コラム/技術的な情報

テレワークの普及によって変化するネットワークトラフィック 最近の傾向と対策

コロナ禍によりテレワークを活用する企業が増え、企業内でのネットワークトラフィックの変化が起きています。今回はSCSK株式会社シニアエンジニアの山科 正幸にその傾向と対策について聞いてみました。

――NetScout nGeniusとはどのような製品ですか?

 通信には、どこからどこに対して、何が起きていたかという情報が含まれており、それらの情報を取得・保存しておくと、障害や情報漏洩などが発生した際の原因究明、システム運用上の課題の把握・解決に役立てることができます。
 NetScoutのnGeniusは、そうした通信データを常に取得し、解析することができます。データの取得は、nGeniusが行うのではなく、既設のSwitchやRouter、TAPからデータをもらって内容を解析・可視化するため、ネットワーク機器に影響を与えることはありません。いわゆる検問所のようでありながら、データの流れに影響しない、通信の流れを見ているだけの存在です。
 また、一般的なモニタリング製品は通信の発信元と送信先を把握することができても、通信の中身までは把握できませんが、nGeniusは内容も解析できるため、通信の不審な箇所や、動作不良が起きていないかといったことも発見することができます。
 例えば、つながらないなどの障害が発生した際には、通信ができていないのか、アプリケーションの内容に問題があるのか、書き換えが行われているのかといった原因の確認ができますし、情報漏洩時にはどの時点でどのように漏洩したのかという調査を行うことができます。
 また、普段と異なる動作を発見した場合には不審な箇所に関するアラートを出しますので、素早くその原因にたどり着くことができます。
 これまでリソース管理(SNMP)やフロー管理を行ってきた企業が、より詳細を見たいと考えて導入する最後のピースとして利用されるような製品です。リソース管理やフロー管理をなくすというのではなく、組み合わせることによりしっかり守りたいという企業におすすめの製品です。

NetScout Systems社とは
 1984年から歴史あるキャプチャーベースの性能管理製品の開発・販売・保守を提供している企業です。
 性能管理製品分野において数々の受賞歴があり、市場リーダーとして、ワールドワイドに展開しており、世界65カ国、2万台以上の導入実績を保有しています。世界11カ国で71の特許を取得しており、堅調に売り上げを伸ばしている企業です。

――導入メリットを教えてください。

 ネットワークを含めたインフラの管理やアプリケーション、回線はそれごとに担当者や提供する企業が分かれていることがあります。この場合、障害が発生しても問題の切り分けは困難で、原因の押し付け合いに発展することが多々あります。
 nGeniusを活用すると、どこに障害の原因があったのかを短時間で調べることができますので、問題の切り分けや障害対応までの時間を短縮することができます。
 また、過去の運用データは分析され、随時確認できるようになっていますので、問題が顕在化する前にシステムの状況を把握、改善することで、機会損失や運用コストの最小化にも役立ちます。

――NetScout nGeniusの他社とは違う特徴を教えてください。

 他社のパケットキャプチャ製品はデータ保存に特化したものがほとんどで、取得しても解析などを行う製品はあまりありません。そのため、取得した大量のデータから探したいものを探し出すのは一苦労します。
 それがNetScoutの場合、取得したデータを解析し、サマリをグラフで作ってくれるため、不審な箇所をすぐに把握することができます。さらに、パケットの中身もキャプチャしているため、より詳細に調べることができます。
 そのため、問題があることが分かってから、原因を調べるまでにかかる期間を短くすることができるという部分が他社とは大きく異なる部分だと思います。

――NetScout nGeniusを検討されるのはどのような企業でしょうか?

 この製品を検討される企業は、大手の金融機関や、官公庁など、何か問題が発生した場合に監督庁に報告しなければならないような立場の企業が採用されることが多いです。
 そのため、監視面で何も対策を行っていない企業や、何かしらの問題が起きてもそこまで大きな問題に発展しないという企業の場合、NetScoutの製品はある意味で過多な状態だと思います。
 また、キャリアやデータセンター、ホスティング事業者からもお話をもらうことがあります。こうした企業の場合、問題が発生している箇所がネットワークなのか、インフラなのか、アプリなのかを把握することが障害切り分け上重要です。nGeniusを入れるとその原因が比較的分かりやすくなるため、重宝されるようです。ただ、これらの企業の場合は、パケットの内容まで取得してしまうと問題が出てくることがあるため、内容を取得せず、上辺の通信データのみ保存し、どこに問題が起きているのかを把握できる程度にするという形をとっていることがほとんどです。

――テレワークになって製品を取り巻く環境に変化はありましたか?

 これまでであればファイルのダウンロードに多少時間がかかったとしても、遅延には気付きにくい状況でしたが、テレワークが中心になったことで、ZoomやWebexなどのWeb会議ツールの使用頻度が増え、音声や映像の品質の悪さで通信環境の不調を気付かれるようになりました。
 特にWeb会議ツールの場合は、パケロスしても遅れて再送信すればいいというものではなく、データの送信に揺らぎがあっては困ります。ですが、使用者がネットワークの遅延があったとネットワーク管理者に訴えても、管理者は調べる手立てがないことがほとんどでした。
 そうした場合でもnGeniusなら、データが滞っている箇所を把握することができます。
 例えば、テレワーク中はVPNで会社のネットワークに接続し、その後、会社のネットワークから再び出て各端末に通信を届けます。このとき、会社のネットワーク上にnGeniusが入っていれば、社内ネットワーク上に問題があるかを確認できます。会社のネットワークに入ってから通信が劣化しているのであれば社内に、そうでないのであれば相手先のネットワークに問題があるという切り分けをすることができるということです。こうしたデータはネットワークの見直しの判断材料にもなります。
 また音声分析機能も搭載されているため、データの流れを集計して統計を取ることで、音質低下のタイミングを把握できます。これまでであれば音声分析がついているという話をしても興味を示す企業はほとんどありませんでしたが、Web会議やVoIPを活用する企業が増えたことで、音声分析に課題を抱える企業からのお話を頂く機会が増えました。

Web会議

――対象製品を検討されるお客様がよく抱えている課題やお客様からの声を教えてください。

 よくあるのは、障害や情報漏洩などのインシデントが発生したときに、トラブルシューティングをするために過去にさかのぼって通信を調べる術が欲しいというものです。特に、情報漏洩があった場合、どの端末が、どこに、どのような通信を出していたのかという点はnGeniusですぐに分かりますので、エビデンスや報告書の作成が容易になります。こうした要望は金融系や官公庁、キャリア系など、監督庁に報告しないといけない義務を負っている企業からは必ず聞かれます。
 実際に使用したお客様からは、「レポートを作る時間が格段に減った」、「問題や原因を見つける時間が格段に減った」、「これがなかったらすぐに対処できなかった」というお声を頂いています。
 また、ネットワークの増設の検討や回線の引き方の変更を検討するにあたって、どのような種類の通信が多く、どの程度の量なのかを見たいという要望もありました。

――対象製品の注目ポイントや個人的にその製品の好きなところがあれば教えてください。

 何かあったときに過去を深堀りできるという点はこの製品ならではのポイントです。
 実際に通信したデータやパケットキャプチャによるデータの中身の情報はエビデンスとして残っていますし、分析された統計データも残されています。
 だからこそトラブルシューティングへの対応は十分に行えますし、トラブルの証拠も十分なものを用意できるというのがこの製品のいいところだと思います。

――対象製品におけるSCSKの強みについて教えてください。

 NetScout製品に関して専門性の高いエンジニアが所属していることです。
 nGenius製品に問題が起きた際の切り分けはもちろん、米国のサポート窓口とのやり取りも当社のエンジニアが行います。
 また、トレーニングも当社が行いますが、そこで使う資料は英語のドキュメントを当社が日本語化したものですので、安心してトレーニングを受けていただけると思います。

――対象製品を検討されるお客様に一言お願いいたします。

 ITインフラが重要性を増している中、問題を素早く察知して解決できるというのが重要になってきています。私たちはこれまで培ってきたネットワーク運用の経験やノウハウをもとに、ご提案から導入サポートまで一貫して行っています。お客様の環境に合わせられる幅広い製品とファンクションをご用意していますので、ネットワーク運用にお悩みを持っている方はぜひご相談ください。

NetScout nGeniusについて
興味がある方は以下のページをご覧ください。
https://www.scsk.jp/sp/netscout/

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