【ビッグローブ様】従量課金型モデルへ移行し、最新基盤のストレージ料金と運用コストを大幅削減! -INFINIDAT社 ユニファイド・ストレージ「InfiniBox」-
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コープデリ生活協同組合連合会(以下、コープデリ連合会)では、各種の生協事業を支える仮想化基盤の再構築を実施した。旧環境における様々な課題を解消すると同時に、今後の成長をしっかりと支えられる先進的で柔軟なITインフラを実現するのが狙いだ。
その中核を担う製品として、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)である「HPE SimpliVity 380 Gen10」を新たに採用。
インフラの性能強化やバックアップ業務の改善、ITコスト削減など、数多くのメリットを実現している。
目次
関東信越1都7県の7生活協同組合で構成されるコープデリグループでは、「ともに はぐくむ くらしと未来」の理念の下、宅配事業や店舗事業、福祉事業、共済・保険事業、チケット事業、住宅関連事業など多彩なサービスを提供している。
中でも事業活動の幹である"食を中心とした事業"では、おいしさや安全・安心、利用しやすい価格を追求。組合員一人ひとりの暮らしに生涯にわたり貢献することを目指している。
その同グループの一員として、商品・システム・物流・経理・人事教育などの共通基盤整備を担うのがコープデリ連合会だ。
同連合会 情報システム システムサービス部 部長・インフラ課長(兼任) 風間 純 氏は、情報戦略に関わる取り組みについて「かつては各会員生協がそれぞれ個別の情報システムを保有していましたが、インフラ環境の全体最適化やコスト削減を図るべく統合を実施。現在は、当連合会が各種業務システムの構築・運用を一手に引き受け、共同利用を行う形にしています」と語る。
コープデリ生活協同組合連合会 |
また、こうして標準化を進める一方で、各会員生協固有のニーズについても、できるだけ対応するよう心掛けているとのことだ。
そして今回、同連合会では、宅配や店舗、チケット、住宅などのサービスを支える仮想化基盤の再構築に着手した。
風間氏はこの仮想化基盤の概要を「我々が預かっている情報システムの中には、基幹業務システムの機能をサポートする様々なサブシステム群も存在します。事業領域が非常に幅広いだけに、このサーバー台数が非常に多い。とはいえ、個々のサブシステム自体はそれほど性能を必要としないものも少なくないので、十年ほど前から仮想化基盤への集約を進めてきました」と説明する。
旧仮想化基盤はその二世代目となるが、最近では様々な課題も目に付くようになっていたとのこと。
同連合会 情報システム システムサービス部 インフラ課 企画担当 高原 徹氏は「特に大きな問題になっていたのがバックアップです。直近ではサーバー台数が100台を超えていたため、規定のバックアップウィンドウ内に処理が終わらないおそれが出てきました。もし大容量の仮想サーバーが作成されると、バックアップ時間がさらに延びてしまいますので、新規サーバーの立ち上げなども制限せざるを得ない状況でした」と振り返る。
加えて、テープ装置を利用していたため、テープ交換作業などのためにデータセンターへ赴く必要がある点も課題となっていた。
コープデリ生活協同組合連合会 |
こうした課題を解消すべく、同連合会では新仮想化基盤の構築に向けた検討を開始。
ここで掲げられた具体的な要件としては、
【運用を大きく変えることなく、既存のVMware vSphere環境をスムーズに新仮想化基盤に移行できること】
【十分なストレージI/O性能を確保できること】
【バックアップ業務の改善】
【ITコスト削減】
などの点が挙げられる。
さらに、もう一つ注目されるのが、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品の採用を目指した点だ。
高原氏はHCIに着目した理由を「これまで当連合会では、個別のサーバーやストレージを組み合わせて仮想化基盤を構築してきました。しかし、この方法だと、障害やトラブルが発生した際の原因切り分けなどで困らされるケースが多いのですね。その点、垂直統合型のHCIなら、ハードウェア環境をシンプルにできますし、サポートも一本化できます」と語る。
また、同連合会では、年度単位でIT予算を組んでいるため、スモールスタートで段階的にシステムを拡張できる点も魅力的だったという。
同連合会では複数のHCI製品を候補に挙げ、綿密な比較・検討を実施。
その結果、新仮想化基盤に導入されたのが、クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル Xeon スケーラブル・プロセッサー搭載「HPE Simplivity 380 Gen10」(以下、「SimpliVity」)である。
高原氏はその理由を以下のように語る。「HCI製品を採用するにあたり、一番の懸念事項だったのが、要件にも掲げたストレージI/O性能です。旧環境では通常の物理ストレージを利用していましたので、仮想ストレージでもこれと同等以上の性能が得られるかどうか若干不安に感じていました。そこで、ITパートナーのSCSKの協力を得てPoC(概念実証)を実施してみたところ、『SimpliVity』は旧物理ストレージの約5倍ものI/O処理能力があることが判明。しかも、『SimpliVity』はワークロードの種類によらず常に安定的なパフォーマンスが確保できました。これなら十分に新仮想化基盤に適用できるとの確信が持てましたね」
なお、この時のPoCでは、I/O性能測定ツールを仮想化基盤上のサーバーに導入した上で、DB/Web/ファイルサーバーなど、複数の利用パターンを想定した測定を実施している。
こうした実環境に近い状態でも、常に高い性能が発揮できることが立証されたのだ。
大きな課題であったバックアップ改善の面でも、「SimpliVity」は大きなアドバンテージを有していた。
「『SimpliVity』は本格的なバックアップソフトを標準で搭載していますので、わざわざ別にバックアップサーバーを立てたりする必要がありません。その設定や操作についても使い慣れた『VMware vCenter』から一元的に行えますし、バックアップ自体のスピードも非常に速い。この点も採用の大きな決め手になりました」と高原氏は語る。
ちなみに、先に触れたPoCでは、ストレージのI/O性能だけでなく、バックアップに関する検証も実施されている。
SCSKの永井 悟史は「カタログには美辞麗句が並んでいても、実際に動かしてみるとその通りに性能が出ない製品も中には存在します。特に今回は『バックアップ時間を従来の1/10以下に短縮する』という高い目標を掲げられていたこともあり、当社ラボに設置した検証機を利用して、実際にバックアップ処理を走らせてみました。その結果も非常に良好で、お客様の期待に応えられることが確認できました」と語る。
SCSK株式会社 |
元々、同連合会では、HCIの有用性に早くから関心を抱いていた。しかし、製品の機能や性能、信頼性・可用性にまだまだ不足を感じ、これまでは採用を見送っていたのだという。しかし、全ての要素を高いレベルで兼ね備えたSimpliVityが登場したことで、ようやく「満を持してのHCI導入」(永井)が実現したのである。
もっとも、実際の環境構築を進めていく上では、その他にも解決すべき点があった。
SCSKの西口 朝貴は「今回のプロジェクトでは、VMware vSphereの最新バージョンへのアップデートも行う必要がありました。しかし、旧環境のバージョンから1回でアップデートを行うことができず、どうしても二段階アップデートを行わざるを得ない。その移行をどう円滑に実施するか、かなり頭を悩ませることになりました」と明かす。
SCSKでは様々手法を検討した結果、最終的には旧環境と新環境の間に中間サーバーを1台立ち上げ、そこを経由して玉突き的に「Storage vMotion」で仮想サーバーを動かす方法を選択。
「『SimpliVity』だからこそ、このような移行方法が取れました。他の製品だと、もっと苦労させられたでしょうね」と西口は続ける。
SCSK株式会社 |
こうしたSCSKの支援の甲斐もあり、「SimpliVity」による新仮想化基盤は2018年6月より無事本番稼働を開始。
ここでは、「HPE SimpliVity 380 Gen10」×5ノードに加えて、「HPE ProLiant DL360 Gen10」もHCIコンピュートノードとして追加されている。
「コンピュートノードはvSphere HA用のノードとして利用していますが、このように比較的安価な汎用サーバーを組み合わせて利用できるのは大変便利ですね。おかげでコストをできるだけ抑えつつ、システムの信頼性・可用性を高めることができました」と高原氏は語る。
SimpliVityを導入したことで、同連合会の業務にも様々な改善効果が生まれている。
まず一点目は、バックアップ時間を劇的に短縮できた点だ。
「当連合会では午前1時~4時の3時間をバックアップに充てていますが、以前はこの時間帯を一杯に使って処理を行っていました。しかし現在では、同じ作業をジョブ開始からわずか1分以内に完了できます。テープ交換などの手間も不要になりましたので、バックアップに関する課題は完全に解消できました」と高原氏は力強く語る。
ちなみに従来の運用では、約100台のサーバーを6つのグループに分けて毎日順番にバックアップを実施していた。旧環境の運用をできるだけ変えたくないという理由から、既存サーバーについては現在も引き続きこのやり方を継続している。
しかし3時間掛かっていた処理が1分以内に短縮できたため、バックアップ能力にはかなりの余裕が生まれている。
「そこで、これから構築する新規システムについては、より効率的な処理が行えるよう運用を見直していきたい」と高原氏は続ける。
また、もう一つ大きいのが、システムリソースの有効活用やコスト削減への貢献だ。
「SimpliVity」の圧縮・重複排除機能を活用することで、データ容量を約1/4に削減することに成功。
「半分くらいに減ればいいなとは思っていましたが、実際にこれほどの効果があるとは我々の予想以上でしたね」と高原氏は語る。
また、ハードウェアの設置スペースについても、従来のラック3本から1本へと1/3に減少。
これに伴い、データセンターへの設置費用や電気費用も大幅に削減することができた。
物理サーバーの台数も以前の10台から「SimpliVity」×5ノードへと半減しているため、ノード数単位で課金されるソフトウェアライセンス費用なども減っているという。
今回のプロジェクトを支援したSCSKでも、「SimpliVity」の性能・機能や信頼性に大きな手応えを感じている。
SCSKの大木 一也は「システムインテグレーションを担当する立場としても、非常に扱いやすい優れた製品だと感じました。特に、仮想ストレージでもこれだけの性能が確保できるのなら、今回のようなサブシステム向け仮想化基盤だけでなく、本丸の基幹業務システム分野でも十分にその力を発揮できます。今後はコープデリ連合会様はもちろん、他のお客様に対しても今回培った経験・ノウハウを活かした提案を行っていきたいですね」と語る。
SCSK株式会社 |
同連合会でも、今回構築したインフラを事業の成長にしっかりと役立てていく考えだ。
風間氏は今後の展望を「冒頭にもお話した通り、従来は旧仮想化基盤側の制限から、なかなかユーザーの要望に応えきれない面がありました。しかし、『SimpliVity』の導入によってこうした問題もクリアできましたので、新たなビジネス/サービスの創出を目指す取り組みにも寄与していきたい。現在は今後に向けた計画を練っているところですが、HPEとSCSKにも、ぜひ将来を見据えた提案を期待したいですね」と述べた。