生協事業を支える仮想化基盤を全面リニューアル シンプルかつ高信頼な環境をHPE SimpliVityで実現
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畜産および水産用飼料の製造・販売や鶏卵および関連商品の生産・販売を手がける日本農産工業株式会社(以下、日本農産工業)。同社では、主要な業務システム群を VMware vSphereによる全社仮想化基盤に集約していたが、仮想サーバーの増加がインフラのリソースを逼迫。事業環境の変化や新たなユーザーニーズへの即応も困難になっていた。 そこで今回、SCSKが提案したハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)製品 「Dell EMC VxRail P570F」を新たに導入。3Tier構成の既存システムを置き換えることで、高い性能・信頼性と柔軟なスケーラビリティを備えた、先進的なインフラ環境を確立している。
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そして同社の事業活動をしっかりと下支えしているのが、情報戦略の司令塔役を担う情報システム部だ。
同部門の部長を務める多田幸令氏は「安定性・信頼性やセキュリティの確保などはもちろんのこと、今後のビジネスにおいてはデジタル・トランスフォーメーション(DX)への対応も非常に重要なポイントでした。これからの時代にふさわしい業務環境を実現すべく、我々情シス部門でもさまざまな検討を進めてきました」と語る。
さて同社では、これまで全社仮想化基盤を3Tier構成のシステムで構築・運用してきた。しかし、仮想サーバーの台数や業務データの容量が年々増加し、次第にインフラのリソースを逼迫するようになってきたのである。さらに、ストレージの増設は都度外部のベンダーに依頼しなくてはならず、 タイムリーな対応が行えなかったという。
この点について情報システム部 次長の星野仁郎氏は「当社では、10 年以上前からVMware vSphere による仮想統合を行っていますが、従来の環境では専門的な知識が求められるストレージの増設や拡張を自社主導で進められなかったため、新たな業務ニーズにも即応できませんでした。そこで、より高い性能・信頼性や拡張性を備えかつ、スピード感をもったインフラを作り上げたいと考えたのです」と説明する。
これらの要件を満たせる製品として日本農産工業が採用したのが、SCSKが提案したHCI製品「Dell EMC VxRail」(以下、VxRail)であった。
VxRailは、VMwareが直接開発に参画している唯一のHCI製品であり、VMware vSphereと非常に親和性が高い。よって、同社がこれまでに培ってきたVMware vSphereによる運用ノウハウを最大限に活かすことができる。
「日ごろから使い慣れているVMware vCenterだけで運用管理が行えるのは、我々にとって非常に魅力的でした。また、ハードウェア/ソフトウェアのサポートが一体で提供されるため、障害時の原因究明や切り分けなどに苦労させられる心配がないのもありがたいですね。さらに、SCSKが提案してくれたオールフラッシュ構成なら、高いIO性能が得られるとともに、インライン圧縮・重複排除機能も利用できるため、限られたリソースを有効活用できます。他社HCI製品との比較・検討も行いましたが、こうしたメリットを考えると、VxRailの方が総合的に優れていると判断しました」(星野氏)
具体的なシステム構成は、ハイパフォーマンスモデルの「Dell EMC VxRail P570F」×5ノードを採用。ストレージは提案通りオールフラッシュ構成とした。
旧サーバからの移行に際しては、SCSKはバックアップ&リカバリツール「Veeam Backup & Replication」を活用するとともに、豊富な経験を通じて培ってきたノウハウと技術力により、短期の環境構築を実現している。
「VxRailでは設定項目が少なかったことも、予定通りにプロジェクトを進められた要因だと考えています」(星野氏)
日本農産工業の新たな全社仮想化基盤は、2020年6月より本番稼働を開始した。VxRailを核とする新仮想化基盤の導入メリットが本格的に表れるのはこれからだが、現時点でも、すでにさまざまな改善効果が表れているという。
「まずは、インライン圧縮・重複排除機能によるデータ容量の削減効果です。本番稼働開始からまだ、それほど時間が経過していませんが、すでに30%以上のデータ削減が実現しました。リソース不足の心配をしなくて済むようになったのは、非常にありがたいですね」(星野氏)
インフラの性能・信頼性も、以前に比べて大幅に向上している。
「バックアップ時間の短縮など、かなり速くなったと実感しています。また、以前はディスク障害などへの対応にしばしば煩わされていましたが、オールフラッシュ化により、こうした手間も軽減できると考えています。
さらに、VxRailではリモート監視サービス『SRS(Secure Remote Support)』も行われるので、安心感がより高まっていますね」(星野氏)
コスト削減効果も存分に発揮している。多田氏は「旧環境の構築時と比較して、初期導入コストは約30%削減しました。性能や容量を強化しつつ、コストも減らせているので、これは非常に大きなメリットです。ラックスペースも以前の28Uから12Uと半分以下に減り、データセンター費用の削減にも貢献しています」と満足げに語る。
VxRailの優れた運用管理性も、業務の効率化に大きく貢献している。VMware vCenterによる一元管理が可能になったことに加え、ストレージのLUNを意識した仮想マシンの配置・容量バランス等の運用で苦労することもない。
「さらに便利なのが、VMware vSphereのバージョンアップまでリモートで行ってもらえる点です。これを従来の環境でやるとなると、ベンダーへの作業見積から稟議の取得、作業計画の調整等も含めて、少なくとも1~2か月は必要でした。これが今回、実際に実施してみたところ、保守へのサービスリクエストからわずか1週間程度で完了。
しかも直接手を動かした期間は2日ほどで、実質的な作業時間も6時間位でした。これなら気軽に今後もバージョンアップを行えます」(星野氏)
今後、日本農産工業ではVxRailと外部クラウドを組み合わせたハイブリッド・クラウド環境の導入も検討していく方針だ。多田氏は 「社内で利用する業務システムについては、今のところオンプレミスでの運用を基本としています。しかし、クラウドにはクラウドの良さがありますし、今後はスピードの速さも一段と求められます。オンプレミス/クラウドの別を問わず、最適なインフラ環境をユーザーに提供できるようにしていきたいですね。SCSKには、我々の取り組みをしっかりと支えてもらえることを期待しています」と展望を語ってくれた。