機械学習とは

機械学習(Machine Learning:マシンラーニング)とは、データ分析方法の一つ。人の「学習」に似た仕組みをコンピュータで実現するものとされる。入力された過去のデータからコンピュータ等が、そのデータの背景にあるパターンやルールを自律的に学習して発見、獲得する。さらにその学習成果で得たパターンやルール、経験則を新たなデータに当てはめ、関連する未知のデータを予測することも可能とする手法を指す。

機械学習とは|概要

機械学習(Machine Learning:マシンラーニング)とは、人間が学習するプロセスや仕組みをコンピュータに模倣させ実現する分析手法を指します。具体的には過去のデータを大量に入力し、一定のアルゴリズムに基づいてそのデータから自動的・反復的に学習させることで、データに関連するパターンやルールを発見させます。またその発見したパターンやルールを新たなデータに当てはめることで、そのデータに関する未来予測等を可能にします。

機械学習を行うためには、コンピュータに読み込ませるデータの特性等に適したアルゴリズムを用いる必要があります。また、分析データは、「パターンやルールを発見するために何に着目するか」を定量的に表した「特徴量」と呼ばれる数値を抽出して用います。アルゴリズムと特徴量の選び方が、解析の精度に影響します。

機械学習は、自動運転車、画像処理、音声認識、金融、医療、マーケティングなど、すでにさまざまな領域・分野で広く応用され、社会の発展や変化に大きな影響を与えています。

機械学習とAI・深層学習(ディープラーニング)との違い

AI」「機械学習」「深層学習(ディープラーニング)」の関係を、総務層資料「AIに関する基本的な仕組み」では以下の図で説明しています。これによると機械学習は、AI(人工知能)の一部に位置付けられた技術とされています。

【図1】AI・機械学習・深層学習の関係(総務省資料より)

【図1】AI・機械学習・深層学習の関係(総務省資料より)

(出典)総務省:AIと機械学習・深層学習の関係

また、AIと同じく機械学習とともに話題になる「深層学習(ディープラーニング)」は、機械学習の一部に位置付けられた技術とされています。

機械学習は、前述した特微量を専門家が事前に、何を学習させるか等の目的に合わせて検討し設定しなければなりません。一方、深層学習には人間の神経細胞に模した「ニュートラルネットワーク」が用いられます。ニュートラルネットワークによってデータの背景に隠されたパターンやルールを発見する際、コンピュータは特微量を「自律的に」抽出して学習に用いることが可能であり、その点が、特微量を専門家(人間)が指定しなければならない機械学習と異なります。

従来の機械学習とディープラーニング

(出典)機械学習とは|RAPID機械学習|SCSK株式会社

機械学習の種類

機械学習には主に次の3つの種類があります。

教師あり学習 教師なし学習 強化学習
データセットと正解が必要 データセットが必要 データセットは必要ない

教師あり学習

教師あり学習は、機械学習の代表的な手法と位置づけられています。あらかじめ「正解」をラベリングしたデータセットを人間が大量に用意し、学習データとして用います。コンピュータは入力データからその関係性を示す最適なモデルを自動的に導き出します。(この「モデル作成」が目的ではなく、新しい別のデータを入力したときにも正解となる結果を予測できるようにすることがゴールになります)。スパムメールの分類や画像認識などに用いられています。

教師なし学習

教師なし学習も、機械学習の代表的な手法と位置づけられています。ラベリングされていないデータ(正解が決まっていないデータ)を使用し、データのパターンや構造を自己学習して、それらのデータの本質的な構造や法則、関係性を自動的に抽出し、分類(グルーピング)する手法です。

教師なし学習は似ているデータのグルーピングは可能ですが、逆に言うとグルーピングまでしかできません。その分類されたグループがもつ意味の解釈は人間が行います。クラスター分析や異常検出などに用いられます。

強化学習

強化学習とは、報酬*1を最大化するためにコンピュータが行動と試行錯誤を繰り返すことで、タスクを実行できるようになる学習手法を指します。

教師なし学習・教師あり学習と異なり、強化学習は学習前の大量のデータ収集などは必ずしも必要ではありません。コンピュータエージェント*2と動的な環境の間で試行錯誤をしながらやりとりを繰り返し、その学習中に経験(データポイント)を収集して、報酬を最大化する行動を選択します。
*1「報酬」…強化学習において評価・成果を指す
*2「エージェント」…学習の対象を指す

強化学習は大量のデータを必要としない点のほか、従来の機械学習のように○×で表しやすい分野ではなく「過程」や「行動」を学習できる点がメリットとされています。人間の思考に近い結果を生み出せる技術といえ、ゲーム理論や自動運転、ロボット制御などに用いられています。

機械学習の限界と課題

機械学習は、AI技術の進化と共に影響力を増しており、さまざまな分野でも活用されています。ただし万能なものではなく、機械学習よりも人間が行ったほうがよいケースもあります。未知のデータを用いた場合、誤った結果を導きだすおそれもあります。

従来の機械学習とディープラーニング

AIを使った画像データの学習における失敗例

(出典)総務省統計局:「データサイエンス(機械学習のアルゴリズム)によるデータ解析が社会にもたらす変化

また現在、機械学習は人間が理解できる範囲を超えた複雑さや精度を持つことがありますが、それらの解釈と管理、倫理観をもった判断や社会への適切な活用ができるかどうかは今後も人間が注目していくべき重要な課題といえるでしょう。

(参考資料)
総務省統計局:「機械学習(教師あり学習)」「機械学習(教師なし学習)
経済産業省:「生成AI時代の人材育成/松尾研究室

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