netXDCコラム

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マルチクラウドのパフォーマンスを最大化するには?低遅延ネットワークの重要性

マルチクラウドのパフォーマンスを最大化するには?低遅延ネットワークの重要性

クラウド利用が拡大し、複数クラウドの優れた点を組み合わせたマルチクラウド環境が主流となりつつあります。しかし、実際に使ってみるとネットワーク遅延がクラウド間のデータ連携の課題となることも。 本コラムでは、この課題を解決する「低遅延ネットワーク」に焦点を当て、専用線接続による高速化メリットを解説します。 またSCNXによるAWSとOCI間の応答時間「0.6ms(当社調べ)」の低遅延クラウド間接続事例も紹介、低遅延ネットワーク接続の重要性とメリットについて解説します。

1.マルチクラウドにおけるクラウド間ネットワークの重要性

クラウドサービスは基幹業務システム、ストレージ、ファイルサーバ、WEB会議システム、生成AIなど、ビジネスの根幹を支える重要なインフラとなっており、複数のクラウドサービスを連携させるマルチクラウド、オンプレミスとクラウドサービスを組み合わせたハイブリッドクラウドと活用範囲は日々拡大しています。

各クラウドサービスの特長は、AWSはIaaSからSaaSまで幅広いサービスを提供しくAzureはマイクロソフト製品との親和性が高く、Oracle Cloudはデータベース処理に優れているなど様々です。こうした各クラウドサービスの強みを組み合わせて活かすマルチクラウド構成が、今後のシステム戦略において重要な選択肢となっていくことが予想されます。

しかしながら、マルチクラウド環境ではシステムが様々なクラウド上に分散配置されることから、クラウドサービス間でのデータ連携が必要となり、異なるクラウドサービス間のスムーズなデータ連携がシステムのパフォーマンスに影響を及ぼします。

この阻害要因となるネットワーク遅延は、マルチクラウドにおいて解決すべき重要な課題となります。

2.ネットワーク遅延が発生する要因

ネットワークは主に以下の要因で遅延が生じます。

- 各ネットワークの混雑状況
- 物理的な通信経路の距離
- セキュリティ確保のための暗号化・復号処理

インターネット通信では、これらの要因に加え様々なISPを経由するため安定したネットワーク帯域を確保ができず、また通信経路が最適化されないこと、セキュリティ確保のためのIPsec VPNなどでの暗号化/復号化処理なども遅延要因となることがあります。

そこで重要となるのが、クラウドサービス間の低遅延ネットワーク通信(Low Latency Network)です。

3.低遅延ネットワーク通信を実現する専用線接続

マルチクラウド環境で従来のオンプレミス環境と同等のシステムを校正するには低遅延ネットワーク通信が不可欠ですが、クラウド間をインターネット回線で接続した場合には前章で記載した要因からネットワーク遅延が発生しやすくなります。

そこで専用のプライベートネットワーク(専用線)で直接接続することによりネットワーク遅延を最小限に抑え、安定した通信を実現するのが専用線接続サービスです。

4.マルチクラウドにおける低遅延接続の実現

専用線でクラウドに接続するためには、クラウドサービスの接続拠点(PoP:Point of Presence)への接続が必要です。

一般的には通信キャリアが提供する接続サービス(事業者サービス)を利用しクラウド接続する方法が主流ですが、この方式でマルチクラウドを構成する場合、クラウド事業者ごとに個別に専用線を敷設する必要があるため、コストが増大し構成が複雑化します。

また、クラウドサービスの接続拠点やサーバファームが所在するデータセンターが地理的に離れている場合、長距離通信による遅延が増加し、ネットワーク障害発生時の迅速な復旧や構成変更時の柔軟な対応にも制約が生じることがあります。

事業者サービスによるマルチクラウド構成

上記のような事業者サービスではパブリッククラウドの接続拠点への長距離通信による遅延増加やトラフィックのルーティングなどを起因としたパフォーマンス懸念が懸念されます。
一例として、当社で実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)では事業者サービスによるマルチクラウド構成の場合、AWSとOracle Cloud間の応答速度は、AWSの別リージョン間通信(1.98ms)と比較し約2.4倍の4.7msの応答時間が必要となりました。

一般的なマルチクラウド接続

SCNXによるマルチクラウド構成

SCSKは、AWS、Azure、Oracle Cloudなど主要なパブリッククラウドの接続拠点を印西キャンパスに集約しています。 SCNXは印西キャンパス内のクラウドサービス接続拠点間集約を生かし、クラウドサービス間を構内接続(クロスコネクト)した専用線サービスを実現しているため、通信距離に関する課題は発生しません。

またSCNXはNaaS(Network as a Service)のため、SCSKのデータセンターサービス利用が無くても使えます。

東日本のクラウド接続拠点一覧

SCNXの特長として主要パブリッククラウド間の通信を印西キャンパス構内で最短距離/最小経路で折り返し通信できるため、通信遅延を最小限に抑えることができるため、事業者サービスと比較し飛躍的に低い遅延値(レイテンシ)を実現します。

東日本のクラウド接続拠点一覧

当社実施のPoCにおいて、SCNXを使ったAWSとOracle Cloudの接続では、応答時間「0.6ms」と非常に低い遅延値(レイテンシ)を実現し、先に記載した事業者サービスによるマルチクラウド構成時の応答時間と比較して約7倍の高速化に成功しています。

SCNXはこの超低遅延接続を生かして基幹システム連携やリアルタイムデータ分析、重要な業務アプリケーション間の連携など、システム間の応答時間が業務効率やユーザー体験を左右する重要なワークロードにおいて大きな優位性を発揮いたします。

5.まとめ

クラウド間のネットワーク遅延は、データ転送速度やアプリケーションの応答時間に影響を及ぼし、マルチクラウド環境のパフォーマンスを大きく左右します。 まずは自社ネットワークの現状を把握し、もしクラウド間のネットワーク遅延が原因であれば、低遅延ネットワークソリューションの導入を検討してみませんか。

その際には、マルチクラウドのパフォーマンスを最大限に引き出すマルチクラウド接続サービス「SCNX」を、ぜひ活用ください。

SCSKはマルチクラウド接続構築・導入の
実績と知見が豊富です。
お気軽にご相談ください。

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