かんたん解説!I-REC 日本の再エネ証書との比較

日本の再エネ証書と比較して、I-RECのメリットは?

かんたん解説!I-REC

これまで、国際的な再エネ属性証書I-RECが生まれた背景、そして信頼性と柔軟性を両立する管理体制について解説してきました。ここでは、日本で使われている再エネ証書と比較して、I-RECのメリットは何か? 需要家と発電者それぞれの視点でご紹介します。

まず、需要家にとって、I-RECをつかうメリットは?

需要家がI-RECを使うメリットは、「国際的に信頼されている」こと、そして「使い勝手が良い」ことが挙げられます。具体的には以下の5つです。

  1. 国際的な信頼があり、報告の際に余計な説明が不要
  2. 好きなものを、好きなタイミングで選べる
  3. 有効期限がないため、1年で無効にならない
  4. 転売することができる
  5. 自家発電・自家消費にも使用できる

それぞれ詳しくご紹介していきます。

国際的な信頼があり、報告の際に余計な説明が不要

I-RECのような国際的な属性証書を使っている海外の企業から見た場合、日本の再エネ証書の制度は複雑に感じられることが多いようです。例えば、海外の取引先から再エネ対応の要請があり、使用した再エネ証書の説明をする際、日本の証書がどのような証書か?どのようなルールとなっているか?など、詳しい説明を求められるケースがあります(説明するのがとても大変だったという話をよく耳にします)。

I-RECを使っていれば、「I-RECです」と伝えるだけで、余計な説明はいりません。また、I-RECはRE100などの国際イニシアチブに、信頼性のある属性証書として認められているため、報告の際にも自信をもって主張することができます。

好きなものを、好きなタイミングで選べる

I-RECは、需要家が直接、好きなものを選ぶことができます。

“好きなもの選ぶ”とは、欲しい属性(いつ、どこで、どんな方法で発電されたか)を選択して購入できるということです。例えば、「稼働5年以内で太陽光もしくは風力のI-RECが欲しい!」「この地域の発電所から生まれたI-RECが欲しい!」というような購入ができるのです。

また、非化石証書のようなオークション形式での取引ではないため、購入のタイミングが決まっているわけではありません。「オークションは回数や時期が決まっているから、そのタイミングで買っておくしかない。不足しないように多めに調達すると、最後は余ってしまうんだよな…」というケースも多いのではないでしょうか?

I-RECであれば、好きなタイミングで購入できるので、「年度末に最終調整のために購入する」「調整しながら少しずつ購入し、見通しを立てやすくする」といった使い方ができるのです。

有効期限がないため、1年で無効にならない

日本の再エネ証書(非化石証書)には、有効期限(1年間)があります。しかし、I-RECには有効期限がないため、「期限切れとなり、せっかくコストをかけて調達した証書を捨てることとなってしまった…」というような無駄がなくなります。

転売することができる

I-RECは出口(I-RECが使われるとき)の管理、つまり、誰がどのように使ったかという情報の管理と、すでに使った属性証書を他者による二重使用ができない管理がされています。そのため、この償却(証書の使用)の手続きをする前であれば、自由に転売できるのです。例えば、「本社で一度購入したものの、余ってしまった。そこで、属性証書が不足しているグループ会社に受け渡して、最終的にそのグループ会社が償却しよう」といった使い方が可能になります。

また、発電者と長期契約したものの、消費電力が少なくなり属性証書が余ってしまった場合でも、I-RECであれば他社に転売することができるので、長期契約のリスク低減策としても有効です。

自家発電・自家消費にも使用できる

非化石証書は、系統に流れた電力のみが対象となるため、自家発電・自家消費分の証書発行はできません。

I-RECの場合は、系統に流れた電力に加え、自己託送を含め自家発電・自家消費分に対しても属性を証明する(I-RECを発行する)ことが可能です。RE100技術要件では、自家発電は追加性の効果が大きく、再エネ拡大にインパクトのある方法であるとされています。自家発電・自家消費分に対しても属性を証明することで、国際イニシアチブへの報告の際に、自信をもって主張することができるようになります。

I-RECと日本の再エネ証書との比較

I-REC 日本の再エネ証書(非化石証書)
国際的な属性証書 日本独自の再エネ証書
電力の属性を選んで買える 電力の属性を選んで買えない
自家発電・自家消費でも使える 系統に流れた電力のみ使える
好きなタイミングで買える オークションで落札する
有効期限はない 有効期限がある
転売できる 転売できない

では、発電者にとってのメリットは?

発電者がI-RECを発行するメリットは、「より高い経済的な対価を得ること」です。

需要家は、多少価格が高くても「稼働5年以内で太陽光もしくは風力のI-RECがほしい!」「この地域の発電所から生まれたI-RECが欲しい!」というように、属性を決めて購入することが多くなってきています。

I-RECは属性によって異なる値付けがされており、人気が高い属性のI-RECは高い価格で取引されます。つまり、価値のある再エネを創出した発電者は高く評価され、より高い経済的な対価を得ることができるのです。

POINT
  • 需要家にとってI-RECは、「国際的に信頼されているため、余計な説明が不要」であり、「使い勝手が良い」というメリットがある
  • 「使い勝手の良さ」とは、「好きなものを、好きなタイミングで選べる」「有効期限がないため、1年で無効にならない」「転売できる」「自家発電・自家消費分にも使用できる」という特長である
  • 発電者にとってはI-RECは、「価値の高い再エネに対して、より高い経済的な対価を得られる」ことがメリットである
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