HPCとは

HPCとは、ハイパフォーマンス・コンピューティングの略称。日本語では高性能計算と呼ばれ、膨大かつ複雑なデータを高速で処理する機能やシステムのことを指す。従来は主に大学での学術研究や大企業での製品開発に使用されていたが、現在ではAIやIoT、ビッグデータの普及により一般企業にも利用されるようになり、その裾野は広がっている。

HPCとは|概要

HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算)とは、膨大かつ複雑なデータに対して演算処理を高速に行う機能やシステムのことです。HPCは、ネットワークに接続された膨大な数のサーバで構成されています。通常のPCは複数のデータを順番に処理するのに対し、HPCは複数のサーバやプロセッサーで複数のタスクを同時に処理することが可能です。また、よく耳にするスーパコンピュータは、HPCの関連ソリューションの一つです

最近では、クラウド上にあるHPCリソースを利用する「クラウドHPC」の普及も進んでいます。自社でHPCを構築する必要がなく、導入の技術的障壁は下がっていることから、HPC市場はさらに拡大しました。

HPCが重要な理由

HPCは、長年にわたり研究や開発の分野で重要な役割を果たしてきました。HPCの活用により、通常なら数週間や数か月かかる膨大なデータのシミュレーションや分析を大幅に短縮することができるため、研究が飛躍的に進展します。また、タスクの処理時間が短くなるということは、費用の削減にもつながります。

さらに、IoTAI 、5GなどIT技術が進化するのに伴い、企業が処理しなければならないデータの量は急増しています。従来のデータ処理速度では対応が難しくなり、複雑なデータをリアルタイムで処理できるHPCが活用されるようになりました。

HPCの活用事例

HPCは、さまざまな業界や分野で活用されています。以下に、その一例をご紹介します。

AI・機械学習

AIの開発には、大量のデータを使用した学習が必要です。生成AIをはじめ、さらに計算負荷の高い計算が求められるなか、HPCを活用すれば、これまで難しかった膨大なデータの高速処理ができます。

気象予測

正確な気象予測をするためには莫大なコンピューティングリソースが必要になります。HPCは、複雑な数式モデルや天候データを高速に処理する能力をもっています。これにより、台風の進路や気候変動の予測がより正確できるようになり、災害・温暖化対策に役立ちます。

金融

高い計算能力をもつHPCは、大量のマーケットデータをリアルタイムに分析し、株価動向の追跡や不正取引の検出を迅速に行うことができます。

医療

新薬の研究開発は、さまざまな種類の膨大なデータを集めて実験しなければなりません。化合物の組み合わせや分子シミュレーションやゲノム解析など、通常莫大な資金や時間のかかる作業を削減することができます。

エネルギー

石油やガスの探索、風力・太陽光発電の効率を最適化するためのシミュレーションに使用されています。

自動車

部品の耐久性検証や自動運転のシミュレーションなどに使用され、高品質な製品開発を迅速に行うことができます。

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