基礎から学ぶマルチクラウドとハイブリッドクラウド
クラウドは現代ビジネスに不可欠となり、マルチクラウドやハイブリッドクラウドなど多様な活用形態が広がっています。しかし、…
クラウドやオンプレミス間を結ぶネットワークにおける「レイテンシ問題」は、システム設計や運用現場で常に頭を悩ませる課題ではないでしょうか。 (「レイテンシ問題」は、実際に現場エンジニアとして日々直面しているテーマです。)
近年では、Amazon Web Services(AWS)とOracle Cloud Infrastructure(OCI)、Microsoft Azure(Azure)など様々なパブリッククラウド組み合わせてシステムの特性に合わせた最適な業務システムを設計したいという声は多いですが、
いざマルチクラウド構成を運用しようとすると、
「通信遅延が原因で、マルチクラウドのメリットを十分に引き出せない」「レスポンス遅延が積み重なり、ユーザー体験や業務スピードに悪影響を及ぼしている」
といった“原因特定や改善が難しい課題”に直面するケースも少なくありません。
こうした課題の改善を支援するのが『SCNX』です。
「実際の現場で効果があるのか?」「レイテンシはどの程度改善されるのか?」といった疑問をお持ちの方に向けて、
今回はSCNXを用いたマルチクラウド接続における通信遅延について検証した結果を公開します。
レイテンシ(遅延)とは、通信や処理の開始から応答が返るまでにかかる時間を意味します。Webシステムはもちろん、金融・製造・AI分析基盤など、リアルタイム処理が求められる分野では特に重要です。
ネットワーク設計の観点からも、レイテンシの差は「システム自体の信頼性」や「業務効率」に直結するため、エンジニアは常に注目すべき指標と言えるでしょう。 本稿では概要の説明にとどめていますが、レイテンシやマルチクラウドの詳細な内容については、別記事にて詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご一読ください。
⇒マルチクラウド利用、エンジニアが知っておくべきレイテンシーとは
SCNXはSCSKの印西データセンター内の物理基盤から、AWS・OCI・Azureといった各クラウドの接続拠点(PoP:Point of Presence)※2までを閉域で直接接続するマルチクラウド接続サービスです。
インターネットを経由しないため、以下のような課題を低減できます。
• 通信経路の揺らぎ(経路変更、障害時迂回)
• ISP混雑による遅延増加
• インターネット経由に伴うセキュリティリスク
また、マルチクラウドやマルチサイト構成にも柔軟に対応しているため、可用性・回復性を確保しながら、用途に応じた最適なネットワークを構築できます。
※1 SCNXサービス紹介に関してはこちらをご参照ください。
⇒SCSKのマルチクラウド接続サービスSCNX|SCSK株式会社
※2 PoPに関してはこちらの記事をご確認ください。
⇒AWS Direct Connectとは?印西キャンパス内PoPで実現する低遅延・高品質なAWS接続
ここからは、SCNXを利用した環境で実際のレイテンシを測定します。まずは、検証環境と測定方法をご紹介します。
<検証環境概要>
① SCSK印西データセンター(オンプレミスサーバ) ⇄ AWS(ap-northeast-1a)
② SCSK印西データセンター(オンプレミスサーバ) ⇄ OCI(AP-TOKYO-1-AD-1)
③ AWS(ap-northeast-1a) ⇄ OCI(AP-TOKYO-1-AD-1)
<検証方法>
各環境に配置したサーバからPingコマンドを用い、相互間のRTT(往復遅延時間、msec)を測定しました。
本検証は、インターネット経由ではなくAWS Direct Connect、OCI Fast Connectといった閉域接続をSCNXのマルチクラウド接続構成を用いて実施しています。
測定対象は、オンプレミス環境から各クラウドへの通信、およびクラウド間通信です。
<検証結果>
① SCSK印西データセンター(オンプレミスサーバ) ⇄ AWS(ap-northeast-1a)
最初に、通信元を印西データセンター内のオンプレミスサーバとし、通信先をAWS東京リージョン内のアベイラビリティゾーン(ap-northeast-1a)に配置されたEC2インスタンスとした際のRTT値を測定しました。
結果は0.66msecでした。
② SCSK印西データセンター(オンプレミスサーバ) ⇄ OCI(AP-TOKYO-1-AD-1)
次は、通信元は印西データセンター内のオンプレミスサーバのまま、通信先をOCI東京リージョンのアベイラビリティ・ドメイン1
(AP-TOKYO-1-AD-1)に配置された仮想マシンとして測定しました。
結果は0.54msecでした。
③ AWS(ap-northeast-1a) ⇄ OCI(AP-TOKYO-1-AD-1)
最後に、通信元をAWS、通信先をOCIとして測定しました。
結果は0.91msecでした。
今回は、各ポイントにおいて Ping による RTTを測定しました。参考値として、都内某所からインターネット経由で AWS(ap-northeast-1)へ
Ping を実施したところ、結果は54msecでした。
この値と比較しても、今回の計測結果が非常に高速であることが確認できます。
検証結果の通り、SCNXではクラウドへの通信・クラウド間通信ともに、非常に低遅延で接続することが可能です。
AWSやOCI 、Azureといった複数のクラウドを組み合わせることで、用途に応じて柔軟に業務システムを設計することができ、
通信遅延による影響を抑えながら、業務処理の高速化や安定したシステム運用を実現します。
多様化するクラウド環境を最大限に活用する選択肢の一つとして、SCNXをご活用いただければ幸いです。