コラム/技術的な情報

クラウド監視とローカルブレイクアウト

ローカルブレイクアウトというトレンド

 いまや世界的なトレンドとなったデジタルトランスフォーメーション(DX)によって増えたIT導入や、テレワークの普及によるクラウドサービスの利用拡大に伴い、企業内のネットワーク通信量はそれ以前と比較して爆発的に急増しており、レスポンスの遅延による業務の生産効率の低下といった問題が発生しています。
 そこでそれを解決する手段として、「ローカルブレイクアウト(LBO)」というネットワーク構成を取る企業が増えてきています。
 そこで今回はLBOとクラウド監視についてお話ししたいと思います。

ローカルブレイクアウト(LBO)とは?

 LBOとは、クラウド向け通信をデータセンター経由とせず、各拠点から直接インターネットで接続することです。拠点に設置するルーターで通信内容を識別し、クラウド向け通信であれば拠点側のインターネット回線を利用するという仕組みです。
 メリットは、データセンター向け業務通信とクラウド向け通信の双方の帯域不足の解消、インターネット回線の帯域幅増・コスト削減です。一方、デメリットはLBOがベストエフォートのインターネット回線であることです。

クラウド化におけるローカルブレイクアウト(LBO)の弊害

 従来のようなデータセンター経由でのネットワーク構成では、クラウド向けの通信がデータセンターに集約されるため、ネットワークの管理や障害対応が比較的容易でした。
 しかしLBOになれば、各拠点からインターネットに直接接続することになるため、監視が必要なポイントが分散され、ネットワークの管理が煩雑になり、また障害の把握や対応が難しくなります。
 そのため、ユーザーから「ネットワークが遅い」、「クラウドにつながらない」といった問い合わせがあっても、「ベストエフォート回線だから遅くても仕方がない」「原因はインターネットで社内ネットワークの問題ではないだろう」というような、曖昧で解決には至らない回答をせざるを得ないということが多くなります。

 しかし、業務サーバや、社内サーバ、Microsoft365等の業務用のクラウド/SaaSサービスなどの通信に遅延や障害が発生すれば、業務への影響は大きくなってしまうため、その管理者である情報システム部やネットワーク管理者は、監視手段を用意しなければなりません。

クラウド化におけるローカルブレイクアウト(LBO)の弊害

ローカルブレイクアウト(LBO)の監視手法とは?

 拠点側のクラウド向け通信の監視にはいくつか方法がありますが、代表的な方法は以下の2点です。

  • アクティブモニタリング(シンセティックモニタリング)
     ネットワークにテストデータを流すことで、障害の予兆となるネットワーク上に隠れた問題を可視化します。これによって障害が発生する前に改善活動に移ることが可能になります。
  • パッシブモニタリング
     ネットワーク上に流れる実際のトラフィックをもとに、ネットワークのパフォーマンスデータを収集し、問題の可視化を可能にします。
     実データをもとに分析を行うため、現実に起きている障害・問題を検知します。

 日々の監視によって障害を未然に防げるものは多くなりますので、朝昼晩/日中の通信量推移や、レスポンスを把握することが重要です。そして、万が一、通信に遅延が生じたときには、日々の監視で得た情報をもとにその原因を把握することが障害対応の第一歩ではないでしょうか。

 監視対象の機器やシステム、サービスのそれぞれに特化した監視ツールがありますが、全体を俯瞰して監視することはなく、障害の原因特定に特別なスキルや時間が必要になることがあります。
 キャプチャした通信からネットワーク全体を俯瞰して監視するNETSCOUTを一緒にご利用いただくと、障害の糸口を見つけることができます。そして見つけた糸口をもとに、各監視ツールが持つ情報から障害発生原因をいち早く突き止めることでMTTR(平均障害復旧時間)の短縮につながります。

 安定したネットワーク運用にご興味がある方は当社営業担当者にお問い合わせください。また、下記より製品資料のダウンロードも可能です。ぜひご活用ください。
https://www.scsk.jp/sp/netscout/catalog/index.html

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