DaaS(仮想デスクトップ)とは
DaaSとは“Desktop as a Service”の略称。読み方は「ダース」。日本語では「クラウド型仮想デスクトップサービス」とされる。企業などのデスクトップ環境をクラウド上に構築し、ネットワーク経由でユーザー(従業員など)がどこからでもアクセスできるサービスを指す。企業や組織は従業員のために物理的なデバイスを所有する必要がなく、従業員はインターネット環境とインターネットにつながる端末があればどこからでも業務を行うことができる。企業のサーバ内に環境を構築するVDIと異なり、サービス提供事業者が用意するクラウドにデスクトップ環境を構築するため、コストやリソースの削減が可能になるなどメリットがある。一方で外部ベンダに運用を任せることになるため、カスタマイズ性が低いことやセキュリティ面の懸念などデメリット・リスクも存在する。
DaaSとは|概要
DaaS(Desktop as a Service:クラウド型仮想デスクトップサービス)とは、企業や組織における従業員などのデスクトップ環境をクラウド上に構築し、ネットワーク経由でどこからでもアクセスできるサービスです。従来のデスクトップPCと異なり、例えば企業が活用する場合は必ずしも従業員の人数分の物理的なデバイスを所有する必要がありません。従業員はインターネット環境とインターネットにつながる端末(PC、スマートフォン、タブレットなど)があれば、どこからでもDaaSに接続して業務を行うことができます。
【図】DaaSのイメージ例

DaaSは現在、さまざまな企業で導入されており、テレワークやBYODへの環境整備、BCP(事業継続計画)対策など多様なシーンに活用されています。
DaaSを導入するメリット
DaaSの導入には以下のようなメリットがあります。
コストを削減できる
企業は従業員の人数変動に合わせてデバイスを購入・管理する必要がないため、初期投資を削減できます。また運用管理にかかる費用も軽減されます。
運用管理の負担が軽減され、最適化できる
DaaSはサービス提供事業者によって運用管理されるため、企業側の負担が軽減されます。その分の人材をより重要度の高い業務に従事させることができ生産性が上がります。その他、例えば繁忙期にのみ従業員を雇用するケースでも物理的なデバイスを新たに購入したりセッティングしたりという手間がなく、必要な環境を迅速に提供できます。
デバイスの盗難・紛失リスクや情報漏洩リスクを軽減できる
DaaSではユーザーの行った作業データはクラウド上に保存されます。企業で導入した場合で考えると、従業員が実際に使うデバイスにはデータが残らないことから、デバイスの盗難や紛失によって企業の機密情報が漏洩するリスクを大きく軽減できます。
BCP対策として有効
災害対策やテロ対策・システム障害対策としてもDaaSの活用は有効です。BCPとは企業が緊急事態に遭遇した際、事業資産の損害をできるだけ少なくしつつ、事業の継続や早期回復を可能とするための計画を指します。日本語では事業継続計画と呼ばれます。
DaaSを活用することで災害などの緊急時でも、インターネット環境があればオフィス以外の場所から業務を継続できます。またクラウド環境にバックアップデータが保存されているため、サイバー攻撃などのセキュリティインシデントや大規模なシステム障害が起きた場合にも対応できる可能性があります。
テレワークに対応でき、柔軟な働き方に寄与できる
従業員の自宅にインターネット回線と、インターネット接続が可能なデバイスがあれば、企業の仮想デスクトップへアクセスして業務を行うことが可能です。
デバイスの自由度が高く従業員の満足度が向上する
ユーザーは、PC、タブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスからDaaSにアクセスできます。使い慣れたデバイスで企業のデスクトップを使えるため、利便性が得られるとともに従業員の満足度向上が期待できます。
DaaSとVDIの違い
DaaSとよく比較されるものにVDI(Virtual Desktop Infrastructure)があります。VDIもDaaSと同じく、仮想デスクトップ環境を提供するシステム・技術ですが、いくつかの違いがあります。
最も大きな違いは、DaaSのデスクトップ環境はクラウド上にありますが、VDIは企業が自社のサーバ内に構築するオンプレミス方式であることです。このためVDIはサーバの設置、環境構築や初期設定など初期投資費用がDaaSよりも高くなります。またメンテナンスなど保守運用も自社で行うことが一般的で、ランニングコストもかかります。半面、自社運用のため事業に合わせたカスタマイズが自由にできること、セキュリティ性が高いことがDaaSよりも優れた点といえます。
以上から、仮想デスクトップ環境の構築を考える場合は、自社にとってどちらが適しているのか検討のうえ導入する必要があります。