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設計業務改善で成果がでない理由と解決策

設計業務全体の改善を行いたい、もしくは業務全体を改革したいと感じながらも、具体的にどのような方法で改善すればよいか分からずお悩みの企業さまも少なくありません。

データ管理のためにPDM(製品データ管理)システムを導入する企業が増加していますが、実は集約しただけでは十分な効果・効果が得られません。そこから別のシステムに情報同士が繋がり合うことが設計におけるDX実現の重要なポイントです。

この記事では設計業務を改善するうえで、もっとも大切なシステム連携の重要性を理解していただける内容となっています。動画ではより詳しく解説しています。

設計業務改善を阻む課題

データの管理

設計現場において、最も一般的に直面する課題としてデータ管理があげられます。 2019 年に Tech-Clarity 社が実施した調査で好業績の企業に、夜も眠れないほど悩んでいること、多くの時間を費やして考えていることについて質問しました。

最多回答は「適切な情報を見つける」で48%と約半数近くとなり、次いで「データの検索にかかる無駄な時間」45%、「データの再利用」31%、「間違った/古いデータに対する作業」30%となりました。いずれも「データ管理」に関するもので、設計を効率化させるためには、データ管理が急務と言えます。

データ管理の課題を報告している企業の割合

リソースの不足

新しい設計を導入するためには、時間、人員、予算などのリソースが必要です。組織がこれらのリソースを適切に提供できない場合、改善プロジェクトは停滞する可能性があります。

組織文化の抵抗

新しいアイデアや変更に対する組織内の抵抗がある場合、設計改善の進行が妨げられることがあります。特に過去の成功体験に執着し、新しいアプローチへの不信感がある場合には、変化が難しいことがあります。

コミュニケーションの不足

設計改善プロジェクトは複数の部門やチームとの協力が必要な場合があります。適切なコミュニケーションが取れないと、意思疎通の問題や誤解が生じ、プロジェクトが頓挫することがあります。

リーダーシップの不足

設計改善プロジェクトを適切に指導し、推進するリーダーが不足している場合、メンバーは方針を追求する動機を持たなくなる可能性があります。

変更管理の難しさ

大規模な組織やプロジェクトでは、変更を管理することが複雑化することがあります。変更が適切に評価されず、適切な手順で実施されない場合、設計改善は頓挫する可能性があります。

設計業務全体を効率化するために必要なこと

3DCADの導入

3DCADソフトは、立体的に視覚化できることから構造を容易に理解できるので、設計の誤りや問題を早期に発見・修正したり、取引先や営業との連携をスムーズに行うことができます。 以下に3DCADを導入することで得られる主要なメリットを6つご紹介します。

1.視覚的な設計表現の向上

3D CADは、立体的なモデルを使用して設計を行うため、従来の2D図面よりも直感的で視覚的な表現が可能です。これにより、設計意図や製品の詳細がより明確に伝わり、コミュニケーションの誤解が減少します。

2.設計の正確性向上

3D CADは寸法や位置関係を正確に制御できるため、人為的なミスや計算ミスを軽減します。これにより、設計の正確性が向上し、製品の品質も向上します。

3.迅速な設計変更への対応

製品の設計変更は避けられないものですが、3D CADを使用することで迅速に設計変更に対応できます。モデル内の寸法や形状を調整するだけで、関連する図面やデータも自動的に更新されるため、手間と時間が節約されます。

4.シミュレーションとテスト

3D CADは、設計の仮想的なシミュレーションやテストを行うためのプラットフォームとしても活用できます。物理的なプロトタイプを作成する前に、製品の動作や応力解析を行い、問題点を事前に洗い出すことが可能です。

5.データ共有と協力

3D CADデータはデジタル形式であり、共有や協力が容易です。リモートチームや異なる部署間でのコラボレーションが円滑に行えます。また、3Dモデルを共有することで、関係者間での意思疎通もスムーズになります。

6.生産段階へのシームレスな移行

3D CADデータは、製造プロセスや加工機械との連携が容易です。このため、設計から生産へのスムーズな移行が実現し、生産効率が向上します。 データの保管とバージョン管理: 3D CADソフトウェアは、設計データのバージョン管理や履歴の保管がしやすい機能を提供します。これにより、過去の設計データへのアクセスや変更履歴の追跡が簡単になります。

データ連携

データを連携することで多くの情報とシステムの連携が実現、自動入出力により省力化が実現、情報共有により検討や計画の元となる情報を視覚化し、その活用の幅を広げることができます。 情報連携は 柔軟な検索性、トレーサビリティ、制御、共有可能性を提供します。

3DCAD/2DCADの併用

3D 設計の導入した場合、2D CAD は不要になるかというと実は3D CAD を核とする3D設計環境は、2D CAD の支援がなければ運用も難しく、3D CAD 自体も十分能力を発揮できません。3D 設計体制に2D CADの存在は不可欠であり、3D/2D併用のワークフローの確立こそ3D 化実現へのカギになります。
2D CADで設計製図を行う初期段 階から、3D CAD で設計し2D CAD で製図する第2段階へ進み、さらに3D CAD で設計・製図を行う 第3段階へ──とステップごとに3D/2D を使いわけながら進めていくことで、多くの企業が3D 化へ のソフトランディングを成功させています。

データの一元管理

ドキュメントやデータが散在していると製品仕様書、品質書類、メンテナンス書類等を探す際に手間と時間がかかってしまいます。さらに担当者が変わると、どこを探せばよいかますますわからなくなってしまいます。

ウィンドウズエクスプローラーやファイルサーバーという言葉で象徴されるようなファイルシステムは、これらを保存する場所として適切ではありません。なぜならサーチャビリティ検索性が貧弱、Windowsのファイル検索が遅い、ファイルやフォルダの名前という限られた場所にしか情報を含めることが難しいため、検索がスムーズに行えなくなります。

ドキュメントを一元管理することで、「探す」無駄な時間を削減、本質的な業務により多くの時間を費やすことができ、1人あたりの生産性向上が期待できます。

まとめ

データマネジメントシステムを使用してデータを集めだけでは不十分です。適切な運用や活用方法が欠けていれば、十分が成果・効果を得ることはできません。

データマネジメントシステムを効果的に活用するためには、どのように利用すべきか、そして情報をどのように取り扱うべきかという問いに真摯に向き合う必要があります。
これにより情報の検索可能性、追跡可能性、制御可能性、共有可能性が具体的に成果として現れます。 さらに情報同士が連携し変化する過程を経て、情報が新たな価値を持つものとなるのです。

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