コラム/技術的な情報

ハイブリットクラウド環境における監視方法

サーバのクラウド化が進んでも、運用・監視の必要性はなくならない

 SaaS、IaaS、PaaSといったクラウドサービスが市場をさらに拡大している昨今、ほとんどの企業が何かしらのクラウドサービスを利用しています。
 IDC Japanが2022年3月に発表した国内パブリッククラウド市場の調査データによれば、2026年までの間の年間平均成長率は18.8%、2026年には2021年比で約2.4倍の3兆7586億円となる見込みだといいます。(参考
 これほどの需要が生まれたその背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きいことに加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるITシステムのクラウド移行や、クラウドサーバの利用によるインフラ構築にかかる期間や負荷を最小限にするといった効果を狙ったものなどさまざまな事情があるようです。
 サーバのクラウド化による主なメリットは、コスト削減や運用管理の負担削減、インフラ構築の期間短縮、拡張の柔軟性が挙げられます。2025年問題によるIT人材不足が懸念されている中で、運用管理の負担軽減対策は企業にとって大きな問題であり、だからこそ、よりクラウドへ移行する傾向が高まったと考えられます。
 しかし、その一方でサーバをクラウド化したからといって、監視する必要がなくなった訳ではありません。
 むしろ監視・運用の観点では、より複雑になったともいえるでしょう。

「システムが正常に稼働しているか」を俯瞰的に監視する必要がある

 サーバをクラウド化することによる運用面の利点といえば、ハードウェア障害や故障による交換対応などについて考える必要がなくなる点です。
 一方、監視・運用の観点から見ると、「システムが正常に稼働しているか」という点は、従来のオンプレ環境であっても、クラウドサーバ環境であっても実のところあまり変わりはありません。
 これは昨今人気を集めているオンプレとクラウドが共存するハイブリット型のクラウド環境でも同様で、オンプレ側とクラウド側のどちらに障害原因があるのかという“障害切り分け”は必要ですし、さらにはネットワーク、アプリケーションの視点からの切り分け作業も必要となります。
 システム運用担当者にとっては、オンプレかクラウドかに関わらず、「システムを俯瞰的に監視したい」というニーズが出てくるのは当然のことでしょう。

「システムが正常に稼働しているか」を俯瞰的に監視する必要がある

 そしてさらに注意しなくてはならないのは、クラウドホスティング事業者とユーザー側の責任分界点です。
 「クラウドであればセキュリティ面は問題ない」、「クラウド側で起きる問題はベンダーの責任」といった誤解があるようですが、実のところIaaS、PaaS、SaaSそれぞれで責任分界点は異なります。
 例えばSaaSであればアプリケーションに入っているデータや設定のみが責任範囲となりますが、PaaSそれに加えてユーザーが開発したアプリケーションが、IaaSの場合は仮想サーバのOSより上の領域(OS、ミドルウェア、アプリケーション)が責任範囲となります。
 そのため、障害が発生したときには誰がどこに対してどのような対応をすべきなのかを明確にする必要がありますが、分断されているからこそ困難となるケースはままあり、いざ障害が発生したときに障害復旧に時間がかかりすぎてしまうといった事態を引き起こすことがあります。
 だからこそ、障害に備え、常日頃から監視・データを蓄積することで、システムの挙動を把握しておく必要があります。

パッシブモニタリングで俯瞰的に監視する

 パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリットクラウドなどの環境を効率的に監視・運用するには、パッシブモニタリングが効果的です。
 パッシブモニタリングは、ネットワーク上に流れる実際のトラフィックを常にキャプチャし、ネットワークとアプリケーション双方の視点から、障害やパフォーマンスの劣化を可視化することが可能なため、例えばオンプレ・クラウドにまたがるトラフィックであっても俯瞰的に監視し、被疑箇所の特定につなげることができます。
 またパッシブモニタリングの場合、“Gシステムを利用するAさん”といった可視化も可能なため、ネットワーク全体にかかわらず、個別レベルの小規模な障害対応にも迅速に対応することができます。

 パッシブモニタリングによってキャプチャした通信からネットワーク全体を俯瞰して監視するNETSCOUTを一緒にご利用いただくと、障害原因の糸口を見つけることができます。そして見つけた糸口をもとに、各監視ツールが持つ情報から障害発生原因をいち早く突き止めることでMTTR(平均障害復旧時間)の短縮につなげることができます。

 安定したネットワーク運用にご興味がある方は当社営業担当者にお問い合わせください。また、下記より製品資料のダウンロードも可能です。ぜひご活用ください。
https://www.scsk.jp/sp/netscout/catalog/index.html

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