コラム/技術的な情報

モニタリング製品導入における効果と価値(2)

キャパシティプランニングによるIT最適投資

 前回は日々の安定したネットワーク運用の実現のため、昨今注目されているMTTR(Mean-Time-To-Repair:平均復旧時間)の解説と、MTTR削減に効果的なモニタリング製品についてお伝えいたしました。
 MTTRの削減は、人的コスト削減に直結する分かりやすい例ですが、モニタリング製品を導入するコストメリットは他にも多数存在します。
 そこで今回は、キャパシティプランニングによる適正なIT投資について考えてみたいと思います。

キャパシティプランニングに欠かせない現状把握

 ネットワークが不安定であれば例えば従業員の日常業務に影響を及ぼします。また、ネットワーク環境がサービス提供に関わる場合において、障害発生による顧客からの信頼低下は避けられません。これらの事態を避けるためには自社で設定したサービスレベルに基づいた安定した運用が必要になります。
 これを実現するためには、根拠に基づいたネットワーク構築が必要であり、そのプロセスに欠かせないのがキャパシティプランニングです。キャパシティプランニングにおいては、キャパシティの不足や過剰投資を避けるために、できる限り定量的な分析を行い、計画を立てることが必要です。更改時の計画については、既設ネットワークに流れるデータを収集・分析することで、必要とするキャパシティから乖離しないよう検討することが可能であり、これはITILにおいて、コンポーネント・キャパシティ管理として定義されるプロセスでもあります。
 コンポーネント・キャパシティ管理では、各ハードウェアリソースの使用率や、ネットワークのパフォーマンスを把握した上で、適切な計画を策定します。このプロセスを実行する上では、ネットワークをどのようにモニタリングし、どのように必要なデータを収集するかがカギとなります。ネットワークの更改においては、まず現状を把握することが必要ですが、その際ネットワークを常時あるいは高頻度でモニタリングすることで、より正確で根拠のあるデータベースとなり、更改計画の精度向上に役立てることができます。

キャパシティプランニングに欠かせない現状把握

適切なネットワーク監視は運用の方向性を明確にし、IT投資の妥当性を高める

 昨今、著しい環境変化に伴うトラフィックの増加に加え、想定外の突発的事象によるサービス停止等の障害につながる事例が多く見受けられます。予兆を検知する仕組みを導入しているケースもありますが、それでもこのような障害が起こる原因の一つに、設計時に取り決める監視の間隔が不適切なケースや、そもそも監視ツールから取得できるトラフィックの粒度が粗く、検知しきれていないケースがあります。
 例えば、監視間隔を1分刻みで見ているときは安定しているかのように見える通信でも、1秒単位、マイクロ秒単位で表示した場合に、1分刻みでは見ることができなかった障害原因となっているバーストがしばしば発見されます。マイクロ秒単位で監視していればその予兆を検知し、大きな問題になる前に対応できた可能性もあります。
 上記は一つの事例に過ぎませんが、現状を正確に分析した定量的なデータを根拠として行われるキャパシティプランニングは、安定したネットワーク運用に欠かせないプロセスであり、同時に、IT投資の妥当性や導入効果を意思決定者やステークホルダーに伝える際にも有効な要素になると考えられます。
 原因の特定が不十分のまま帯域の過剰増強を繰り返すのか、キャパシティプランニングの精度を上げ、帯域への過剰投資を制御し、真の障害原因の対応に費用を充てるのか。慎重に検討する必要があるのではないでしょうか。

 キャパシティプランニングについてご関心がございましたら当社営業担当者にお問い合わせください。また、下記より製品資料のダウンロードも可能です。ぜひご活用ください。
https://www.scsk.jp/sp/netscout/catalog/index.html

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