SD-Branchで実現するゼロトラスト時代のセキュアネットワーク
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SD-WANとは、”Software Defined-Wide Area Network”の略称。ソフトウェアを用いて本社や支店などの地理的に離れた拠点間を結ぶWANを仮想化し、一括に管理・制御することで柔軟なネットワーク構成や迅速な設定変更が可能になる。また、利用回線やアプリケーションの通信量を可視化することができ、適切なトラフィック管理・運用を実現できる。
SD-WANとは、ソフトウェアを用いてネットワークを仮想化し、制御・管理するSDNの技術をWAN(Wide Area Network)に応用したものです。SD-WANが登場するまでは、各拠点でエンジニアがネットワーク機器を手動で設定することが一般的でした。しかし、SD-WANによって閉域網やインターネットなど複数のWANを仮想的に一つにまとめることで、一元的な管理が可能になり、運用管理の負担軽減や人的コストの削減を実現します。
SD-WANの需要が高まっている背景には、ビジネス環境の変化があります。DXやクラウド、リモートワークの進展により、さまざまな場所やデバイスからネットワーク(WAN)に接続する機会が増加し、ネットワークへの負担は増大しています。また、企業は顧客ニーズや市場の変化に迅速に応えることが求められており、業務やサービス提供の基盤となるネットワークも劇的に変化し続ける状況に対応できることが重要です。このような背景から、ネットワークの設定や構成をソフトウェアで簡単かつ柔軟に変更できるSD-WANのニーズが高まっています。
実際に、日本国内のSD-WAN市場は成長を続けています。IDC Japanによると、2023年の市場規模は147億9,000万円になり、2028年には約1.7倍の251億1,500万円に達すると予測されています。
ここでは、SD-WANの主なメリットについてご紹介します。
アプリケーションの通信量をリアルタイムに可視化することができます。折れ線グラフなどで通信状況を簡単に把握し、それに基づいて回線の増強や性能要求が低い帯域制限など最適な運用や改善施策を実施できます。
SD-WANでは、使用しているアプリケーションに対してそれぞれ異なる物理回線を割り当てることが可能です。たとえば、機密性の高い情報を扱う場合はVPN、利用頻度の高い重要な接続は閉域網を割り当てることで、回線を有効活用できます。
従来のWANでは、データセンターに通信が集約されているため、トラフィックが増加すると通信が混雑し、接続が不安定になったり、速度が低下したりすることがありました。SD-WANでは、特定の通信を各拠点の通信機器から直接行うローカルブレイクアウト(LBO)にも対応しています。これによって、信頼性の高いクラウドサービスやインターネットへの接続をデータセンターを経由せずに行うことができ、社内ネットワークの混雑を緩和することができます。
これまでは各拠点にルーターなどの通信機器を設置し、逐一設定作業を行う必要がありましたが、SD-WANでは遠隔操作により一括で設定変更が可能です。また、機器の接続後、事前に設定しておいた内容が適用されるゼロタッチプロビジョニングにも対応しており、手作業をほとんど必要とせず、現場の負担を大幅に軽減します。
SD-WANを利用するメリットがある一方で、導入には課題やデメリットも存在します。
多くの企業がDXやIoT化を進める中で、SD-WANに対応できるネットワークエンジニアは限られています。経験の浅い技術者が対応する場合、思わぬトラブルを招く可能性もあります。何らかのトラブルが発生した際に迅速に対処できるように、相談先や経験豊富な運用管理者を確保することが重要です。
SD-WANは柔軟なネットワーク構成が可能ですが、新たなセキュリティリスクを生む可能性もあります。特に、ローカルブレイクアウトを利用する際は一部の通信がファイアウォールを経由せずに直接インターネットに接続されるため、適切なセキュリティ対策が求められます。暗号化や通信監視などセキュリティ機能を備えている製品を導入することで、リスクを軽減することができます。