材料設計を加速させるAIプラットフォーム Citrine Platform

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技術情報コラム

Citrine Platform技術情報コラム第一回

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の実用化を促進:MIプラットフォームCitrine Platform

Citrine Platform技術情報コラム第一回

本記事はCitrine Platform製品紹介セミナー第一回 概要紹介編のダイジェスト版です。

材料開発における課題とMI

近年、材料開発においてマテリアルズ・インフォマティクス、略してMIというワードが良く聞かれます。このMIとは、データサイエンスや機械学習アルゴリズムといった情報科学を活用し、膨大な量の実験や論文データの中から新素材を探索するための手法です。これまで研究者の経験や勘に頼っていた材料検討を、MIによる材料の絞り込みで高速化・効率化し、従来以上の性能改善を求められる新素材開発プロセスを、これまでの数倍~数十倍の速さにまで時間短縮することができる革新的な技術として期待されています。

多様化・複雑化する社会問題の解決に、これまでも大きく貢献してきた材料開発ですが、その開発プロセスにはいくつかの課題もありました。市場から要求される多機能・高性能な先端素材を見出すため、多額の費用や膨大な時間が費やされること、そして材料データは属人的に蓄積され、技術者が退職するとノウハウや技術までも失われることなどが挙げられます。MIは、情報科学の力でこれらの課題を解決し、材料開発に飛躍的な進歩をもたらすものです。世界各国で素材開発競争が激化するなか、材料開発が産業の中で重要な役割を担う日本でも、このMIへの注目度は飛躍的に高まっており、化学、素材メーカーはもちろん、先進の材料を用いた製品開発を進める自動車、重工、電機、精密、医薬などの幅広い業界に、大きなインパクトを与えるとともに、今後の利用拡大と浸透が望まれています。

マテリアルズ・インフォマティクス

Citrine Platformとシーケンシャル・ラーニング

さて、今回はこのMIのプラットフォームである「Citrine Platform」について、その開発元と提唱している探索手法からご紹介いたします。

Citrine Platformの開発元Citrine Informatics社は、材料科学・データサイエンス・ソフトウェア開発の専門家で構成されたアメリカのMI専門企業です。2013年の設立以来10年にわたり、メンバーの専門的な知見や、世界をリードする化学や素材メーカー、学術機関とのパートナーシップから、技術コアである材料開発用の機械学習アルゴリズムおよびMIのプラットフォーム開発を行ってきました。これまでに、北米、欧州、日本企業での利用実績を有しており、200以上におよぶ論文発表や、有望な民間AI企業としての多数の受賞歴もある、世界から認められたMI企業です。

Citrine Informatics社は、材料の探索手法として、シーケンシャル・ラーニングを提唱しています。シーケンシャル・ラーニングの手法では、まず過去の実験データなどから、研究者のドメイン知識を取り入れたAIモデルを作成していきます。AIモデルの構築が完了すれば、候補材料の算出に向け設計空間を設定し、その後候補材料のスコアリングを行っていきます。さらに、選定された候補材料の条件から、次の実験内容を決定し、その内容に基づく価値の高い実験を行います。

シーケンシャル・ラーニングでは、このプロセスを1周で終わらせるのではなく、実験から得られた新しいデータを追加してAIモデルを再構築し、以降のプロセスを繰り返し行います。このサイクルを反復的に行うことで、従来の研究開発手法に比べ、およそ50-70%少ない実験数で目標となる材料特性の達成を目指すことが可能です。

シーケンシャル・ラーニング

Citrine Platformの特長

Citrine Platformは、このシーケンシャル・ラーニングの考え方を反映したSaaS型のMIプラットフォームで、現在クラウドコンピューティングサービスAWS(Amazon Web Service)上で稼働します。
Citrine Platformの特長は、大きく以下の4つで説明できます。

スマートなデータ管理

Citrine Platformは、材料データを、調達から加工、特性評価まで、あらゆる文脈で取り込み、構造化し、保存することが可能です。冗長な実験を避け、関連するデータセットを素早く見つけることができます。

スマートなデータ管理

材料開発に特化したAI

Citrine Platformは材料・化学分野向けに特別に開発されたAIを搭載しており、高性能な材料をより早く見つけることができます。AIモデルは、加工、組成、および合成のデータから材料の性能を予測します。これらのモデルは、目標を達成するために次にどのような実験を行うべきかを提案します。

材料開発に特化したAI

ユーザーインターフェイスとワークフロー

Citrine Platformは、データやAIに直感的にアクセスできるグラフィカルなWebインターフェースと、データエンジニアやデータサイエンティストがワークフローを自動化できる柔軟なPythonクライアントの2種類のインターフェースを備えています。これらのインターフェイスを併用することで、チームは効率的にコラボレーションを行うことができます。

ユーザーインターフェイスとワークフロー

セキュリティ

Citrine Informatics社はISO27001を取得しており、Citrine Platformはデータ、ドメイン知識、およびモデルを安全に保護します。SaaSとして提供され、システムは容易に拡張可能です。

セキュリティ

本記事にてご紹介しましたCitrine Platformの活用により、製品開発を加速化とともに、データドリブンによる材料開発戦略を立て、プロジェクトへの合理的な投資決定を行うことが可能です。また、これらのプロジェクトを通じて得られる知見は、持続的な企業競争力を実現します。

より詳しい情報は、Citrine Platform製品紹介セミナー第一回 概要紹介編にて事例やデモンストレーションを交えてご覧いただけます。
セミナーの見逃し配信をSCSK動画配信サイトで行っておりますので、ぜひこの機会にご視聴下さい。

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