製販一体とは

製造(製)と販売(販)を一体として総合的に考えるビジネスモデルや経営戦略のこと。顧客情報や売上実績を分析し、その情報を製品に落とし込みマーケティング、生産計画、製品とサービスの開発設計、材料調達、製造、販売、保守などの一連の流れを密接に連携、市場への提供にかかわるプロセスを一体化させることを意味する。

製販一体の概要

製販一体(Manufacturing and Sales Integration)は、製造と販売のプロセスを一体化する経営戦略の一つです。製造部門と販売部門が共同で計画を立て、情報連携して行動することで、「製品の提供スピードを上げる」「生産コストを削減する」「顧客満足度を高める」などの効果が期待できます。またITを活用して顧客のニーズや売上実績を分析し、それをもとにプロジェクトを計画するため、市場のニーズとの大きなずれが少なく、必要な製品より素早く必要な製品を提供できるとされています。

製販一体の特徴とメリット

製造と販売が一体化することで、市場の変化や顧客ニーズに素早く対応することが可能になります。これにより、市場に先駆けて新製品を投入でき、競合他社よりも早く顧客の要望を満たすことができます。

販売情報がリアルタイムで製造部門にフィードバックされるため、適切な生産計画を立て、在庫を適切に管理することが可能になります。これにより、在庫コストの削減と、商品の供給遅延を防ぐことが可能になります。

ほか、生産計画の精度向上により、コスト削減や材料発注の最適化、生産効率の向上が期待できます。また、製造と販売の一体化により、無駄なプロセスを省くことができます。

製販一体の課題とDXの推進

一方で、製販一体には課題もあります。

異なる部門間でのコミュニケーションや調整には時間と労力が必要であり、全体としての一貫した戦略を見失わないようにするためには、強力なリーダーシップと明確なガイドラインが必要となります。

さらに、市場の急激な変動や予期せぬ事態に対する対応が求められます。現代の市場のニーズは刻一刻と変化するため、ニーズを汲んだ製品を開発・製造しても、市場に出回る頃にはニーズが下火になっていることもありえます。このため、組織全体の柔軟性とスピードが求められます。

以上の課題を解決し製販一体を推し進めるには、IT化によるDXの推進と組織文化の改善が非常に重要になってきます。製造業では既存システム(レガシーシステム)を現在も利用している企業も多く、IT化の妨げやIT人材の雇用の難しさもあるため、製販一体を進める準備が必要になります。

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