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製造原価から始まる、設計・製造・調達のPLM連携

製造業において、製造原価は設計の初期段階で80%以上が決まると言われております。 そのため、設計の初期段階から製造原価を見える化することで、企業にとって利益向上につながります。

本レポートでは、PLMシステムと製造原価シミュレーションを連携させる具体的な方法と効果を 導入事例交えて解説していきます。

製造業の現状

現在、製造業を取り巻く環境は、グローバル競争の激化、材料費・人件費の高騰、短納期対応 など課題は山積しています。このような状況の中、企業にとって「製造原価を設計の初期段階で 可視化・把握すること」 が重要テーマの一つとして挙げられます。 設計部門と原価管理部門など各部門の連携がとれていないと、コストの見える化ができないだけ でなく後工程での手戻りが発生し、利益を圧迫することになります。

現状の製造原価に対する3つの課題

  • 原価計算のためのデータ収集に時間がかかっている

    原価計算に必要なデータ、「作業時間の把握」、「材料消費量の把握」、等データ収集の回収・入力・ 集計の作業に時間がかかり、原価計算そのものが遅れてしまう。

  • 製造原価の見積が属人的になっている

    各工場・設計者ごとに原価計算のルールやプロセスが個人に依存してしまい見積が異なってしまうため、 顧客への説明が難しくなってしまう。

  • 部門間連携がうまく取れていない

    製品ライフサイクルに関わる全部門(設計、開発、購買、製造、営業など)が部門の壁で部分最適に 陥り、原価を意識した全体最適ができず非効率になっている。

結果、上記の課題があり、効率的な活動ができず利益を圧迫している。

利益をアップさせるには

上記課題のため、利益を圧迫していると申しましたが、企業が利益を向上させる3つの方法があります。

3つの方法

  • 売価を上げる
  • 製造数量を増やす (数量限定での増産)
  • 原価低減を図る

上記3つのうち、「値上げ」や「増産」は市場や取引先企業へのインパクトを考えるとリスクを伴う可能性があります。 自社努力で利益を最も向上させる可能性があるのは、「原価低減」への取組と言えます。

製造コストを左右するのは、調達や製造部門も関係しますが設計の初期段階で80%が決まると言われていますので、設計の初期段階でコストを意識した設計をすることが重要なこととなります。 しかし、それを実現するためには、設計部門だけでなく、製造・調達・品質管理などモノ作りに関わる、各部門がコスト低減意識を持つことが重要となります。すなわち、コンカレントエンジニアリングにて設計の初期段階からコストダウンを図ることが必要であり、重要となります。
これを支えるのが、PLMシステムです。

PLMシステムと製造原価を連携させ、全工程(製品開発から製造・販売・保守)に関わる各部門がコスト意識を持ち連携することで、企業の利益を最大化できます。

PLMシステムと製造原価の具体的連携方法

  • E-BOM(設計部品表)とERP(原価情報)を活用

    設計段階で作られたE-BOMとERPシステムを活用し、見積原価と実際原価の差異を設計段階にてコスト 把握することで、設計の検討・改善に生かすことができます。

  • E-BOM(設計部品表)とM‐BOM(製造部品表)とBOP(製造工程計画)

    E‐BOMと設計の後工程で使われるM-BOM、BOPに関連付け、製造工程やコストを見える化することで、 設計段階でのコスト意識を高めることができ、コスト削減が促進されます。

  • PLMとERPシステムのデータ連携

    PLMシステムとERPシステムを連携させ、リアルタイムに実際原価、標準原価を取得・更新できることで、 原価計算の精度が向上し、利益管理の強化につながります。

PLMシステムのデータを活用し、製造原価を算出するルール化と見える化できる、シミュレーション システム「aPriori(アプリオリ)」を次に紹介します。

製造原価シミュレーションシステム 「aPriori(アプリオリ)」 ご紹介

一般的にPLMシステムは、「コスト管理機能」を持っています。コスト管理を行う上で、コスト計算で算出されたデータをうまく活用することが重要なポイントとなります。 そして、コスト削減を図るには、設計の初期段階から製造の原価を的確に、またタイムリーに捉えた情報が、設計の検証・改善のための役に立つ情報となります。

設計段階でその情報を設計者の方に提供できるソリューションが、弊社が取り扱う製造原価シミュレーションシステム 「aPriori」 となります。

製造原価シミュレーションシステム「aPriori」機能紹介 

  • 製造原価の自動見積

    • ・3D CADデータ(CATIA、NX、SolidWorks、STEPなど)から、材料費・加工費・間接費を自動算出
    • ・国、地域別(米国、中国、日本など)の製造コスト比較が可能
  • DFM(Design for Manufacturabilities)製造性評価

    • 設計が作りにくい/高コストとなる要因を自動に検出(加工困難な形状、肉厚、公差など)
    • 設計改善のための具体的な指示
  • 製造プロセスシミュレーション

    • 加工プロセスを仮想的に再現(切削加工、板金、鋳造、射出成型、積層造形など)
    • 工程数、加工時間、設備負荷の算出
  • コスト要因の可視化

    • コストを詳細に分解(材料、加工、設備償却、労務費、間接費など)
  • 設計案・製造条件の比較(What―if 分析)

    <複数のコスト・製造性の比較>

    • 材料変更 例(アルミ → 鉄 など)
    • 加工方法の変更  例(削り出し → 鋳造)
    • 生産数量の変更
    • 製造拠点の変更
  • サプライヤーの見積の妥当性検証

    • サプライヤーの見積とaPriori算出原価の比較
    • 購買交渉の根拠データとして活用
  • PLM・CADとの連携

    • 開発・設計の初期段階からの原価管理が可能
    • 設計変更と同時に原価再計算

製造原価シミュレーションシステム「aPriori」の導入メリット

1)得られる導入効果

  • 原価を初期の設計段階で可視化・把握することで、設計初期からのコスト検討が可能と なり、高コスト設計の早期発見につながり手戻りが削減できる。
  • 見積作成時間が短縮でき、購買交渉の根拠データが持て、サプライヤー見積の妥当性の 検証が可能となる。また、設計と調達部門との原価低減に対する認識の差を軽減できる。
  • 製造仕様段階においては、材料・加工方法の最適化が図れ、量産前のコストリスク が削減でき、グローバル展開されている企業では製造拠点の比較検討が可能となる。
  • 企業全体として、原価管理のスピードと精度を向上することができ、また、原価算出に対し ルール化することでコスト管理の属人化を防ぐことができる。

2)導入時の定量効果

「aPriori」導入に対する定量効果として、設計部門としては、設計の手戻りの削減、部品原価を低減することができ、調達部門は、見積取得の時間が短縮でき、購買交渉へつなげること で、時間コストの低減が図れます。また、量産前の想定外のコスト発生を抑えることができ、コ ストリスクを大幅に低減することができます。

定量効果(例)
導入前 導入後
見積取得リードタイム 数週間 即日~数分
設計手戻り削減 手戻り工数 20~50%削減
部品原価 設計改善により 5~15%低減
購買交渉効果 見積差異の是正 3~10%コスト削減
原価検討工数 原価算出作業 50%以上削減
量産前コストリスク 想定外コスト発生 大幅低減


3)海外企業の事例

Flex社事例

Flex社は、アメリカとシンガポールの多国籍企業で、グローバルで3番目に大きい 電子機器製造サービス(EMS)、オリジナル設計製造会社です。 米国本社は、テキサス州オースティンにあり、30か国以上の製造拠点があります。

該社は、「aPriori」を導入することで、見積工数が、手作業で数日かかっていましたが、 数十秒になり、見積精度は、15%から68%に向上し、製造原価の標準化、迅速化、 精度向上が実現し企業全体としてコスト競争力強化が図れています。

PLMシステム+aPrioriシステム 導入効果
Before After
見積工数 数日(手作業) 数十秒(自動計算)
見積精度 約15% 約68%
時間短縮 BOM作成(3日) 約30秒


DANA社事例

DANA社は、120年以上の歴史を持つグローバ世界有数の自動車サプライヤーの大手企 業業で、ドライブライン、電動化、熱管理、シーリング技術を幅広く手掛けています。電動化 へのシフトでも積極的に投資を行っており、世界の主要OEM向けに需要部品を供給する企業です。世界中のあらゆるモビリティ市場で、車両等の設計・製造をしている企業です。

該社は、開発終盤での設計変更、コストの超過、そしてサプライヤーとの交渉非効率性が 長年の課題でしたが、aPrioriを導入したことで、プロセスの初期段階で製造性やコスト効 率を評価できるようになり、設計の手戻りを最小限に抑えることが可能となりました。 具体的には、既存製品で8%コスト削減、新製品では、再設計の頻度を減らすことで 設計効率を3倍に高めました。また、新製品開発にaPrioriの利用率を75%目指す ことで、標準化アプローチでのコストメリット等を見込んでいます。また、サプライヤーとの交渉の改善をaPrioriのShould Cost(詳細なコスト内訳)による効果的交渉により、大量生産部品における大幅なコスト削減が達成しました。 

Alstom社事例

Alstom社は、鉄道車両や機関車(フランス高速TGV列車など)、信号システム(北米 50%以上)及び鉄道電化装置などの製品を供給する、60か国105サイトのグローバル 企業です。

該社は、「aPriori」を導入することで、約10万個の部品の原価管理の最適化を実現し、 サプライヤーの選定を自動かすることで調達プロセスを劇的に短縮し、結果、現状コストを 40%削減することができました。

PLMシステムと「aPriori」システムの連携による効果

  • PLMシステム とaPrioriシステムの連携し、製造原価の算出は、設計の初期段階から製造、 調達他各関連部門とデータを共有するコンカレントエンジニアリングを実現することで、生産性向上、利益の向上が見込めます。
  • 見積原価と実際原価の差異の早期に分かることで、原因の追究、および改善策を立てることができます。
  • PLMシステムと原価を通じ、設計、製造、調達等各部門が連携意識を持つことで、原価低 減に取り組むことができます。

まとめ

  • 製造原価の標準化(算出のルール化)

    設計と調達の領域明確化、部門間連携強化

  • 見積作成の迅速化、見積精度の向上

    業務の効率化、顧客への対応強化

  • さらなる利益の向上

    企業経営へ貢献、新しい分野への投資

  • 企業全体コスト意識・コスト競争力向上

    企業推進力の向上

この記事では、初期の設計段階から製造原価を意識したモノつくりが重要であり、その製造原価を PLMシステムと連携し、製造原価算出のルール化を支援するソリューション「aPriori」を紹介させて 頂きました。

「aPriori」は、製造業の現状の課題、「製造原価の見える化、把握ができ」、「見積の属人化」を防ぎ、そして「設計から始まる部門間連携」を支援します。 結果、「aPriori」は、企業の利益に貢献するソリューションと言えます。

aPriori

組織を横断したコスト領域のDX

aPrioriは、3Dモデルから製造原価算出を可能にするデジタルファクトリーの構築を提供し、組織を横断したコスト領域のDXに貢献します。

著者情報
SCSK株式会社 デジタルエンジニアリング事業本部 aPrioriセールス 佐藤秀誉

前歴 日本ユニシス(現ビプロジー)、オートデスク、アルゴグラフィックスにて、CAD、CAEからPDM、PLM、生産管理システム等の営業部門の副本部長や役員を歴任。 2019年から、SCSKにて製造業向けPLMシステムの営業支援、および、社内の製造業担当営業向けのビジネススクールを実施。 2023年から、aPriori(アプリオリ)ソリューションの営業支援に傾注、現在に至る。

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