スイッチとは

スイッチとは、PCやプリンタなど複数のデバイスを接続し、データ通信を効率的に行うためのネットワーク機器。以前は「スイッチングハブ」と呼ばれていたが、現在は単に「スイッチ(ネットワークスイッチ)」と呼ばれることが一般的である。従来のハブとは異なり、スイッチは必要な宛先にだけデータを送ることができ、通信効率の向上や安定した通信速度の維持が可能。

スイッチとは|概要

スイッチ(スイッチングハブ/ネットワークスイッチ)とは、通信回線の交換機能をもつ装置です。MACアドレスやIPアドレスをもとに、複数の機器からデータを受け取り、目的の宛先だけに送り届けることができます。

たとえば、オフィスでAさんがBさんにデータを送る場合、スイッチは「これはBさん宛てだ」と判断し、Bさんのコンピューターにだけ届けます。このように、スイッチは宛先を正確に振り分けることで、ネットワーク内の無駄な通信を減らし、効率的で安定したデータ通信を実現します。

スイッチの種類

スイッチには、その機能によっていくつかの種類がありますが、代表的なものに「L2スイッチ」と「L3スイッチ」があります。これは、ネットワークのどの階層でデータを判断するかの違いに基づいています。

L2スイッチ(2層)

L2スイッチは、ネットワークに接続された機器が持つ固有の番号である「MACアドレス」を見てデータを振り分けます。これは、同じ建物内で「部屋番号」だけを頼りに手紙を配達するようなイメージです。

L3スイッチ(3層)

一方、L3スイッチはMACアドレスに加えて、ネットワーク上の住所である「IPアドレス」も理解できます。そのため、異なるネットワーク間の通信も可能で、これは「市町村などの住所」を頼りに、異なる建物へ郵便物を届ける役割に似ています。

【図】OSI参照モデル

階層 階層名 概要
7層 アプリケーション層 アプリケーションレベルのデータ通信
6層 プレゼンテーション層 データフォーマットの変換
5層 セッション層 通信の開始から終了までの手順管理
4層 トランスポート層 通信制御、通信の信頼性の担保
3層 ネットワーク層 ネットワーク同士の中継、最適通信経路の選択
2層 データリンク層 ケーブルで接続された同一ネットワーク内の通信
1層 物理層 物理的な接続方法、電気信号

ハブ・ルーターとの違い

スイッチとよく混同されがちな機器に「ハブ(リピーターハブ)」と「ルーター」があります。これらは見た目が似ていることもありますが、ネットワーク内での役割が明確に異なります。ここでは、スイッチとそれらの違いについて解説します 。

ハブとの違い

ハブも複数の機器を接続する装置ですが、届いたデータをすべての機器に一斉に送ってしまうため、通信が混雑(衝突)しやすく、効率が低下するという弱点があります。スイッチは宛先を判断して必要な機器にだけ送るため、通信効率が高くなります。

ルーターとの違い

ルーターは、異なるネットワーク間を接続するための機器で、社内ネットワーク(LAN)と外部ネットワーク(WAN)をつなぐ役割を担います。IPアドレスをもとに通信先を判断し、OSI参照モデルのネットワーク層でデータを中継します。一方で、スイッチは基本的に同一ネットワーク内(LANとLAN)の機器同士の通信を振り分ける機能をもちます。L3スイッチはルーターと同様にネットワーク層で動作し、IPアドレスを使って異なるネットワーク間の通信も可能ですが、基本的にはLAN同士を接続するので、LANとWANをつなぐルーターとは異なります。

項目 スイッチ ハブ ルーター
主な役割 LAN内のデータ中継・振り分け LAN内のデータ中継 異なるネットワーク間の接続
通信範囲 同一ネットワーク内 (LAN) 同一ネットワーク内 (LAN) 異なるネットワーク間 (LANとWAN)
データの送り方 宛先を特定して送信 全員に一斉送信 宛先のネットワークを判断して送信
宛先の判断基準 MACアドレス (L2) / IPアドレス (L3) なし IPアドレス

スイッチ導入のメリット

スイッチの導入には、いくつかのメリットがあります。

通信効率の向上

宛先を特定してデータを送るため、ネットワーク全体の不要な通信量が削減されます。これにより、データの衝突が起こりにくくなり、安定した通信速度を維持できます。

セキュリティの強化

データが宛先の機器にしか届かないため、関係のない第三者に通信内容を盗み見されるリスクが大幅に減少します。

拡張性

接続する機器が増えても、ポート数の多いスイッチを追加・交換することで容易に対応できます。

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