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アステラス製薬の新薬開発拠点をオール無線化
-約1,700クライアントが自由で快適にアクセスできる環境を実現-


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(中央)アステラス製薬株式会社 情報システム部 ITインフラグループ 課長 矢ヶ部泰法氏
(左)SCSK株式会社 ITエンジニアリング事業本部 エンタープライズ第二部 営業第二課 課長代理 野田昌司
(右)SCSK株式会社 ITエンジニアリング事業本部 エンタープライズ第二部 営業第二課 ITスペシャリスト 碓井雄一郎

グローバルな製薬メーカーであるアステラス製薬株式会社様(以下、アステラス製薬)は、新薬開発の中核拠点である「つくば研究センター」のオール無線LAN化を実現し、2017年1月より運用を開始しています。 約1,700クライアントが接続し、大量の実験データや画像・動画が日々行き交うネットワークに採用されたのは、HPE Aruba高速無線LANソリューション。そして、本プロジェクトを、設計・構築から全面的に支援したのがSCSKです。

トラフィックの急増によりデータ送受信の遅延が課題に

医療用医薬品と新薬の開発・製造に特化したアステラス製薬。「明日は変えられる」を企業スローガンに、現在の治療法や薬剤では満たされないアンメットメディカルニーズの高い疾患領域に注力し、泌尿器疾患や移植の疾患領域で、世界的に高い競争力を有しています。
アステラス製薬の新薬開発の中核拠点「つくば研究センター」は、広大な敷地に15の研究棟を擁し、約1,200名が研究開発に取り組んでいます。約1,700のクライアントデバイスが接続するセンターのネットワークでは、新薬開発に必要不可欠な大量の実験データや画像・動画などが行き交い、そのデータ量は増加の一途にありました。

「センターでは、2008年に構築したネットワーク環境のトラフィック増大に直面していました。PCに加えてスマートフォンやタブレットPCの活用が進み、ネットワークに接続される実験機器・装置も増加したことで、帯域不足を増長させていたのです。新薬開発はアステラス製薬の競争力の源泉。一日も早い改善が求められていました」(アステラス製薬 矢ヶ部氏)。

トラフィックの急増には、研究棟単位でスイッチを入れ替えるなどの方法で対処していたものの、抜本的なバックボーン高速化は不可欠でした。また、VLANで切り分けた専用ネットワークに接続されている実験装置のデータを、他部門で共有する場合、その都度、手作業で対応していたため、「接続の容易性」もシステムに強く求められました。

HPE Arubaソリューションでより自由で快適なネットワーク環境を実現

センターのネットワーク更改にあたり、アステラス製薬は「バックボーンの高速化」「高速かつ快適な無線LAN環境」「接続の容易性」「今後6年間の研究開発を支えるネットワーク」をテーマに挙げ、新たなネットワークの全体像を描きました。そんなプロジェクトをトータルに支援したのは、長きにわたり、アステラス製薬のITインフラ構築を担うSCSKです。SCSKが設計・構築を支援したネットワーク環境は、次の3つの方針により実現されています。

(1)スタッキングによるActive-Active冗長化でバックボーンの帯域と耐障害性を強化
(2)クライアント環境は有線を廃し、オール無線LAN化を目指す
(3)SDN(Software Defined Networking)の標準化を見極めた時点で速やかに移行可能に

アステラス製薬 つくば研究センターの新ネットワーク
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バックボーンの帯域と耐障害性の強化ため、コアスイッチ/主要棟のメインスイッチにVSF仮想化テクノロジー(※1)を採用してActive-Active構成を組み、リンクアグリゲーション(LACP ※2)により40GbEの帯域を確保。
また、最大7Gbpsの高速通信が可能なIEEE 802.11ac Wave2に対応した、HPE Arubaのアクセスポイントを約330台採用し、センター全体を網羅する高速無線LAN環境を構築。さらに、HPE Aruba 7210モビリティコントローラーにより、アクセスポイントの集中管理とユーザーアクセスの最適化が図られています。

※1:VSF(Virtual Switch Framework)は、Active-Active冗長化により広帯域と高可用性を同時に実現。機器に障害が発生した際は、50ミリ秒以内での通信経路切り替えが可能。データセンターからキャンパスまで、さまざまな環境で実効性が証明されたネットワーク仮想化テクノロジー。

※2:リンクアグリゲーション(LACP)は、複数の物理ポートを論理的に1つのインターフェースとして扱う機能。スイッチ間の帯域幅を拡大でき、冗長性を高めることができます。

無線LANの電波状況をヒートマップで可視化し、エリアごとに適切な通信環境を構築

ネットワーク構築に際して、SCSKは事前の現地サーベイを実施。そのサーベイで威力を発揮したのが、ネットワークサービスの状態を監視する「HPE Aruba AirWave」で、無線LANの有効範囲や干渉状況をヒートマップで可視化できます。

HPE Aruba AirWave:ヒートマップで無線LANの有効範囲や干渉状況を可視化できる
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「ヒートマップを利用したことで電波の弱い場所にはアクセスポイントを増設したり、電波を周囲に広げたくない場所では出力を弱くするなど、きめ細かなプランの事前策定が行えました」(SCSK 碓井)。

「HPE Aruba AirWaveは機器の状態監視だけでなく、遅かった、接続できなかったというユーザー体験を過去に遡って見ることもできます。その履歴を追うことで、アクセス不調の原因が特定でき、中長期的な改善計画に役立てることもできます」(SCSK 野田)。

無線LANがコミュニケーションを円滑化し、今後の研究開発を推進

つくば研究センターの大規模ネットワーク環境を「接続の容易性」という観点で見ると、HPE Aruba高速無線LANソリューションがもたらすメリットの大きさが実感できます。

「高速無線LAN環境の実現により、研究棟を行き来するユーザーのネットワークアクセスはより自由で快適になりました。コミュニケーションは円滑になり、ユーザーをデスクから解放してコラボレーションが促進されています」(アステラス製薬 矢ヶ部氏)。

無線化により、従来、実験装置の導入のたびに行っていた有線LAN工事が解消。今後、新設する装置は、順次、無線LANに切り替える計画で、クライアント側の工事を劇的に削減できます。つくば研究センターでは、実験装置や生産設備のセンサーデータをクラウド上で管理するIoT(Internet of Things)への取り組みも開始しており、クライアントアクセスにおける有線LANの撤廃が検討されています。また、アステラス製薬では、つくば研究センターで実証されたネットワークと同等の環境を、2020年までに他の拠点に展開していく計画です。

「HPE Aruba高速無線LANソリューションの導入によって、新薬開発の最前線を変革するネットワーク環境を整備しました。また、いつでもSDN(Software Defined Networking)に移行できる環境も整い、今後6年間の研究開発を支えるインフラとしての要件をすべて満たすことができました。SCSKの優れた技術とノウハウ、HPE Arubaネットワーク製品は、私たちのビジネスの競争力向上に寄与してくれるでしょう。今後もさらなるご支援を期待します」(アステラス製薬 矢ヶ部氏)。

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