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マルチクラウド利用、エンジニアが知っておくべきレイテンシーとは

マルチクラウド利用、エンジニアが知っておくべきレイテンシーとは

近年、複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」の利用が拡大しています。マルチクラウドをいち早く活用しているユーザーからは「マルチクラウドの課題は、クラウド間の通信遅延(レイテンシー)」という話も聞かれるようになりました。本コラムでは、マルチクラウド環境におけるレイテンシーの原因を解説し、その解決策となるソリューションについて説明します。

1.マルチクラウドとは

Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure (Azure)、Oracle Cloud (OCI)、Google Cloudといったクラウドプロバイダーのサービスを組み合わせ、それぞれの強みを最大限に組み合わせたクラウド環境を利用する考え方です。

メリットは特定のクラウドプロバイダーに縛られることなく、要件に適しクラウドサービスを自由に選択できる点にあります。例えば、フロントエンドには多様なサービスが揃うAWS、バックエンドにはコストパフォーマンスに優れるOCIと用途に応じてクラウドサービス使い分けることで、効率的かつ高品質なシステム運用を実現できます。

2.通信遅延(レイテンシー)とは

ネットワーク通信における指標のひとつでデータ転送処理に要する遅延を指し、この遅延が大きいことをレイテンシーが高い、小さいことをレイテンシーが低いと表現します。

通信遅延(レイテンシー)は、システムパフォーマンスに大きな影響を与えます。例えば、パフォーマンス低下が問題になっているシステムで処理能力を上げるためのサーバーのリソース増強を行っても、ネットワークの通信遅延がボトルネックとなっている場合、パフォーマンスの改善には繋がりません。

マルチクラウドをいち早く活用しているユーザーから「マルチクラウドの課題は、クラウド間の通信遅延(レイテンシー)」という話も聞かれるようになったのも、クラウドサービス間のネットワークを起因とした通信遅延(レイテンシー)により、システムパフォーマンス低下につながってしまっているためです。

マルチクラウドを最大限に活かすためには、この課題を解決する必要があります。
次章では通信遅延(レイテンシー)の原因と、その対策を解説します。

3.通信遅延(レイテンシー)の原因

なぜクラウド間ネットワークで通信遅延がおきるのでしょうか?
そのメカニズムを理解するため、従来のオンプレミスやシングルクラウドと、マルチクラウドとのネットワーク構成の違いを比較してみましょう。

オンプレミス/シングルクラウドとマルチクラウド、ネットワーク構成の違い


オンプレミス/シングルクラウド
マルチクラウド
リソース配置
同一拠点またはサーバーファーム
各クラウドのサーバーファーム
ネットワーク距離
短い
長い
ネットワーク経路
シンプル
複雑
経由機器
少ない
多い

オンプレミス/シングルクラウド

基本的にオンプレミスは、サーバーやネットワーク機器などのリソースは全て自社内、または同一データセンター内に設置し、またシングルクラウドは同一リージョン内のサーバーファームにリソースを集約します。そのため、ネットワークの物理的な距離は短く、経路はシンプルに、経由する機器の数も少なくなっています。

マルチクラウド

一方、マルチクラウドでは、システムを構成するリソースを複数のクラウドプロバイダーに分散配置します。たとえばフロントエンドはAWS、バックエンドはOCIという構成です。この構成例ではフロントエンドとバックエンド間の通信は物理的に離れているクラウド間で通信する必要があります、そのためネットワークの物理的な距離は長く、経路は複雑に、経由する機器の数も多くなっています。

一般的なマルチクラウド接続構成

この「距離」と「経路」、「機器数」が、通信遅延(レイテンシー)に大きく影響します。マルチクラウドを構成する各クラウド提供設備間の物理的な距離が遠くなるほど、経路は複雑に、経由する機器数も多くなり、結果として通信が遅延します。

このようにマルチクラウドのネットワーク構成が、通信遅延(レイテンシー)を生み出す原因となっています。
次章では、この通信遅延(レイテンシー)を解消するための具体的なソリューションについて解説します。

4.低レイテンシー マルチクラウド接続ソリューション

ここまで、マルチクラウド環境におけるレイテンシーとその原因について説明してきました。
これを解決するソリューションとして低レイテンシー マルチクラウド接続サービス SCSK Cloud netXchange(SCNX)をご紹介します。

SCNXは、印西データセンターキャンパス構内に東日本で唯一存在する3大手クラウドサービスプロバイダーの接続点(AWS Direct Connect、Azure ExpressRoute、Oracle Cloud Infrastructure FastConnect へ繋がる最短のパス)を持ち、各接続点をダイレクトコネクト(構内接続)し、ネットワークサービス(NaaS)として提供しています。

各クラウド間接続を構内接続していることから、ネットワークを物理的に短く、経路をシンプルに、経由する機器を最小限に抑えることができ、マルチクラウド間の通信遅延(レイテンシー)を大幅に低く抑える事ができます。

SCNXマルチクラウド接続構成

AWSとOCIの仮想マシン間のPingによる応答速度は、他社ネットワークサービスが「4.7ms」に対し、各クラウド接続点を構内接続しているSCNXは「0.6ms」と、圧倒的に速い応答時間を実現しています。

SCNX
他社サービス
Ping (RTT)
0.6ms
4.7ms

またSCNXには低レイテンシー以外にも、次のマルチクラウド活用に適したメリットがあります。

サービス
SIerの提案力
導入コンサルティングから設定、運用までサポート
柔軟性の高いメニュー
ニーズにフィットする接続方式・帯域幅を柔軟に提供
優れた拡張性
様々なクラウドプロバイダーやオンプレミス環境との接続に対応
コスト削減
接続先クラウド追加時、回線、機器、設備等の追加コスト不要
セキュリティと可用性
閉域接続でセキュリティを確保、冗長設備で高可用性を実現
運用効率化
NaaS提供から、フルマネージド運用サービス提供まで対応

5.まとめ:マルチクラウドの可能性を最大限に引き出すために

マルチクラウドは、特定のクラウドプロバイダーに縛られることなく、各プロバイダーのサービスを自由に選択でき、目的に合った最適な環境を構築できます。また複数クラウドプロバイダーを使える環境にしておくことで特定クラウドへの依存によるクラウドロックインのリスクを軽減し、長期的に安心してクラウドサービスを利用できるメリットもあります。

しかしながら、マルチクラウドではクラウドサービス間ネットワークの通信遅延(レイテンシー)により、システムパフォーマンスの低下を招く可能性があるという課題も存在します。

SCSKではその問題を解決する低レイテンシー マルチクラウド接続サービス SCNXを提供しています。

SCNXは大手クラウドサービス接続点と構内配線で直接接続できるため、マルチクラウド間のネットワーク距離を短く、経路はシンプルに、経由する機器の数も最小の低レイテンシー マルチクラウド接続サービスです。

SCNXにより、マルチクラウド環境における課題を根本的に解決し、マルチクラウドのメリットを最大限に引き出すことが可能になります。

SCSKはマルチクラウド接続の
実績と知見が豊富です。
お気軽にご相談ください。

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