かんたん解説!I-REC 「信頼性」を支える管理体制

「信頼性」を支えるI-RECの管理体制

かんたん解説!I-REC

「かんたん解説!I-REC」の0102では、国際的な属性証書であるI-RECは、世界で広く普及している属性証書のベストプラクティスに基づいて作られたしくみだということを解説しました。ここでは、I-RECがどのような管理体制で運用されているかをご紹介することで、I-RECの品質の高さについて解説します。

属性証明(属性トラッキング)の「品質」の高さ

I-RECは、世界の主要な報告の枠組みであるGHGプロトコル、CDPやRE100などから、信頼性のある属性証書として高い品質が認められています。その信頼性は、徹底した「入口・出口の管理体制」に基づく「唯一性」や「追跡性」という特長に裏づけられています。

(1)入口の管理体制(I-RECが生まれるとき)

I-RECを発行したい発電者は、いつ、どこで、誰が、どんな方法で、どれくらい発電したかという情報を、世界で一つしかない登録簿(I-RECの戸籍台帳のようなもの)に登録します。

I-RECの管理体制には、登録された情報が正しいものかを確認し、I-RECの発行を許可する番人のような役割があります(この番人のことをイシュアと呼びます)。この番人が認証することでI-RECが発行され、属性証書として取引が可能になります。

この入口の管理体制によって、同じ電力の属性証書(I-REC)が二重発行されることなく、間違いや不正を防止します。そして、第三者(イシュア)によって認証された属性証書(I-REC)だけが取引できる状態となるのです。

(2)出口の管理体制(I-RECが使われるとき)

出口、つまりI-RECが使われるときの管理体制にも特長があります。誰がどのように使ったのかを追跡するしくみと、使用済みの属性証書(I-REC)を二重使用(不正)できないようなしくみが用意されています。

需要家が属性証書で「私はこの再エネを使った」と主張する際には、「償却」という手続きが必要となります。償却とは、I-RECが管理されている登録簿に「この属性証書(I-REC)を私が使いました」と記録を残す手続きです。償却が行われると、そのI-RECは「使用済みである」と見なされ、他者に譲渡したりもう一度使用したりすることができなくなります。つまり、証書の最終的な所有者が確定したことを意味します。

なお、この償却された証書(償却証書)には、いつ、どこで、誰が、どんな方法で発電した電力なのかという情報が付与されており、償却証書のQRコードから誰でもその証書の生まれが確認できるようになっています。

入口・出口の管理体制

このようにI-RECでは、入口と出口をしっかり管理することで、その属性証書が世界で唯一無二であるという「唯一性」と、発行から使用(償却)までを第三者が追跡する「追跡性」を実現し、国際的な信頼を獲得しているのです。

信頼性と柔軟性を両立させたしくみ

第三者(イシュア)によって認証され発行された属性証書は、償却する前であれば、他者への転売が可能です。転売中も世界で一つの登録簿で管理しているので、証書の内容を改ざんすることはできません。また、所有者の名義変更も追跡して記録されるので、自ずと不正を抑止するしくみとなっています。

近年、信頼性の高いI-RECの取引を活性化し、発電者と需要家の利便性を向上させることを目的に、プラットフォームオペレーターという役割が生まれました。日本では、SCSKが最初の認定を受け、I-RECの発行から売買、そして償却までの一連の手続きをかんたんに進められるサービスを提供しています。

市場ファシリテーター=I-REC取引の市場をファシリテートする
I-Tracking規格財団(旧I-REC規格財団)から認定された事業体
レジストリオペレーター=登録簿を管理・運営する役割
POINT
  • I-RECは世界の主要な報告の枠組みであるGHGプロトコル、CDPやRE100などから、信頼性のある属性証書として認められている
  • 入口(I-RECが生まれるとき)と出口(I-RECが使われるとき)を管理することで、「唯一性」と「追跡性」を実現し、国際的な信頼を獲得している
  • 「信頼性」と「柔軟性」を両立したI-RECのしくみを活かし、発電者と需要家の取引をさらに便利にする取引プラットフォームが登場している
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