SCSK

流体力学アプリケーションにおけるNCS

海洋工学は、伝統的な設計のベストプラクティスと最新の知識が複雑に融合されている分野です。近年の船舶設計者は、過去の事例と流体力学の科学に基づいて、最新のシミュレーションソフトウェアを活用し、実験結果と組み合わせて検証しながら、慎重に船体形状を設計していることでしょう。そして、設計者は精度を無視するわけにはいきません。なぜなら、船体形状のわずかな修正が、船舶の全体的な流体力学的性能に劇的な影響を与える可能性があるからです!

船舶の流体抵抗や、耐航性能、グリーン水などの様々な性能指標を評価するために、エンジニアはシミュレーション主導の設計アプローチに集中するようになっていますが、これにはいくつかの大きなボトルネックが残っています。CFDシミュレーションには時間とコストがかかり,設計空間の探索はわずか数個のパラメータに限られているということです。

幾何学的深層学習サロゲートモデルを活用しているNeural Concept Shapeは、前述のようなパラメータの制限などを克服し、海洋分野においても組織の設計プロセスを根本的に改善することができます。

この事例では、Neural Concept社のパートナーである韓国CAD-IT社が、Neural Concept Shapeを使用しはじめてから最初の1ヶ月で、直接CAD形状から船体の流体力学性能を予測するモデルを数ミリ秒で構築できたことをご紹介します。

モデルは、CADフォーマットからの150の異なる形状を使用し、STAR-CCM+シミュレーションの結果情報をもとに学習したものです。これらの船体形状は、標準的なタンカー船で予想される典型的な設計のバリエーションに対応しています。学習プロセスの目的は、望ましくない流れの挙動を防ぐために、船体上の圧力分布を予測する方法を知ることでした。また、深層学習プロセスでは、船体の全体的な性能パラメータであるせん断力係数と圧力力係数を予測しました。

学習の後、深層学習サロゲートモデルが実設計に投入されました。新しく見たことのない形状に対する結果を以下に示します:

表1:37の未知の形状に対するNCSモデルのスカラー予測精度、STAR-CCM+シミュレーションとの比較
表1:37の未知の形状に対するNCSモデルのスカラー予測精度、STAR-CCM+シミュレーションとの比較
図1:新しい形状における圧力分布のNCSモデルの予測とSTAR-CCM+シミュレーションの比較
図1:新しい形状における圧力分布のNCSモデルの予測とSTAR-CCM+シミュレーションの比較
図2:新しい形状における圧力分布のNCSモデルの予測とSTAR-CCM+シミュレーションの比較
図2:新しい形状における圧力分布のNCSモデルの予測とSTAR-CCM+シミュレーションの比較

本記事は、Neural Concept社の下記ウェブサイトに公開されている記事「NCS on Hydrodynamic Applications」を日本語訳したものです。

Neural Conceptについて

Neural Conceptは、エンジニアリングを強化するためのAIディープラーニングアルゴリズムを開発しています。研究開発サイクルの高速化、製品性能の増強、次世代におけるエンジニアリング課題の解決により、これまでに80社以上の顧客の製品設計方法を革新してきました。同社は2018年、スイスのEPFLにある一流のAI研究室で設立されました。私たちは30人以上のメンバーで構成され、インテリジェンスで産業エンジニアリングの未来を変革するというビジョンに向かい全力を尽くしています。詳しくはこちら

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Neural Concept Studio

深層学習AI による解析結果予測ソリューション Neural Concept Studio

Neural Concept Studioは、深層学習AI技術をベースとした、SaaS型解析結果予測ソリューションです。3D形状や解析結果からAIモデルを構築、AIによる形状評価は最短数ミリ秒で完了します。形状パラメータが異なる部品や過渡現象にも適用でき、転移学習にも対応します。