ご所属の組織や事業をご紹介ください。
私が所属する原価革新室は、モビリティ事業に属 しています。この事業は、主に車載関連製品の企 画、開発、生産販売を行っており、パワーウィンド ウスイッチや電子シフターなどのモジュール製品 や、デジタルキャビン、サウンドシステム、統合ディ スプレイなどのシステム製品を提供しています。モ ビリティ事業は全社売上の約6割を占めています が、この事業のさらなる良質化と収益改善の加速 を目的として、原価革新室が2022年4月に新設さ れました。
アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社が経営統合し、2019年に新たにアルプスアルパイン株式会社としてスタートした同社は、「コンポーネント」「センサー・コミュニケーション」「モビリティ」の3つを事業軸として、メカトロニクス設計、磁気、高周波、静電、音響、プリンティングなどのコア技術と、精密加工や生産技術、そして光学、ASIC設計、ソフトウェアなどの注力技術を磨いてこられました。中核ビジネスである車載向けモビリティにおいては、来るべきSDV(Software-Defined Vehicle)時代を見据え開発を進められています。今回は、そのモビリティにおける原価管理体制の強化にaPrioriを導入した事例をご紹介いただきます。
私が所属する原価革新室は、モビリティ事業に属 しています。この事業は、主に車載関連製品の企 画、開発、生産販売を行っており、パワーウィンド ウスイッチや電子シフターなどのモジュール製品 や、デジタルキャビン、サウンドシステム、統合ディ スプレイなどのシステム製品を提供しています。モ ビリティ事業は全社売上の約6割を占めています が、この事業のさらなる良質化と収益改善の加速 を目的として、原価革新室が2022年4月に新設さ れました。
原価改善、そして原価企画活動をどのように進めるかを検討する中で、原価シ
ミュレーションツールaPrioriを知りました。2022年の自動車未来サミットのイ
ベントレポートにaPrioriの情報があり、わたしたちの原価企画活動と自社で
設計をしている機構部品のコスト見積に活用できそうだと考えて、導入検討を
行うための部門横断プロジェクトを立ち上げ、原価革新室や金型技術部隊、
資材部門、設計担当のメンバーが参画して技術的な検討を開始しました。
2024年はじめに1か月のトライアル評価を実施し、その結果を受けて2024年5
月にaPrioriを導入しました。トライアルでは、aPrioriで行いたいことの全容把握と精度確認、独自ロジックの可否判断を短期間で行うことができたため、非
常に有意義な取り組みであったと考えています。この間、SCSKさんからも多大
な技術支援をいただきました。
わたしたちが扱っている車載製品は、顧客固有の専用設計が非常に多いた め、専用固定費や変動費などの管理をプロジェクト単位で実施しつつ、ライフ 収益管理を行うことがとても重要です。従来は、プロジェクトマネジメントチー ムが原価企画を担当し、原価管理や原価改善は、経営企画、技術企画、生産企 画などの各部門が個別に行っていましたが、残念ながら一貫した管理はでき ていませんでした。そこで、2022年に原価革新室が加わることで、原価企画、 原価改善、原価管理を一元化しました。一つの部門が一貫して管理・推進する ことで、製品プロジェクト単位での原価やライフ収益の管理が可能となり、収 益改善に向けたPDCAサイクルを実現できるようになりました(図1)。
原価企画、原価改善、原価管理がどういうものかもう少し具体的に説明する と、原価企画活動では、受注段階から目標原価の割り付けを行い、それを実現 するコストの創り込みを行います。その際、環境変化や技術進化、コト・モノの 進化、他社のベンチマーク情報をもとに、どのように目標原価を達成するかを 議論し設定していきます。ここで重要なのは、原価の見積精度です。次に、原価改善活動では、原価企画で目標達成に向けたアイテムを明確にして 、それを 具体的な改善活動に落とし込んでいきます。この中で重要になるのは、金型発 注前の見積精度、量産開始前の部品単価の見積精度です。そして、原価管理 活動にDXツールであるaPrioriを採用することで原価を可視化し、最善策を取 れるようにしています。わたしたちはこれを、原価のPDCAと呼んでいます。
ダウンロードすると全文ご覧いただけます。
製造原価シミュレーション aPriori(アプリオリ)
aPrioriは3DCADモデルから形状やPMI情報を抽出し、構築したデジタルファクトリーの情報を考慮して、モノづくりの意思決定に必要な3つの指標を提供します。 aPriori活用で自社内に明確なコストテーブルを持ち、設計の早期段階からコストを意識した製品開発体制を整え、イノベーションを促進することに貢献します。