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3時間がわずか15秒に!RPAで毎月の保守更新業務の効率化に成功


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導入企業も増加し、さらに盛り上がりを見せるRPA(Robotic Process Automation)。
今回は、毎月の定型業務をRPAで効率化した部署にインタビューを行いました。本記事ではRPAの導入効果だけでなく、苦労したポイントなど、導入の裏側もご紹介いたします。


SCSK株式会社
中部プラットフォーム事業本部
課長 山田 正行
(RPA導入プロジェクト責任者)

SCSK株式会社
中部プラットフォーム事業本部
奥村 彩
(RPA導入プロジェクト企画・実行担当者)

ライセンス保守更新業務をRPAで効率化

中部プラットフォーム事業本部は、中部地域における製造業向けのデザイン、設計、解析、生産技術などに関するソフトウェアの販売、関連サービスの提供、それを支える基盤構築(インフラ)すべてをワンストップで対応している重要な拠点です。同本部は、お客様に提供しているソフトウェアの保守更新業務にRPAを活用しています。

「メーカーから、ライセンス更新日の3ヶ月前に、契約詳細(利用企業や利用期間、ライセンス数など)が記載されたPDFがメールで届きます。そのPDFと、自社の保守管理システムを照らし合わせ、契約更新業務を行っています。この作業の一部を、RPAで自動化しました。
まれにPDFの記載内容と保守管理システムの内容に差異があるため、記載漏れがないか確認してから見積書を作成し、お客様に更新をご案内しています。
今まで目視でチェックしていたPDFと保守管理システムの照合作業を、RPAで自動化しています。」(奥村)

万が一、更新内容通知が実際と異なっていたり、更新案内のタイミングが遅れたりすると、お客様がソフトウェアを利用できなくなってしまいます。更新の多い時期は通常期の何倍もの作業量になりますが、ミスのないよう丁寧に作業を行うため、一回あたり3時間ほど要していたそうです。

抱えていた業務上の課題

中部プラットフォーム事業本部では、2016年度から組織として事務作業の効率化、業務の平準化に取り組んでいます。具体的には、業務プロセスの見える化、認識の共通化、標準化、業務伝達の効率化などです。

「業務は増えていますが、簡単には要員を増やせません。特に営業アシスタント業務は、経験豊富な社員も多いため、増員したとしても、新しいメンバーが同じように業務をこなすことは簡単ではありません。アシスタントメンバーの負担が日に日に大きくなっており、何とか改善したいと考えていました。」(山田)

この状況を打開する施策の一つとして、ソフトウェア製品の保守更新業務の自動化に着手。現場の意見を取りまとめ、業務効率化の実現手段を検討する中で、“RPAで業務を自動化する”ことを思いついたといいます。当初予算外のプロジェクトでしたが、RPA活用によって得られる効果が評価され、自動化プロジェクトがスタートしました。

RPAの活用が決定。ツール選定時に重視したこと

中部プラットフォーム事業本部は、“スモールスタート”と“管理のしやすさ”を重視し、クライアント型のRPAツールから選定しました。

「クライアント型のRPAツールはソフトウェアロボットを社員のPCで動かせるため、スモールスタートが可能で、稼動後のロボットの管理も容易です。今回のように営業現場主導で進める自動化に適していました。」(山田)

複数の製品を調査し、最終的に国産RPAツールの「WinActor(ウィンアクター)」を採用しています。「WinActor」はクライアント型のRPAツールで、重視する2つのポイントをクリアしているだけでなく、安価に始められることも決め手となりました。また、「WinActor」はSCSKグループ内での開発実績があり、サポート体制が整っていたことも魅力だったといいます。

3時間の業務が15秒に!完成したロボットの実力と効果

ソフトウェアロボットのシナリオ作成に必要な業務フロー図や、システム操作画面の動画を開発者に提出し、開発スタート。業務フロー図や操作動画だけでは分からないシステムの概要や、操作の意図、操作の判断基準などは、開発担当者と対面で打ち合わせを行い、人の操作とロボットの動作を擦り合わせながらシナリオの精度を上げていきました

プロジェクトスタートから約2ヶ月、初めてのRPAプロジェクトが完了。最終的に2つのソフトウェアロボットが完成しました。

動かしてみて感じたのは、思ったよりも動きが速いということでした。周りの人たちも、その速さに驚いています。特に効果があったのが、自社の保守管理システムとメーカーから送付されるライセンス更新情報データの突合せ作業です。およそ3時間かかっていた作業が、15秒で終わるようになりました。」(奥村)

「ロボットが行った処理の結果を確認し、問題がなければ次の作業に着手できます。実際にはロボットの作業にミスがないので、作業が楽になり、業務時間も短くなりました。」(奥村)

「ロボットを動かすことは、誰でもできます。奥村さんが休みの時でも作業を実施できるので、属人化の解消にも繋がりました。このようなツールを活用することによって、部下の負担を減らせるような環境づくりをしていきたいと考えています。」(山田)

RPAプロジェクトの注意点

実は、自動化シナリオの作成は簡単なことばかりではなかったといいます。

RPAの仕組み上、工夫が必要なことがありました。例えば、PDFの読み込みです。PDFによっては、記載されている文字を正確に読み込むのが難しく、Excelに一度テキストで書き出し、そのExcelデータを読み込むことで解消しました。最初はなぜロボットの動きに制約が出るのか分からなかったので、何度も頭を捻る場面がありました。」(奥村)

「どのツールにもいえることですが、そのツールの仕組みを理解していないと、適した対応を取ることが難しいです。RPAは簡単であることに間違いありませんが、使いこなすには知識が必要です。不足する部分は、SCSKグループの技術サポートに頼りました」(山田)

対象のシステムや業務フローを把握することはもちろん重要ですが、各ツールの特徴を正しく理解し、時にはツールに合わせて操作を工夫しながらロボットの動作シナリオに落とし込むことも、RPAプロジェクト成功の重要なポイントといえます。

活用が広がるRPA

今回の成果を事業本部内で発表したところ、さまざまな部署から反響があり、特に定型業務の多いメンバーにはRPAの効果が大変魅力的に映ったとのこと。 “RPAで皆が楽になることはないか?”と現場メンバーが知恵を出し合い、新たなRPA化プロジェクトが立ち上がりました。自動化対象業務の選定は、最初のRPA化プロジェクトで知見を持つ奥村が、ソフトウェアロボットのシナリオ作成には事業本部内の技術者が協力し、まさに現場による自発的な業務改善が行われています。

「RPAは導入に至るまでは大変ですが、実際に使うと作業時間を短縮でき、間違いも減らせるので、業務が楽になります。」(奥村)

「奥村さんは大変だったと思いますが、思った通りの効果を出すことができ、頑張った甲斐がありました。RPAの良いところは、自動化の企画から実現まで現場で完結できるところです。RPAをきっかけに、各自がさらに前向きに業務改善に取り組むようになったと感じています。マネージャーの立場としては、当社の中長期計画である『業務品質の追求』『業務効率の向上』『人材育成』に貢献でき、非常に良かったと考えています。」(山田)

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★今回の導入事例のPDFは、こちらのフォームからダウンロードできます。

SCSKのWinActor®特設サイトにて、その他の活用事例や、特長、料金などをご紹介しています。

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