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沖縄でクラウドネイティブの熱風!CloudNative Days Summer 2025参加記 ~大規模なAWS移行を支えたリアーキテクチャプロジェクト編~
こんにちは!技術担当の鳥飼です。2025年5月23日に沖縄で開催されたCloudNative Days Summer 2025に参加してきました。前回のイベントレポートに続き、今回は注目のセッションレポートをお届けします!
前回のイベントレポートはこちら:[https://www.scsk.jp/sp/sysdig/blog/cloudnative_days/cloudnative_days_summer_2025.html]
今回のセッションレポートは、マネーフォワード様の「オンプレからクラウドへ。大規模なAWS移行を支えたリアーキテクチャプロジェクト達」です。すべての人のお金の課題を解決するプラットフォームを、どのような技術で支えているのか、詳しく見ていきましょう。
マネーフォワード様のご紹介
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、個人・法人・金融機関向けに幅広いサービスを展開。テクノロジーの力で、すべての人のお金の課題解決を目指すFintech企業です。事業成長を支えるエンジニア組織は、常に最新技術を取り入れ、業界をリードしています。
参考:マネーフォワード様コーポレートサイト:https://moneyforward.com/
オンプレミス共有DBの課題:移行の背景
マネーフォワード様では、創業当初時から共通のデータベースを利用して複数のサービスを展開していました。しかし、事業の成長とともにデータベースが複雑化し、以下の課題が発生しました。
- 全体障害のリスク:1つのサービスの問題が、他のサービスに影響を及ぼす可能性。
- 開発スピードの低下:サービス間の依存関係が複雑になり、開発効率が悪化。
これらの課題を解決するため、依存性を解消するリプレイスプロジェクトが発足しました。つまり、クラウド移行は、より安定したサービス提供と、迅速な開発体制構築のための重要なステップだったのです。
リプレイスプロジェクトの失敗と成功:失敗からの学びと成功への道
データベースの分離や、モノリスなアプリケーションの一機能を新サービスとして切り出すなど、コンポーネント化を進めました。
当初、リプレイスプロジェクトとしてスコープが広すぎたり、基盤変更への対応が追いつかなかったりと、苦戦した時期もあったそうです。しかし、以下の取り組みで成功へと導きました。
- スコープの最適化:ユーザーニーズを的確に捉え、本当に必要な機能に絞り込む。
- 密な連携と迅速なレビュー:細かい認識のズレを防ぎ、手戻りを減らすための仕組みを構築。
- 専任チームとKPI設定:プロジェクトにコミットする体制を整え、目標達成への意識を高める。
スキーマ駆動開発:開発効率を飛躍的に向上
スキーマ駆動開発は、システム間のデータ交換の形式やルールを明確に定義する開発手法です。これによって以下のメリットが生まれます。
- 並列開発の促進:エンジニアの担当範囲が明確になり、同時並行での開発が可能に。
- スムーズなレビュー:スキーマがあらかじめ定義されているため、レビューが効率的に行える。
マネーフォワード様では、GraphQLスキーマ駆動開発、OpenAPIスキーマ駆動開発を組み合わせることで、開発スピードを大幅に向上させているそうです。
サービスの終了・移行:ユーザ視点での丁寧なアプローチ
新サービスとして機能が切り出されるだけでなく、既存機能の廃止や、サービス自体への統合も行われます。その際、以下の点に注意することで、スムーズな移行を実現しています。
- ユーザへのヒアリング: 業務フローを考慮し、最適な対応策を決定。
- 移行モチベーションの向上: 類似UIへの移行でユーザの抵抗感を軽減。利便性の高い機能追加で移行を促進。
- 関係者の巻き込み: 上司のKPIにプロジェクトの成功を含めることで、組織全体での推進体制を構築。
まとめ:技術だけではない、プロジェクト推進の重要性
今回のセッションを通して、クラウドへの移行は技術的な側面だけでなく、プロジェクトをいかに推進するかが重要だと改めて感じました。
大規模なリプレイスには、多大な工数と関係者の協力が不可欠です。プロジェクト全体をリードする推進チームを設け、関係者と密に連携を取りながら進めていく必要があります。
個人的には、KPIにプロジェクトの成功を含めることで、関係者全員が「自分ごと」として取り組む姿勢が、成功の鍵だと感じました。
セッションの動画はこちらから閲覧できます。本ブログでは書ききれなかったプロジェクトの苦労や成功のポイントがたっぷり語られていますので、ぜひご覧ください。
[セッション動画へのリンク: https://event.cloudnativedays.jp/cnds2025/talks/2590]
担当者紹介

- 担当者名
- 鳥飼
- コメント
- Sysdigを中心にコンテナ、Kubernetes、クラウド領域の業務に従事しています。
- 保有資格
- Certified Kubernetes Administrator