第1回 Zabbixとは (4/4)

技術特集

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4)Zabbix ならではの機能とは?

Zabbixを利用すれば、1つのソフトウェアで監視から取得した値の視覚化までできることはこれまで説明してきましたが、Zabbixならではという機能をあげておきます。

1つめは、テンプレートと呼ばれる機能です。
Zabbixにおけるテンプレートとは、アイテムやトリガーなど、よく利用するような監視の組み合わせをひとまとまりにしたものです。
また、アイテムとは、監視項目の値を取得するためのもの、トリガーとは取得したアイテムの値などを利用して正常な状態であるのか障害が発生したのかを判別するための条件設定のことです。標準のテンプレートでは、LinuxやWindowsのOS部分を監視したり、ネットワーク機器の各インターフェースの入出力量を把握できるようなテンプレートが用意されています。

Zabbixで、何を監視するか、どのような閾値で監視するかという監視の設定を 各サーバ毎に行っていたのでは、サーバを追加するたびに発生する監視設定の作業が面倒です。
そこで、同じような監視を必要とするサーバを複数台管理する場合、テンプレートと呼ばれる監視の設定の1セットを作成しておけば、サーバを追加した際に、その追加したサーバとテンプレートとを紐づけするだけで、同じテンプレートが紐づけられたサーバと同じ監視を行うことができます。

2つめは、マルチテナントと呼ばれるような機能です。

監視システムを導入する際、システムやサービス単位で用意することも可能ですが、一つ一つのシステムの規模があまり大きくない場合、個別の監視システムを用意していたのでは無駄も多く、運用にも手間がかかってしまいます。
しかし、複数のシステムの監視を1つの監視システムに集約してしまうと、今度はそれぞれのシステムの担当者以外に担当以外のシステムの状態を見せたくないという要望があがってくることが予想されます。
Zabbixであれば、ホストグループ(監視対象のグループ)とユーザグループを組み合わせて、特定のホストグループに所属するサーバやネットワーク機器を、特定のユーザグループからのみ参照させることが可能です。

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これを利用することで、複数のプロジェクトを1台のZabbixサーバで監視したとしても、各プロジェクト毎に切り分けられた情報を限定して参照させることができます。
運用者や管理者にとっては、1つのZabbixの画面だけで複数のプロジェクトの状況を把握できるというメリットがあります。

3つめは、Zabbix APIです。

通常は、Webブラウザを利用して監視対象であるホストを登録したり、監視項目であるアイテムを登録したりするわけですが、クラウド環境でサーバの追加や削除を頻繁に行うような場合、いちいちブラウザを利用して操作するのは非常に面倒です。
こういう場合、他のシステムと連動させて、例えば、新しいサーバを起動したらそのタイミングでZabbixサーバ上に登録して監視を開始させたいという要求が出てくると思います。

そこで、APIの出番です。
APIを利用すれば、監視対象となるホストの登録、変更、削除をソフトウェア的に処理することが容易になるため、他のシステムと連動して自動的に監視対象を追加するとか削除するようなことが実現できます。