テレワーク特集~ ネットワーク製品担当キーマンが語る!テレワークに必要な設備と製品選択のポイントとは
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近年、成長が著しいアジアを中心に海外進出を進める日本企業が増えています。しかし、日本とは異なる通信インフラや現地のIT人材・サポート体制の不足が、日本企業の海外展開における大きな障壁となっています。特に、安定したネットワーク構築や高度なセキュリティ対策、人材育成が重要課題となっており、現地で高品質な運用やサポートを実現するための取り組みが求められています。
こうした課題に応えるべく、長年日本市場で高い信頼を築いてきたヤマハルーターが、充実したサポート体制を持つSCSKとともにインドネシア市場への展開を開始しました。
本記事では、東南アジア・インドネシアに拠点を持つ日本企業が直面しているITネットワークの課題と、その具体的な解決策について、インドネシアのネットワークビジネスに携わるSCSKの担当者にお話を伺いました。
目次
![]() SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ ネットワーク事業本部 ネットワークプロダクト第一部 部長 黒岩 孝史 |
![]() SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ ネットワーク事業本部 ネットワークプロダクト第一部 後藤 剛志 |
![]() SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ ネットワーク事業本部 ネットワークプロダクト第一部 飯原 伸五 |
![]() SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ ネットワーク事業本部 ネットワークプロダクト第一部 技術課 山本 優太 |
![]() SCSK株式会社 ITインフラサービス事業グループ ITインフラサービス事業グループ統括本部 事業開発部 事業開発課 鈴木 陽子 |
鈴木 長年にわたってヤマハネットワーク製品の営業やプロモーションを担当してきた鈴木が、今回インタビュアーを務めます。まずは、海外に拠点を持つ日本企業が直面しているネットワークの課題について、お聞かせいただけますか。
飯原 日本企業の海外展開が進む中で、現地拠点のITインフラ整備はますます重要なテーマとなっています。特にネットワークに関しては、通信品質のばらつきや安定性の確保、セキュリティ対策、運用体制の構築など、共通の課題が多く存在します。
現地の通信事業者やインフラ環境は国によって大きく異なり、日本国内で当たり前に使える構成やサービスがそのまま使えないケースも少なくありません。さらに、拠点間の連携や本社との接続においても、帯域不足や障害時の対応、セキュリティポリシーの統一など、技術的・運用的なハードルが多くあります。
山本 また、現地のIT人材の確保や育成も大きな課題です。日本と同じレベルの技術力や運用品質を求める場合、現地スタッフへの教育やサポート体制の整備が不可欠です。特にネットワーク障害が発生した際には、迅速な対応と的確な原因特定が求められるため、遠隔からでも状況を把握できる仕組みや、統一された機器構成が重要になります。
加えて、ネットワーク技術者の人材不足は深刻化しており、日本人と同じ価値観や技術力を持った人材を現地で確保することは容易ではありません。このため、現場のエンジニアが安心して運用できるシステムの提供と、サポート体制の充実がますます重要となっています。現地サポートにあたっては、時差の問題も含め、きめ細かな対応が求められます。
こうした背景から、海外拠点におけるネットワーク構築には、「安定性」「運用のしやすさ」「サポート体制」の3つが鍵となります。
鈴木 日系企業の多くが拠点を構える東南アジアについて、もう少し詳しく教えてください。
飯原 東南アジアは日本企業の海外展開先として非常に重要な地域です。実際、日本企業の全海外拠点のうち、約30%が東南アジアに集中しており、製造業、商社、サービス業など、業種を問わず多くの企業が進出しています。
その中でもインドネシアは、ASEAN最大の人口規模(約3億人)を誇り、経済成長も著しい国です。市場としてのポテンシャルは非常に高く、今後の成長が期待される国であることから、日本企業にとって戦略的に重要な拠点となっています。
(出典)e-Stat海外事業活動基本調査 調査結果 第54回 調査結果(2023年度実績)
後藤 一方で、インドネシアは約1万9千もの島々からなる島国であり、地理的な特性が通信インフラの整備を難しくしています。特に地方や農村部では、安定したインターネット接続が確保しづらく、教育・医療・行政・産業の各分野の発展を阻む要因となっているのです。
企業の視点で見ると、インドネシア国内ではネットワークの信頼性や可用性へのニーズが年々高まっています。デジタル化やクラウドサービスの活用が進む中、複数拠点を持つ企業や遠隔地との連携が必要な業種では、通信障害や帯域不足が業務効率の低下を招くケースも少なくありません。
山本 ネットワークに不安がある中、障害が発生するとシステム全体に多大な影響を及ぼすリスクも高まります。こうした事態を未然に防ぐ対策や、万が一の際の迅速な復旧対応、さらには業務を継続できる仕組みやバックアップ体制の整備が不可欠です。
鈴木 海外拠点におけるネットワーク課題に対して、ヤマハルーターはどのような価値を提供できるのでしょうか?
飯原 ヤマハルーターは日本国内市場で4割を超える圧倒的なシェアを誇り、20年以上連続でシェア1位(※)を維持しています。顧客満足度も非常に高く、今年はヤマハルーター発売から30周年を迎えることができました。すでに多くの日本(国内)企業でご利用いただいているヤマハルーターは、海外拠点でも同様の感覚で運用・サポート・設定が可能です。
実際、インドネシア市場への展開に際しては、2025年初頭よりTelkomsel(後述)と実施しているPoC(概念実証)を、ヤマハルーターの高い安定性や冗長性、障害時の自動切替機能などが評価されています。加えて、複数回線による負荷分散やGUIによる簡易設定、運用の容易さについても、現地技術者から高く支持を得ています。
※21年連続でSOHOルーター国内シェアNo.1を獲得 - ニュースリリース - ヤマハ株式会社
山本 さらに、日本と海外拠点の両方にヤマハルーターを設置することで、遠隔でネットワークを管理時のトラブル対応もよりスムーズになります。特に、現地機器の状態確認が難しい場合や、メーカーが異なる場合に比べて、ヤマハルーターで統一することで原因特定や復旧までの時間を大幅に短縮できるほか、機能・性能面の保証や通信の安定性向上にもつながります。
このように、ヤマハルーターによって、日本品質の「安定性」と、海外拠点での「運用のしやすさ」を両立できます。
鈴木 残る海外拠点のネットワーク構築の鍵「サポート体制」についてはいかがでしょう?
後藤 SCSKは、日本におけるヤマハルーターの国内総販売元として、長年にわたりヤマハと強固なパートナーシップを築いてきました。製品販売にとどまらず、導入前のご相談から構築・運用フェーズに至るまで、お客様への幅広い支援を通じて豊富な実績を積み重ねています。インドネシア市場への展開にあたっては、現地法人であるSCSKインドネシアに専任スタッフを配置し、「日本品質」の保守サポート体制を現地でも提供できるよう整備しています。
海外拠点では、時差や言葉の壁、文化的・技術的なギャップが課題になることが多いですが、現地に信頼できるスタッフがいることで、トラブル発生時の対応や日常的な運用支援がスムーズに行えるようになります。
私自身も、インドネシアでのネットワークビジネスの立ち上げに携わり、日系企業向けに高品質なサポートを提供するとともに、現地スタッフの教育にも力を入れてきました。日本で培ったノウハウを現地チームへ展開することで、安心してご利用いただける環境づくりを進めています。
鈴木 山本さんは、現地エンジニアへのトレーニングも担当されたそうですね。
山本 はい。インドネシアのナショナルスタッフの皆さんは非常に熱心で、初めて扱う製品にも前向きに取り組んでくださいます。習得が早く、理解力も高いため、今後のサポート体制の中核を担っていただけると確信しています。
SCSKインドネシアのナショナルスタッフ
鈴木 インドネシア市場での展開にあたり、現地通信事業者との連携も進められていると伺いました。今回の協業について教えてください。
黒岩 2025年8月、インドネシア最大のモバイル通信事業者であるTelkomselが主催する展示イベント「Solution Day 2025」が開催されました。このイベントには、270社以上の企業、業界リーダー、政府関係者など800名以上が来場し、インドネシアのICT分野に対する関心の高さを肌で感じることができました。
この場で、Telkomsel、SC-NEX(※)、そしてSCSKの3社によるMoU(覚書)を締結し、BtoB向けネットワークソリューション分野での協業を正式にスタートしました。Telkomselはインドネシア全土に広がる通信網を持ち、企業向けサービスにも力を入れているため、ヤマハルーターとの親和性が非常に高いと考えています。
※SC-NEXは、住友商事の子会社としてシンガポールに本社を置き、ビジネス開発コンサルティングを手がけています。
鈴木 現地での反応はいかがでしたか?
黒岩 インドネシアは初めての訪問でしたが、都市の発展ぶりと人々の熱意に圧倒されました。特にBtoBやエンタープライズ領域では、ネットワーク基盤の重要性が強く認識されており、ヤマハルーターの技術が現地ニーズに合致していると確信しています。
Telkomselの通信インフラとSCSKの技術支援、そしてヤマハの製品力を組み合わせることで、インドネシア全土に向けた高品質なネットワークソリューションの提供が可能になります。この協業を起点に、ヤマハブランドの認知度を高め、より多くの企業に価値を届けていきたいと考えています。
鈴木 今回のインドネシア展開を皮切りに、ヤマハルーターの海外展開は今後どのように広がっていくのでしょうか?
黒岩 Telkomselとの協業を通じて、ヤマハブランドの認知度は着実に高まっています。今後はこの連携を軸に、インドネシア全土への展開を加速させるとともに、現地での保守・サポート体制の強化にも注力していきます。
インドネシアでの実績を足がかりに、今後はベトナムやマレーシアをはじめとするASEAN諸国への展開も視野に入れています。東南アジア全体でネットワークインフラの重要性が高まる中、ヤマハルーターの安定性・柔軟性・運用のしやすさは、現地企業や日系企業にとって大きな価値を提供できると確信しています。
鈴木 海外拠点を持つ日本企業にとって、ネットワークの安定性と運用のしやすさ、そして現地に応じたサポート体制は事業継続の鍵となります。ヤマハとSCSKの連携による「日本品質」のネットワークソリューションは、今後ますます注目されることでしょう。