NVIDIA GTC 2024アフターレポート ~Keynote(基調講演)から見る生成AIの世界~
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生成AI(ジェネレーティブAI:Generative AI)とは、画像、文章、動画、音声といったコンテンツを自ら作成できるAIのこと。従来のAIは事前に与えられた学習データの中から適切な情報(回答)を抽出するのに対して、生成AIは新しい情報を生成できるという違いがある。従来は難しかったクリエイティブな作業を担えるため活用が進む一方、著作権の侵害といった問題もある。
生成AI(別名ジェネレーティブAI:Generative AI)とは、ディープラーニング(深層学習)によって、さまざまなデジタルコンテンツを生成できるAIを指します。生成できるコンテンツとしては、例えば文章や画像、動画、音声といったものがあります。
生成AIを活用した有名なサービスにはChatGPTがあります。ChatGPTは、ユーザが入力したチャットの質問や指示に対して、非常に自然な文章を自ら生成して回答します。また、ユーザは新しいデータをチャットで読み込ませることで、ChatGPTがさらにそれを学習し、回答の精度を高めることもできます。
従来のAIと生成AIの大きな違いは、新しいコンテンツを生成できるか否かです。従来のAIは、事前に学習したデータをもとに、新しいデータを判別・分類することができました。例えばあらゆる種類の動物の画像を学習した(従来の)AIに猫の画像を見せたとき、「これは猫だ」と正しく判別・分類するというものです。一方、動物の画像を学習した生成AIは、それをもとに猫の特徴を理解し、新しい猫の画像を自ら生成することができます。
従来のAI | 生成AI | |
---|---|---|
特徴 | 学習したデータをもとに、新しいデータを判別・分類する | 新しいデータをも学習に取り込み、新たなコンテンツを生成する |
利用目的 | 識別、予測 | 生成 |
活用例 | 顔認証システム 製品良否判断システム メールフィルタリング |
文章、画像、楽曲作成 プログラミング 音声アシスタント |
従来のAIではできなかったクリエイティブな作業が生成AIによって代替および支援できるため、AIの活用の幅が広がり、ビジネスにおいても生産性を高める手段として着目されています。両者の特徴の違いを踏まえ、何を実現したいのかに応じた使い分けが重要です。
生成AIならではの危険性も存在します。
ハルシネーションとは直訳すると幻覚という意味で、AIが幻覚を見たかのように、事実とは異なる虚偽の情報(もっともらしい嘘)を生成する現象です。学習データが誤っていた、あるいは推測精度などの問題によって、回答の一部または全部がでたらめな内容を生成します。
会話型生成AIサービスで実際に確認されており、誤った情報でも自然な文章を生成するため、ユーザが嘘であると認識することが難しいという特徴があります。
学習データに他者が著作権を有する創作物が入っていた場合、それを模倣した類似コンテンツを生成AIが出力することで、著作権を侵害する恐れがあります。
この問題に対し、Adobe社が提供する「Adobe Firefly」という画像生成AIサービスでは、学習データをAdobe Stockの画像や著作権が失効している一般公開されたコンテンツなどに絞ることで、創作物の商用利用を可能にしています。
これら2点を踏まえ、生成AIを活用する際は、最適な学習データを準備する、回答を鵜呑みにしない(そのまま利用しない)といった注意が必要です。
(参考)
文化庁:「A Iと著作権」
内閣府:「知的財産推進計画2023 生成AIと著作権」