AI(人工知能)とは

人工知能とは、コンピュータを用いて学習・推論・最適化提案・課題解決・判断など、人間の高度な知的能力・知的活動を模倣させる技術、また代行が可能なようにモデル化されたシステムやソフトウェアのこと。AI(artificial intelligence の略語)。

AIの定義と概要

総務省資料ではAIを「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明しています。同時に、「その定義は研究者によって異なっている状況にある」「まず「そもそも『知性』や『知能』自体の定義がない」ことから、人工的な知能を定義することもまた困難である事情が指摘される」として明確な定義を避けています。

(引用)総務省「平成28年版 情報通信白書 第1部」p.233
(引用)人工知能学会ホームページ「人工知能のFAQ

また厚生労働省資料「AIの定義と開発経緯」では、「人工知能(AI:artificial intelligence)については、明確な定義は存在しないが、「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書からの抜粋)」とされています。

AIについて、「AIはあらゆる分野の課題に答(応)えられる万能の存在(=AGI(Artificial General Intelligence:汎用的人工知能)である」という誤解があるかもしれません。実際には、汎用的なAIはいまだ存在せず、AIの能力はあくまでも限定的な分野にとどまります。

一方、限定された分野においては、AIはすでに人間を凌駕する成果を上げているケースも少なくありません。例えば総務省資料を見ると、AIチャットボットによる問合せ⾃動応答、AIによる保育所入所選考マッチングや診療報酬明細書内容の誤り検知など、多彩な分野で実績を上げていることがわかります。

以上をふまえ、現在一般的に認識されているAI(人工知能)を考えると、データを分析し、学習し、特定領域の問題を解決するなど人間の知的活動を模倣し、人間のようなタスクを実行する能力を持つプログラムやシステム、またそれを開発するための手法やアプローチの総称ともいえます。

AIの主な機能領域

AIの主な機能には以下のようなものがあります。

【図1】人工知能(AI)の実用化における機能領域

【図1】人工知能(AI)の実用化における機能領域

(出典)総務省公表:ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究 報告書p.19

AIに関連する主な技術用語

AIと関連が深い主な技術用語をピックアップして紹介します。

機械学習(Machine Learning)

機械学習はAIの中心的な技術の一つで、データから学習しパターンや規則を抽出する手法です。主な学習方法には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」などがあり、画像認識、音声処理、自然言語処理など幅広いタスクに応用されています。

深層学習(ディープラーニング)

「ディープラーニング」とも呼ばれる学習方法で、人間の神経細胞の仕組みを模倣・再現したニューラルネットワーク(後述)を用いた機械学習の手法の一つ。膨大なデータを与えることでAIが自動的にデータの背景から必要な特徴を抽出できるようになります。画像認識や音声認識、自然言語処理など多くの分野で活用されています。

ニュートラルネットワーク(Neutral Networks)

ニュートラルネットワーク(Neutral Networks)とは、人間の神経細胞の仕組みを模倣したアルゴリズムです。ニュートラルネットワークの複数の階層からなるネットワークがデータを処理し、特徴を抽出するのに使われます。これにより、高度な画像認識や自然言語処理が可能になりました。

自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)

自然言語処理は、人間の言語をコンピュータが理解し、処理する技術の総称です。テキスト分析、機械翻訳、文字認識など、言語に関連する多くのタスクで使用されています。

このうち、近年話題のChatGPTなど「大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)」は、自然言語処理を用いてAIに膨大な量のデータを学習させるモデルです。これまでは難しかった、まるで人間と会話しているような自然な質疑応答や文書生成が可能となりました。

強化学習(Reinforcement Learning)

強化学習は、機械学習の一種。エージェント(AIやコンピュータなどの学習者)が、与えられたデータをもとに試行錯誤を繰り返して学習します。「教師あり学習」と異なる点は、与えられたデータをただ学習するのではなく、そのデータをもとにデータの価値を最大化させられるよう思考する点です。

また深層学習が自ら学習する課題を発見し試行錯誤を行うのに対し、強化学習では学習すべき課題を与えるのは人間である点が異なります。

AIのもたらす未来

現在、AIはすでに様々な分野で利用されています。自動運転車、健康管理、金融取引の予測、製造業のプロセス最適化など、AIの導入によって効率化や革新が進んでいます。

AIは進化を続けており、今後もその可能性は広がっていくと予想されています。同時に、倫理的な問題やプライバシーへの懸念も浮上しており、有識者による議論や法整備が進められています。技術の進化とともに社会的な議論の継続が重要といえるでしょう。

(参考資料)
総務省 人工知能(AI)の現状と未来
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4200000.pdf
総務省 人工知能(AI:エーアイ)のしくみ
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_06.html
文部科学省 AIってなに?
https://www.mext.go.jp/kids/find/kagaku/mext_0008.html

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