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データセンターとは?なぜ必要?AI時代に欠かせない社会インフラの役割を潜入取材で解説!


                                                                        datacenter_article.webp

スマホで動画を見る、オンラインショップで買い物をする、キャッシュレスで支払う、生成AIに質問する――。私たちが日常的に利用するデジタルサービスの多くは、「データセンター」によって支えられています。しかし、データセンターが実際にどのような施設で、内部で何が行われているのかを知る機会はほとんどありません。データセンターには企業や行政機関の重要なシステムやデータが集約されており、高度なセキュリティ対策が求められるためです。

ニーズの増加に伴ってデータセンターの建設が進むなか、「巨大な怪しい建物ができた」「膨大なエネルギー消費に加え、騒音や廃熱が周辺環境に影響するのではないか」といった不安や懸念も聞かれるようになりました。

では、データセンターの正体は?なぜ必要なのでしょうか?そして本当に環境に悪い施設なのでしょうか?今回は、国内有数のデータセンター集積地である千葉県印西市にある、SCSKの「netXDC印西キャンパス」に行ってきました。普段は一般の目に触れる機会が少ないデータセンターの内部を見学できる範囲で取材し、その役割や安全性、環境への配慮、地域との共生についてレポートします。

この記事を読んでわかること

  • データセンターの役割とその必要性
  • 近年、データセンターが増えている理由とそれに伴う反発の背景
  • 環境を守り、地域共生を実現するデータセンターのリアル

そもそもデータセンターとは?なぜ必要?

データセンターとは、インターネットやクラウドサービス、企業システムなどを支えるサーバーやネットワーク機器を集約し、安全に運用するための専用施設です。私たちが普段何気なく利用しているサービスの多くは、実はデータセンター内のサーバーによって成り立っています。

例えば、

  • スマートフォンで動画を見る
  • ECサイトで買い物をする
  • キャッシュレス決済を利用する
  • 生成AIとチャットする

といった処理は、サービス提供企業が利用するデータセンター内のサーバーで行われています。

普段何気なく利用しているサービスの多くは、実はデータセンター内のサーバーによって成り立っています。

「それなら、各企業が自社オフィスにサーバーを置けばよいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、24時間365日、安定稼働が求められる社会インフラや重要な企業システムには、一般的なオフィスでは対応が難しい高度な設備と専門的な運用体制が必要になります。

例えば、重要なサービス(サーバー)を止めずに運用するためには、

  • 大容量の電力を安定供給する受変電設備
  • 停電時に稼働するUPS(無停電電源装置)や非常用発電機
  • 地震や火災などの災害対策
  • 厳重なセキュリティ対策
  • 障害に備えた冗長化された通信回線

などを整備しなければなりません。

もし一般的なオフィスビルの一室にサーバーを設置した場合、大規模停電や自然災害が発生してもサービスを継続できるとは限りません。また、こうした設備を自社だけで整備・運用するには、多額のコストと専門知識が必要です。そのため多くの企業は、自社でサーバーを運用する代わりに、高い安全性と信頼性を備えたデータセンターを利用しています。

道路や電気、水道が私たちの生活に欠かせないものであるように、データセンターはインターネットやクラウド、企業システムを支える社会インフラとして機能する、言い換えれば、「社会を止めないための施設」ともいえる存在です。もしデータセンターが停止すれば、ネットバンキングやオンラインショッピング、企業の業務システムなどにも影響が及ぶ可能性があります。そのためデータセンターには、「データを預かる」「システムを動かす」だけでなく、「止めない」「守る」という極めて重要な役割が求められているのです。

なぜ今、データセンターが増えているのか

ここ数年、データセンター建設のニュースを目にする機会が増えました。実際、日本国内のデータセンターサービス市場規模は、2023年の187億ドルから、2030年には351億ドルと、7年で2倍の成長が見込まれており、大規模なデータセンターの建設計画が相次いでいます。

(出典)総務省|令和8年版 情報通信白書|データセンター市場およびクラウドサービス市場の動向

(出典)総務省|令和8年版 情報通信白書|データセンター市場およびクラウドサービス市場の動向

では、なぜこれほど多くのデータセンターが必要とされているのでしょうか。背景には、大きく4つの変化があります。

1.生成AIの急速な普及

最も大きな要因の一つが、生成AIの利用拡大です。ChatGPTをはじめとする生成AIは、大量の計算処理(サーバー)を必要とします。特にAI向けに利用されるGPUサーバーは、従来のサーバーと比べて高い計算能力を持つ一方、多くの電力が必要です。そのため、AIを動かすための大規模なデータセンターの建設が世界中で進んでいます。

2.クラウド利用の拡大

企業システムのクラウド移行も、データセンター需要を後押ししています。以前は企業ごとにサーバーを保有していましたが、現在ではAWS、Microsoft Azure、Google Cloudといったパブリッククラウドをはじめとするクラウドサービスを利用して柔軟にIT環境を構築する企業が増えています。そのクラウドも実はデータセンター内のサーバー上で動いているため、クラウド利用が増えるほどデータセンターも必要になります。

3.社会全体のデジタル化によるデータ量の増加

動画配信サービス、スマホアプリ、IoT機器、オンライン会議など、私たちが扱うデータ量は年々増加しています。企業でも、さまざまなデータをAIで分析するなど、大量のデータを扱うケースが増えました。こうしたデータを保存し、処理し、バックアップするためにも、データセンターは欠かせない存在です。

4.データ主権と経済安全保障への関心の高まり

近年は「どこでデータを管理するのか」という問題も重要になっています。行政機関や重要インフラ企業では、データを国内で保管したい、海外法の影響を避けたい、災害時にもシステムを継続したい、といったニーズが高まっています。これはソブリンクラウド(※)とも関係する考え方です。そのため、海外クラウドを利用する場合でも、国内データセンターを活用した構成や、災害リスクの低い地域に立地したデータセンター需要が高まっています。

データセンターも収容力の高い大規模な施設へと進化しています。

特に近年はこれら4つの要因が重なったことで、データセンターは「増加」だけでなく「大型化」も進んでいます。生成AIやクラウドサービスを支えるためには、より多くのサーバーやGPU、高度な冷却設備、大容量の電力供給が必要になります。その結果、データセンターも収容力の高い大規模な施設へと進化しています。

データセンターが不安視される理由

データセンターが不安視される理由

このように、データセンターは私たちの生活やビジネスを支える重要な社会インフラです。一方、データセンターの建設や運営に対して不安の声が上がることもあります。その理由の一つは、何をしている施設なのか分かりにくいことです。実際、データセンターはサイバー攻撃だけでなく、侵入などの物理的な脅威からも守られる必要があり、情報を広く公開できません。そのため外から見ると、窓が少なく、中の様子もわからない怪しい大きな建物に見えます。さらに近年はデータセンターの増加に伴い、騒音、日影、廃熱、電力消費などへの懸念についてメディアで報じられる機会も増えており、不安や疑問の声が高まっています。

もちろん、こうした懸念を単なる誤解として片付けることはできません。データセンターは電力や冷却設備を利用する以上、周辺環境への影響をまったくゼロにすることは難しいからです。だからこそ重要なのは、「安全です」と一方的に建設を進めるのではなく、どのような設備や運用によって影響を抑えているのかを、実際のデータや取り組みをもとに丁寧に示すことです。

では、実際のデータセンターでは、どのような対策が講じられているのでしょうか。ここからはSCSKのnetXDC印西キャンパスへの潜入取材で見たリアルをお伝えします。

潜入!netXDC印西キャンパスで見たデータセンターのリアル

潜入!netXDC印西キャンパスで見たデータセンターのリアル

SCSKでは1988年からデータセンターサービスを提供しており、現在は関東・関西を中心に「netXDC」というブランドを展開しています。今回見学したのは、千葉県印西市のnetXDC印西キャンパスにある千葉第3センター(SI3)です。キャンパス内にはSI1~SI3の3つのデータセンターが建っており、SI3は2022年5月にサービスを開始した一番新しい施設です。

SCSKのデータセンター「netXDC」をもっと知りたい方、ご質問・ご要望はこちら

なぜ印西市にデータセンターが集まるのか

印西市は国内有数のデータセンター集積地であり、SCSK以外にも複数の企業がデータセンターを構えています。比較的安定した地盤とされる北総台地は海から距離があり、近隣に大きな一級河川もありません。ハザードマップ上でも浸水や液状化のリスクが比較的低い地域として選定されています。さらに、キャンパス周辺の電力や通信などのライフラインは、地中の共同溝に引き込まれています。電線を地下に収容することで、強風や飛来物、工事などによる断線リスクを抑えられるほか、点検やメンテナンスもしやすくなります。

データセンター周辺の街並み。電線が無く、全て地中に埋まっている

データセンター周辺の街並み。電線が無く、全て地中に埋まっている

データセンターの安全性を考えるとき、建物や設備だけに注目しがちです。しかし実際には、地盤、浸水、電力、通信、交通などを含め、災害発生時にも運営を継続できる場所を選ぶことから対策が始まっています。

入口からサーバールームまで続く多層セキュリティ

netXDCでは、敷地からサーバールームまで7段階のセキュリティを設けています。

netXDCでは、敷地からサーバールームまで7段階のセキュリティを設けています。

施設へ入る際は、まずインターホンによる有人確認を実施。その後、X線検査機や金属探知機による持ち物チェックを受けます。館内ではエレベーターも許可されたフロアにしか停止しません。さらにサーバールーム前には「前室」が設けられており、一人ずつ認証を受けて入室することで、認証済みの人の後ろについて侵入する「共連れ」を防止しています。加えて、ICカード、生体認証、監視カメラ、ラックの電子錠などを組み合わせ、多層的なセキュリティ体制を構築しています。

データセンターの内部を簡単に公開できないのは、閉鎖的だからではありません。行政、金融、流通、製造などの重要なシステムやデータを、物理的な侵入や破壊から守るためです。見学中も、撮影可能エリアや移動経路が厳密に管理されており、データセンターの高いセキュリティ意識を体感しました。

地震の揺れを抑える免震・制振設備

SI3は、地震による横揺れを抑える基礎免震と、縦揺れを抑える垂直制振を組み合わせた構造を採用しています。地震によって伝わる揺れを最大80%低減でき、耐震グレードは防災拠点と同等レベルの「Sグレード」を誇ります。

弾性すべり支承(左)、建物が浮いている様子(真ん中)、ケガキ装置の軌跡(右)

弾性すべり支承(左)、建物が浮いている様子(真ん中)、ケガキ装置の軌跡(右)

今回見学した地下の免震層では、巨大なデータセンターがさまざまな免震装置(天然ゴム系積層ゴム、すべり支承、U字型のダンパーなど)によって支えられている様子を間近で見ることができました。こんなに大きな建物が実質的に「浮いている」なんて信じられません。また免震装置の近くには、地震発生時の建物の動きを記録する「ケガキ装置(地震軌跡記録装置)」も設置されています。そこには、取材日の直前(2026年8月)に千葉県で発生した震度5の地震の軌跡が記録されており、免震設備がしっかり機能していることを実感しました。

停電を想定した三段構えの電源設備

データセンターにとって、停電はシステム停止に直結する重大なリスクです。SI3では、受電設備、UPS、非常用発電機を組み合わせた多段階の電源対策が講じられています。

通常時の電力は、変電所から特別高圧で受電します。

通常時の電力は、変電所から特別高圧で受電します。受電経路は本線・予備線方式の2系統で構成され、建物内の電気設備も冗長化されています。外部からの電力供給が途切れた場合、最初にUPS(無停電電源装置)が作動。UPSは電力の瞬断を防ぎ、サーバーへ継続して電力を供給します。その間に非常用発電機が起動し、発電機からの給電へ切り替えます。

受電設備と防護壁(左側)、窒素消火設備(右側)

受電設備と防護壁(左側)、窒素消火設備(右側)

ちなみに膨大な電力を扱うことは火災のリスクにも繋がります。そのためデータセンターの中で最も高い電力を扱う受電設備の部屋の壁は全面防火仕様。またUPSのバッテリーも発火しにくい鉛蓄電池が使われています。もし火事が起こってしまった場合、サーバーなどの電子機器は水分に弱いため、スプリンクラーや一般的な消火器は使えません。そのためSI3では部屋の酸素を取り除いて窒素を充満させる窒素消火設備に加え、初期消火用に二酸化炭素消火器も備えています。

データセンターは環境に悪い?騒音、廃熱、水利用への取り組み

データセンターについて語られる際、よく取り上げられるのが環境問題です。確かにデータセンターは大量のサーバーを稼働させるため、多くの電力を消費します。また、冷却設備の稼働に伴う騒音や廃熱、水利用なども地域住民が不安を感じる要素です。しかし実際には、多くのデータセンター事業者が環境負荷を抑えるための対策を行っています。netXDC印西キャンパスでも、設計段階から運用までさまざまな取り組みが実施されています。

①騒音・日影への対策

データセンターでは、空調設備や発電機などの音が発生する設備を有しています。netXDC印西キャンパスでは、発電機などの屋外設備に消音器や防音壁を設置して騒音を抑え、騒音規制法に基づくデシベルの基準値を満たしていることを実測で確認しています。

①騒音・日影への対策

また、大型施設で懸念される日影についても、何時間以上日影をつくらないという法令上の基準を満たすように建物自体を設計しています。

②廃熱は大丈夫?

サーバーにとって熱は大敵です。そのためデータセンターでは、サーバーが稼働して発生した熱を空調設備によって回収し、屋外へ放出します。「データセンターが周辺の気温を上昇させるのではないか」という懸念の声もあがります。そこで、netXDC印西キャンパスでは温度計測を行い、周辺の外気温に大きく影響するような廃熱を放出していないことを確認しています。

空調設備がずらりと並ぶ屋上

空調設備がずらりと並ぶ屋上

実際にSI3の空調設備が置かれている屋上を見学してきましたが、外気温と変わりはありませんでした。

③データセンターは水を大量に使うのか

データセンターでは、サーバーから発生する大量の熱を冷やすために冷却設備を利用しています。この冷却方式には、水を蒸発させて冷却する方式と、水を循環利用する方式があります。前者では継続的な水の補給が必要になりますが、SI3で採用されている空冷フリークーリングチラーは、外気を利用して冷却水を循環させる方式で、通常運転に伴う水の消費を抑えられる仕組みです。

空冷フリークーリングチラーの仕組み。水を消費するのではなく循環させる

空冷フリークーリングチラーの仕組み。水を消費するのではなく循環させる

特にAI向けに利用されるGPUサーバーは、従来よりも大きな熱を発生させます。そこでSI3では、サーバーを冷やすための冷たい空気と、サーバーから出た熱い空気が混ざらないようにする空調設計が施されています。具体的には、サーバーの前面と背面をパネルで区切り、それぞれで空調設備を分けています。まず、冷たい空気が前面側の床下(冷たい廊下=コールドアイル)から送風され、サーバーを冷やします。そしてサーバーから放出された熱い空気を、背面側(熱い廊下=ホットアイル)の天井にある空調から取り込みます。

コールドアイル(左)とホットアイル(右)。ホットアイルはパネルと扉で密閉

コールドアイル(左)とホットアイル(右)。ホットアイルはパネルと扉で密閉

私も実際にサーバーの前後を見学しましたが、体感できるほどの明らかな温度差があり、空調設計の重要性を実感しました。

地域共生―「見えない施設」から「見える・話せる施設」へ

地域共生―「見えない施設」から「見える・話せる施設」へ

データセンターには、社会インフラとしての役割と、地域社会との共生という、一見すると両立が難しい側面があります。重要なデータや社会システムを守るため、内部の情報や設備をむやみに公開することはできません。一方で、情報を閉ざし過ぎれば、地域住民の不安や疑問を解消することもできません。だからこそ重要なのが、公開できる情報は積極的に開示し、公開できない情報についてもその理由を丁寧に説明することです。

JDCC(日本データセンター協会)のガイドラインでも、データセンターは建設後、長期間にわたって運営される施設であるため、地域との継続的な対話と信頼関係の構築、つまり「地域共生」が重要だとされています。

SCSKでは、自治体と連携した住民説明会の開催や各戸への資料配布に加え、問い合わせをいただいた方への個別説明を実施しています。また、周辺地域の清掃活動や緑化活動を継続的に行っているほか、地域イベントへの参加を通じて、データセンターをより身近に感じてもらう取り組みも進めています。

地域共生とは、一度の説明会で終わるものではありません。地域の声に耳を傾けながら対話を続け、信頼関係を築いていくことが重要です。データセンターを支えているのは設備や技術だけでなく、地域との対話を重ね、安心して受け入れていただくための地道な取り組みもまた、その重要な基盤となっているのです。

SCSKのデータセンター「netXDC」をもっと知りたい方、ご質問・ご要望はこちら

データセンターは、社会を止めないための欠かせないインフラ

データセンターは、社会を止めないための欠かせないインフラ

今回の取材を通じて見えてきたのは、データセンターが単なる「サーバーを置く場所」ではないということです。安全な立地選定、免震設備、多重化された電源、厳格なセキュリティ、効率的な冷却設備。そのすべてが、私たちが利用するデジタルサービスを止めないために存在しています。

データセンターは社会に必要な施設だからこそ、環境への配慮や地域との共生も欠かせません。騒音や廃熱、水利用などへの対策を進めるとともに、地域住民との対話を継続していくことが求められています。SCSKも、高い安全性・信頼性だけでなく、環境負荷の低減や地域とのコミュニケーションを重視した運営を進めています。

AIやクラウドの利用が拡大するこれからの時代、データセンターの重要性はさらに高まっていくでしょう。そのとき求められるのは、単に高性能な施設ではありません。社会を止めない強さと、地域・環境への責任を両立すること。それこそが、AI時代のデータセンターに求められる役割なのではないでしょうか。

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