材料設計を加速させるAIプラットフォーム Citrine Platform

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技術情報コラム

Citrine Platform技術情報コラム第三回

CitrinePlatformのマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が触媒の最適解となる理由

Citrine Platform技術情報コラム第三回

本記事はCitrine Platform製品紹介セミナー第三回 触媒料編のダイジェスト版です。

1. 触媒と触媒用AIが難しい理由

最先端の技術開発から、もっと身近な日常の様々なモノ、そしてわたしたちの体の中で、姿をみせず縁の下の力持ちとして大きな貢献をしているのが触媒です。触媒は、他の物質に働きかけて反応を加速させる役割を担うものの総称ですが、現代社会においては工業用製品や医薬品・食品などの製造から、有害物質の除去やクリーンエネルギー開発などの環境負荷低減の取り組みにおいてまで、幅広い領域で研究が進んでいる存在です。

では実際の触媒の反応を考えてみましょう。身の回りのあらゆるところで使われている触媒ですが、実は反応の事象自体は非常に難しいものです。触媒反応においては様々な種類の反応が同時に発生し、副反応・中間体・副生成物・共反応物などが複雑に絡み合うことになります。また、それらすべてが原料や触媒の表面を奪い合うような言わば互いに競合する関係性を持っており、測定も容易には行えません。

そこで、近年期待が寄せられているのがAIによる予測技術です。新たな触媒やその利用方法の開発のためには、これまで膨大な時間と費用、労力を要していました。ここにAIを投入することで、特に困難とされる触媒の研究開発を大きく前進させる狙いです。

とはいえ、AIによる予測モデル構築においても、触媒は最も複雑な領域の一つです。AIには、機械学習の元になる十分なデータが必要になるわけですが、そのデータの品質が予測に大きく影響します。そこで課題が大きく2つ見えてきます。1つ目は、特性評価が難しいという点です。これは、触媒の状態が反応に伴い変化し、表面の化学的物質や構造が不明であることが多いためです。2つ目の課題は時間依存のデータ作成です。時間依存性をどのように表現し、曲線からサンプリングして現象の仕組みを表す特徴量データを作成するのかということは非常に難しく、多くの場合様々なツールを使って試行錯誤を繰り返します。つまり、これらの課題によって、AIを活用するためのデータが揃えられないのではという疑問が生じます。

では、この難題をCitrine Platformはどのように解決するのでしょうか。

2. Citrine Platformが触媒の最適解となる理由

なぜAIの適用が難しい領域であるにも関わらず、Citrine PlatformのAIが触媒の最適解となりうるのか、その理由について説明します。今回は3つのメリットに焦点をあてます。

2-1 複雑性のモデル化

実際の触媒反応を調べると、亜酸化窒素の変換のように複数の反応ステップが複雑に絡み合って存在します。つまり複数の仮説や事象を同時に検討することが求められます。Citrine Platformでは、グラフィカルモデルを用いることで異なる反応間の情報を互いに活用し合い、全体的な予測を正確に実現できます。機械学習はブラックボックスになりがちですが、視覚的に要素を分解することで、各要素がどのように組み合わせられているかを理解でき、何が起こっているかまで一部知ることができます。触媒の中間反応のモデル化にはこのようなグラフィカルAIモデルが非常に効果的です。

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この図では、一番上に入力となるデータセットがあります。入力は実験と計算どちらも利用できます。図は中間体を含む反応の全体を模擬しており、ある機械学習モデルの結果を別の機械学習のモデルの入力に利用しています。Citrine PlatformではこのようなAIモデリング機能により、機械学習でブラックボックス化しすぎない工夫も取り入れています。予測モデルを可視化することで、化学者とデータサイエンティストが協力し、少ないデータ数でも正確な知見を獲得することが可能となります。

2-2 リソース集約型の実験・モデリングの削減

触媒の物理実験や計算機を用いたモデリングは多くの時間や労力を要し、費用も非常に高くなります。そのため、取得可能な様々なソースのデータを可能な限り活用する必要があります。Citrine Platformは実験・計算機両方のデータを使用でき、シーケンシャルラーニングにより必要な実験回数を従来と比較し50~70%削減できます。

2-3 効率性

図は設計空間や探索空間をイメージしたものです。この膨大な空間から獲得したい組み合わせを探す必要があります。従来の実験計画法では、自由度が3以上になると扱いにくさが急激に増加します。一方、Citrine Platformのシーケンシャルラーニングと呼ばれる機械学習アプローチでは、一度に多くの自由度を設定できるため、プロセス条件や構造などの情報を入れることも可能です。触媒や試薬に関する情報をすべて取り込み、定義された設計空間の中からターゲットとなる解にヒットする可能性が高い候補を算出します。特にCitrine PlatformのAIは高次元かつ未知の領域であっても、有望な領域を優先的に探索し、効率的に最適な解を発見します。

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ここまでご紹介したグラフィカルAIモデルを活用する、Citrine Platformのシーケンシャル・ラーニング(逐次学習)の手法については、こちらをご覧ください。

より詳しい情報は、Citrine Platform製品紹介セミナー第三回 触媒編にて、Citrine Informatics社の研究者とスタンフォード大学の研究者が共同で予測モデルを構築した事例などを交えてご覧いただけます。セミナーの見逃し配信をSCSK動画配信サイトで行っておりますので、ぜひこの機会にご視聴下さい。

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