具体的手法を解説!企業のアフタークラウドを支援するNebulaShift【イベントレポート前編】

すべてのシステムをクラウドへ移行するのではなく、オンプレミス環境で運用を継続したい場合や、コスト効率を最優先したい場合には、VMware以外の仮想化基盤への移行が有効な選択肢となります。
| 仮想化基盤 | 分類 | 技術的な特徴 | 経済的な特性 | 最適な企業像 |
|---|---|---|---|---|
| Hyper-V | 商用 | Windows Serverに標準搭載されており、Microsoft製品との親和性が高い | Windows Serverのライセンスに含まれるため、追加費用が不要 | Windows中心の環境で、シンプルかつ低コストな仮想化基盤を求める企業 |
| Nutanix AHV | 商用(HCI) | サーバとストレージを統合管理するHCIで、仮想化・運用を簡素化 | ライセンス体系が分かりやすく、インフラ全体の運用コストを削減しやすい | インフラ管理を簡素化し、拡張性の高いプライベートクラウドを構築したい企業 |
| KVM | オープンソース | Linuxカーネルに標準で組み込まれており、カスタマイズ性と柔軟性に優れる | 仮想化ライセンス費用は不要(ただし構築・運用は自社責任) | ベンダーロックインを回避し、コスト効率を最優先する技術力の高い企業 |
Hyper-Vは、Windows Serverに標準で含まれる仮想化機能です。そのため、
という企業では、追加の仮想化ライセンス費用を抑えつつ、脱VMwareを実現しやすいというメリットがあります。一方で、VMwareとは仮想ハードウェアの考え方が異なるため、VM単位での変換・検証、運用手順の見直しは不可欠です。
Nutanixは、サーバとストレージを一体で管理するHCI(ハイパーコンバージドインフラ)を代表する製品です。Nutanix AHVはNutanixのHCIに標準搭載されており、
という点から、VMwareの代替としてよく検討されます。脱VMwareをきっかけに「仮想化基盤+その運用のあり方」まで一緒に見直したい企業に向いた選択肢です。
KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxに標準で組み込まれているオープンソースの仮想化技術です。仮想化ソフトウェア自体にライセンス費用がかからないため、仮想化レイヤーのコストだけを見れば、最も安価になります。ただし、
という側面があるため、一定以上の技術力・体制がある企業向けの選択肢と言えます。
VMware移行の検討においては、オンプレミス・パブリッククラウドに加えて、プライベートクラウドという選択肢も存在します。クラウドの柔軟性は取り入れたい一方で、データ主権や運用統制は重視したいといった企業にとって、現実的な選択肢となります。
SCSKでは、データ主権を担保したソブリンクラウド 「USiZE(ユーサイズ)」 を、VMware移行におけるプライベートクラウドの選択肢として提供しています。
※脱VMware/続VMware×オンプレミス/プライベートクラウド/パブリッククラウドでお悩みの方に向けた、【完全版】最適なIT基盤構築の虎の巻を、近日公開予定です。ぜひ「メルマガ登録」をしてお待ちください!
VMware移行にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください

移行先の選定が終われば、次はいよいよ実行フェーズです。しかし、VMwareからの移行は複雑なプロジェクトであり、計画性のないまま進めると、システムの停止や予期せぬコスト増といった失敗を招きかねません。ここでは、移行を成功に導くための3つのステップと、それぞれの重要ポイントを解説します。
移行プロジェクトの成否は、最初の計画段階でほぼ決まると言っても過言ではありません。綿密な調査と分析に基づき、現実的な計画を立てることが不可欠です。
ステップ1を踏まえて移行先を決めたら、次は事業影響を最小限に抑える移行計画です。最大の論点は、システム停止時間(ダウンタイム)をどう抑えるかです。
そこで、専用の移行ツールが役立ちます。例えば、AWSへのリフト&シフト移行を支援するAWS MGNは、本番環境に影響を与えずにデータをリアルタイムで複製し、切り替え時の停止時間を数分に短縮します。また、VMware HCXは、VMware環境間の大規模移行(オンプレミスからクラウドなど)に特化した移行ツールで、ネットワークを延伸しIPアドレスを変更せずにVMを移動させることで、ダウンタイムをゼロに近づけます。そのほか、既存のVMware環境をNutanix AHV基盤へ移行するためのNutanix Moveなどもあります。
これらのツールを活用するとともに、影響の少ないシステムから段階的に移行を進めるアプローチがリスク低減に繋がります。いきなり全てのシステムを移行するのではなく、まずはテスト環境でPoC(概念実証)を行い、手順の妥当性や潜在的な問題を検証することが成功への近道です。
移行作業の完了はゴールではなく、新たな運用フェーズの始まりです。新しい環境で安定したサービスを提供し続けるためには、以下の準備が不可欠です。

VMwareを取り巻く環境変化は、多くの企業にとってITインフラの在り方を見直す大きなきっかけとなりました。ライセンスコストの増加という課題は、裏を返せば、ベンダーロックインから脱却し、より柔軟でコスト効率の高い持続可能なIT基盤を再構築する絶好の機会と捉えることができます。
本記事で見てきたとおり、重要なのは「今すぐ脱VMwareすること」ではありません。自社のシステム特性やコスト構造、運用体制などを踏まえたうえで、どの選択肢を、どの手順で進めるかをしっかりと設計することです。VMwareからの移行は、決して簡単なプロジェクトではありません。必要に応じて外部の専門家の知見も活用しながら、自社にとって最適な移行戦略を描き、ビジネスの成長を加速させる次世代のIT基盤を築き上げてください。
VMware移行にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください

A. いいえ。必ずしもそうではありません。VMware移行には、大きく分けて次の2つがあります。
現在の移行検討では、「まずは続VMwareで環境を安定させ、将来的に脱VMwareを検討する」という段階的アプローチが選ばれるケースも少なくありません。
A. すべての企業で一律に上がるわけではありません。ただし、ライセンス体系の変更により、影響を受けやすくなった企業が増えているのは事実です。
といった変更により、将来のコスト見通しが立てにくい/規模や構成次第でコストが大きく増えるといった課題が生じています。重要なのは、自社環境ではどう影響するのかを把握することです。
A. 最も多い失敗原因は、計画と順序を軽視したまま移行を進めてしまうことです。
本記事で解説したように、VMware移行は「計画→段階移行(PoC)→運用設計」まで含めて初めて成功といえます。ツールや移行先の選定に加え、進め方の設計が最重要ポイントです。