オリンパス株式会社 様

医療分野向けコンタクトセンターの進化
後工程の業務を変革し、応対品質向上の好循環サイクルを構築

顧客接点の高度化

コンタクトセンター基盤をクラウド化し、コストを最適化
攻めの投資で、顧客満足度・ブランド価値のさらなる向上を目指す

事例のポイント

お客様の課題

  • 製品点数が多く数万点あるため、応対には専門性の習熟が必須
  • 後工程の業務負荷が、応対そのものにかけられる工数を圧迫
  • コンタクトセンター基盤が老朽化し、リプレイスが必要

課題解決の成果

  • AIが高精度かつリアルタイムに応対記録を可視化
  • 応対業務のノウハウ拡充や自己解決率の向上へ注力可能に
  • コンタクトセンター基盤にかかるコストをクラウド移行で低減

導入ソリューション

  • AI音声認識システム 「AmiVoice Communication Suite」
  • コンタクトセンター向けクラウドサービス 「PrimeTiaas」

オリンパス株式会社
医療国内マーケティング
医療カスタマーインフォメーションセンター
コールセンター運営1 課長

川谷 良治

オリンパス株式会社
医療国内マーケティング
医療カスタマーインフォメーションセンター
コールセンター運営2 課長

新川 洋平

「AIを活用し、業務を変えるのはチャレンジでした。現時点でも効果は実感していますが、取り組みはまだ道半ばであり、より一層の省力化と品質向上を実現していきたい」

オリンパス株式会社 医療国内マーケティング 医療カスタマーインフォメーションセンター コールセンター運営2 課長

新川 洋平

背景・課題

高い専門性が求められるオリンパスのコンタクトセンター
応対品質向上には業務負荷の軽減と応対記録の標準化が課題に

 世界で初めて胃カメラの実用化に成功したことで知られるオリンパス。同社は高度な光学技術と最新のデジタル技術を武器に、医療分野におけるトップクラスの企業として世界をリードしており、特に消化器内視鏡の分野では70%以上のシェアを誇る。現在、同社が扱っているアイテム数は数万点に及ぶ。しかもこれらは精密機械であることから、同社のコンタクトセンターには社内外からさまざまな問い合わせが寄せられており、その数は年間20万件を超える。

 こうした問い合わせに応対するオペレーターには、膨大な数の製品そのものに関する知識に留まらず、製品同士の組み合わせの適合性や、医療機器を扱う側の知識もあわせて求められる。製品の機能や仕様など、一問一答で回答できる問い合わせもあるが、状況を正しく理解するために、問い合わせ元の環境を再現しながら確認するようなこともある。メンテナンスなど現地での作業が必要な場合は、修理スタッフを派遣する手続きを取るなどの役割も担っている。これらの業務で第一に求められるのは応対の正確性であり、オペレーターは高い専門性が必要となるという。

 このため、同社ではオペレーターの習熟度を高めるためにさまざまな試みを行ってきたが、オペレーター個人によって応対品質にどうしてもバラつきが生じてしまっていた。加えて、応対の後工程である応対内容の記録は、品質の管理・改善の観点では綿密であるほど望ましいが、オペレーターにかかる業務負荷と応対記録の標準化という二つの問題に悩まされていた。医療国内マーケティング 医療カスタマーインフォメーションセンター コールセンター運営2 課長の新川洋平氏は「以前はオペレーターが応対記録の作成に時間を取られており、大きな負担になっていました。結果として次の電話を取るのが遅れ、受電できる回数が減ってしまっていたのです。また、オペレーターごとに応対記録の粒度が異なっており、的確な分析ができない場合がありました。例えば『製品の型番を教えてほしい』という問い合わせに対し、回答した型番のみを記録するオペレーターもいれば、型番の確認が必要になった理由まで尋ねて記録に残すオペレーターもいます。当然ながら、ある程度詳しい内容が記録されていないと分析・共有して役立てることができません」と説明する。

解決策と効果

AIの音声認識によるテキスト化で後工程の業務を変革
応対品質向上の好循環サイクルを構築

 そこでオリンパスは、2017年の夏ごろからこの課題を解決するための検討を開始。そうした中、目に留まったのが音声認識により通話をテキスト化することができる「AmiVoice Communication Suite(以下、AmiVoice)」だった。「AmiVoice」はアドバンスト・メディア社が開発し、300社以上のコンタクトセンター導入ナレッジを蓄積したAI音声認識システムだ。医療国内マーケティング 医療カスタマーインフォメーションセンター コールセンター運営1 課長の川谷良治氏は「AmiVoiceは評価項目の基準をすべて満たしており、オペレーターの負荷軽減に有効なことが確認できました」と説明する。たとえば、通話時間が3分台の問い合わせ内容の書き起こしでは、従来と比べて約60%の時間を削減できたという。

 なお、この同時期に同社はコンタクトセンター基盤の老朽化という別の課題にも直面していた。そこでSCSKは「AmiVoice」の導入とあわせてクラウド型コンタクトセンター「PrimeTiaas」への移行を提案。現行のシステムコストの低減が図れることで、同社のAI音声認識システムの検討を後押しした。

 「AmiVoice」「PrimeTiaas」の導入を決定した同社は、2019年春から運用をスタートした。実際に使い始めたなかで、早速効果が実感できたのはオペレーターの管理業務だったという。例えば、複数のオペレーターをまとめる立場のスーパーバイザーは、各オペレーターのやり取りについて、複数人の状況をテキストベースでリアルタイムに把握できるようになったため、フォローが必要な応対の判断や改善点のフィードバックの精度が格段に向上した。また同社のコンタクトセンターでは、応対品質を高めるためにオペレーター間で応対内容をチェックする取り組みを行っているが、優れた応対をすれば「AmiVoice」の記録を元に詳細のやり取りが参考にされるため、オペレーターのスキル、プロフェッショナルとしての意欲向上に大きく役立っているという。

今後の展望

AIの活用をより一層進め、
顧客満足度・ブランド価値のさらなる向上を目指す

 オリンパスが「AmiVoice」を導入してからほぼ1年が経過した。同社では「AmiVoice」でテキスト化したデータをさらに役立てるための取り組みを進めている。当初の目的であるオペレーターの後工程については、数多くある製品の型番など専門用語を「AmiVoice」の辞書に登録することで認識の精度をより高め、業務負荷の軽減を今後も図っていく計画だ。

 もうひとつの取り組みは問い合わせ内容のFAQ化だという。 「問い合わせを抜き出して分析し、頻繁にくる質問などをナレッジデータベースにまとめ、FAQを充実させることで、オペレーターの負荷軽減にもなります。さらにその内容をブラッシュアップしていくと、オペレーターの応対業務の質と量も高まるでしょう」(新川氏)

 医療分野向けコンタクトセンターの開始後、今日では最も重要な顧客接点のひとつとしての役割を担いつつある。同社は今後もコンタクトセンターの質を高めるとともに、応対品質の向上や応対記録の省力化を実現できるAI音声認識システムに大きな期待をかけている。

SCSK担当者からの声

年間20万件を超えるオリンパス様のコンタクトセンターシステムに音声認識「AmiVoice」、音声基盤「PrimeTiaas」をご採用いただき、システムと業務の2つの側面から支援を実施しました。クラウド型音声基盤システムとAI技術を取り入れた音声認識システムを連携させることで、コンタクトセンターシステム刷新を実現。システムの導入後は、オペレーターの応対記録の標準化や管理者工数について効果が出ていると嬉しいお言葉をいただいております。現在は業種に特化した用語の認識率を上げるためチューニング支援を行っていますが、今後もさらなるサービス向上に努めさせていただきます。


お客様プロフィール

オリンパス株式会社

所在地:東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス
U R L:
https://www.olympus.co.jp

1919年、顕微鏡事業で創業。その開発を通じて培った光学技術を原点に、カメラや内視鏡の技術へと発展させてきた。今日では、医療を中心にライフサイエンス・産業分野や映像分野など幅広いジャンルで研究・開発に取り組んでおり、中でも消化器内視鏡は世界シェア70%以上と圧倒的な存在感を持つ。

2020年2月