データ利活用における課題

データ利活用における
課題について

全社的なデータ利活用を考える際には、データの収集や蓄積だけでなく、データ品質の向上やセキュリティやガバナンスの考慮など、多くの課題への対処が求められます。データ活用へ向けた課題解決取り組みの第一歩としてSCSKが推奨するのが、「Informatica」を利用したデータ資産のカタログ化への取り組みです。本コラムでは、カタログ化によるデータ利活用推進のポイント、データ活用基盤の構築事例を紹介します。

データ利活用の推進により
DX推進の土台を作る

様々な企業でDXに向けた活動をされることが増えてきております。SCSKとしてもDXに向けた活動の要素の一つとして、データ利活用の提案を行うことが増えています。
データ利活用を進める上で、企業が持つデータを経営資産として管理し、最大限に活用することは重要なポイントの一つです。ただ、現実には、データ形式が年々多様化していることに加え、多様なアプリケーション、データウエアハウス/データレイクにデータが分散するなどデータ環境はますます複雑化しています。その流れはデータ利活用を進める際の課題に繋がっています。
企業において全社規模でデータの価値を最大限に引き出すための環境整備が必要であり、そのためには、データマネジメント戦略の立案に向けて、自社の成熟度の確認と、その向上が欠かせなくなってきています。
自社のデータマネジメントの成熟度を知ることは、より高度なマネジメントの実現に向け、何を改善すべきかの示唆を得ることにもつながります。

成熟度を確認するためのレベル分けの例。

  • レベル0:社内のあらゆる事業部で顧客データを活用してはいるものの、全社的・横断的な活用には至っていないレベル。
  • レベル1:全社的に統一されたデータ基準のもと、部門横断的に使えるよう整備されている。
    →データの把握・可視化・定義が実現できることによって初めてDXに向けた戦略立案が可能になる段階。
  • レベル2:社内でサイロ化していたデータを一元化した「統合データ」により、顧客との接点から営業、購買、問い合わせまでの横串分析ができる状態。
    →顧客が企業にどのような関心を抱き、ライフステージのどのタイミングでどういう接点を持っているかという顧客理解を得ることができる。セグメント分析で優良顧客の発掘や解約の兆候を得るといったインサイトの獲得ができる段階。
  • レベル3:分析結果や情報を全社の誰もが簡単かつ迅速にアクセスできる環境が整備されている。
    単にアクセスできるだけでなく、プライバシーポリシーやセキュリティといったガバナンスも利かせたデータ利活用が行える状態。
    →パーソナライズされたオムニチャネル体験やOne to One マーケティング、それらによるアップセル/クロスセルが可能となり、ビジネス価値の向上に寄与している段階。データマネジメントの成熟度を上げることで、収益増や見込み顧客の獲得に直結している状態。

データのカタログ化で
データマネジメントを推進。

データを経営資産として競争力の源泉に変えていくにはどのように取り組めばいいのでしょうか。
データマネジメントの出発点は、データの発生元やデータ定義、導出方法などの情報を管理することになります。言い換えると、ユーザー自らが必要なデータを発見し、データの状態を把握できる、使いたいデータを判別できるように、管理をおこなっていくことです。
それを実現するのが、インフォマティカの「データカタログ」です。

「データカタログ」の主な機能は以下となります。

  • 各種システムから自動的にカタログ情報を抽出しリポジトリに格納する「メタデータの自動収集」
  • 役割に応じたデータアクセス権限を付与する「適切なアクセス権限管理」
  • 迅速な検索とデータに対する深い理解を支援する「多角的なカタログ情報提供」

「データカタログ」を利用する事で、集めてきたデータを元に誰でも簡単にデータ検索が行えるようになります。例えば検索画面で『顧客』と入力すると、顧客に関するデータを含む各種マスタやビューが表示され、各データが分析に使えるかどうか、どのシステムからどうデータを持ってきて、どのような変換をしているか、といったデータの流れを可視化する事ができます。

【イメージ図】

攻めと守りの観点で
データ活用のレベルを上げる

「データカタログ」を導入し、成果につなげる企業が増えてきております。
グローバル展開する国内製造業大手では、今後のデータ利活用の推進に対応し、すぐに使えるデータ統合基盤の構築を図るために「データカタログ」を導入しました。
この事例では、蓄積されていくデータボリュームの拡大に備えた拡張性を確保するため、パブリッククラウド上に基盤を構築。データ容量を確保した上で、単なるデータストレージではなく、データウエアハウスやデータマート、BIツールといったサービス機能も利用できる設計としました。
また、あらゆるデータやその流れを見える化し、各部門のユーザーがセルフサービス型で必要なデータの検索や分析ができる環境を構築するとともに、他のインフォマティカのソリューションも組み合わせ、多様なシステムからのデータの取り込み・連携・変換を実現できるようにしました。
併せて、導入後の定着化を見据えた運用についても取り組みました。いきなり全社展開するのではなく、まずは一部門での活用をきっかけに組織にデータ利活用の文化を広げていくようにしました。さらに、業務部門にデータオーナーとなる担当者を置くことで当事者意識を持たせるように工夫し、全社的なデータマネジメントの体制を新たに構築することを意識しました。
基盤を導入して終わりではなく、稼働後の運用でデータ利活用を推進する仕組みを回し続けていくことに、今も取り組まれております。
データマネジメントの成熟度レベル3の領域に達する企業は、日本ではまだまだ少ないのが現状です。しかしDXを推進するには、データマネジメントやガバナンスを、全社を挙げて追求していくアプローチが重要になってくることは間違いありません。その土台として「データカタログ」は欠かせない存在です。
「データカタログ」によって、データが可視化されることは、競争力を高めるだけでなく、どのデータを保護するべきかという守りの視点の強化にも役立てられます。攻めと守りの双方の観点から、データ活用の成熟度を高める意義は、今後も高まっていくでしょう。

(2021.03.25) 一覧に戻る